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シゲール襲来編
暴風
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朝。
突然サーガがバッチリ目覚めて飛び起きた。
「俺寝てた?!」
今だ眠りこけているキーナ以外が頷いた。
「この野郎!!」
サーガがダンに飛びつく。
「只の眠り薬かよ!!」
ガクガクとダンの襟を掴んで頭を揺らす。
「まあまあ」
「まあまて」
ルイスとテルディアスが止めに入る。
「只の眠り薬じゃなくて、滋養強壮回復薬らしいよ? 体の調子はどうよ?」
ルイスが問いかける。
それを聞いて、サーガがはたと考える。
そして、
「ん? ん?」
体を調べ出す。
「なんか、いつもより調子良いかも…!」
調子良いらしい。
「むにゃ? おはようにゃ」
キーナも眼を覚ました。
「今なら、地の一族のお姉さん達全員相手出来るかも…」
途中からテルディアスがキーナの耳を塞いだ。
「どったのテル?」
「聞かない方が良い」
ツッコミ役のメリンダがいないせいか、サーガのボケに突っ込む人が誰もいない。
「え? 地の一族のお姉さん達全員て?」
ルイスがダンとテルディアスに聞くが、2人共何も言わずに黙りこくっていた。
朝ご飯に簡易携行食を無理矢理押し込んで、一行は道沿いに北に向かって進み出す。
途中見付けた村などに寄って、ブルゴイ山について聞き出す。
しかし遠方にあるのか、なかなか知っているという人物に当たらなかった。
「知ってるって?!」
幾つ目かの村でサーガが聞き込みをしていた時、知っているという人物がいた。
「ああ、ここから北西の方だったかな」
「詳しい場所は分かるか?!」
「さて、どうだったかな」
サーガが広げた地図でだいたいこの辺りじゃなかったか?とその人は示した。
「ありがとよ!」
少ないながらも礼金を渡し、サーガが酒場を飛び出す。
聞き込みで散っていた皆に風で報せて村の外に呼び出す。
「分かったの?!」
駆けてきたキーナの期待混じりの視線を受け止め頷く。
「ああ、行くぜ!」
魔法の多重使用は疲れるからとルイスが張った結界を、サーガが風で浮かせて動かす。結界を張ることに意識を使わなくていいせいか、移動速度が速い。
陽が暮れる前に、問題の山らしきものが見えて来た。
その山を見てキーナ一言。
「なんか、暗い山」
普通に木が生い茂っている只の山に見えるのだが、何故か暗く見える。
山の手前で地面に降り、山に向かって歩き出した。
「あっちだな」
ルイスが気配を察知したのか、方向を指し示した。
ルイスの指し示した方向へと足を進めると、洞窟が見えて来た。
「あれか?!」
「うん。シゲールの気配だ」
サーガの問いに頷くルイス。サーガとキ-ナが洞窟まで走る。
中を覗き込むが、暗くなり始めたせいか真っ暗で何も見えない。
「お待ちよ。洞窟に入っていってもシゲールはいないぜ」
ルイスが二人を止める。
「亜空間からこっちに戻るにも目印が必要でな。目立たないところに楔みたいなのを打ち込んでるんだよ。それさえ分かれば空間を開ける」
ルイスがゆっくりと洞窟に入っていく。
その後ろからサーガ、キーナと入って行く。テルディアスとダンも後に続いた。
魔法で明かりを灯しながらしばらく進むと、行き止まりになった。
「おい! その空間てのはどこにあるんだよ!」
サーガがイライラと怒鳴った。
「うん。見付けた」
最奥の壁にルイスが手を伸ばす。
「これだな」
そのまま手を翳して、ルイスが動かなくなった。
何かをしている事を感じたサーガも黙って待つ。
「むうっ!」
ルイスが気合いを発すると、壁が消え、黒い穴が現われた。
「そこか!」
サーガが急ぎ飛び込もうとする。
「まあお待ちよ」
ルイスが止める。
「なんで止めるんだよ!」
穴の前に立ち塞がるルイスを睨み上げた。
「思ったより堅牢に作ってあってね。俺はここで穴を維持しなきゃならん。完全に閉じると完全に相手の空間になっちまうからね。そうなると余計に戦いにくくなる。ここで穴を維持できりゃ、中に入っても4大精霊の力は使えるから、あんたらでもそこそこ戦えるとは思う。
ただ何よりも、この空間内はあいつの領域だ。いつも以上に戦いにくいはずだ。だから、無理はせずに駄目だと思ったら逃げてきてくれ。俺なら、あいつに負けはしない」
「ち、逃げるってのは酌だが、しょうがねえか」
サーガが渋々頷く。
「分かった。行って来るね。穴の維持はお願いします」
「ああ、任せてな」
キーナの言葉に頷き返す。
そして、サーガを先頭に、キーナ達はシゲールの空間へと足を踏み入れた。
「なんだ? これは、ルイス?」
自らの空間に穴を開けられ、入って来た気配に気付いたシゲール。
懸命に繋げる穴を維持しているのはルイスのようだが、その他に4つの気配。しかも一人は狙っている光の御子のもの。
「あっちから飛び込んできてくれるとはねぇ」
ニタリと笑みを浮かべ、掴んでいたメリンダの足を放り出す。
メリンダはぐったりとしており、その瞳も暗い。
シゲールは立ち上がると、メリンダを置いて4つの気配の方へと歩き去った。
穴に入る。
中は床も天井も壁も分からない、異様な空間だった。中の造りはその領域の主となった者によって異なるという。基本色は黒なのであまり映えないらしいが。
床が見えるわけではないのに、そこに床があることが分かるという奇妙な感覚を覚えながら、一歩一歩足を進める。
「で、何処行きゃいいんだこれ?」
サーガがぐるっと見回しながら言った。
壁があるようには見えない。かといって誰かがいるようにも見えない。
不思議と明かりもないのにお互いの姿が確認できる。
「違う空間にいるとか?」
考えたくはない答えをキーナが口に出してしまう。ここ以外に他に手掛かりはない。
「冗談じゃねーぞ」
ここでなければまた一から探し直しだ。しかも何も手掛かりはない。
焦りを覚えながらじいっと周りの闇に目を凝らす。何かないかと。
「ようこそ、俺の空間へ」
目の前の闇から突然シゲールが姿を現わした。
全員身構える。
「まさかそっちから来てくれるとはねぇ」
そう言いながら下卑た視線でキーナを眺め回す。
その視線に気持ち悪さを感じつつもキーナは叫んだ。
「メリンダさんは?! どこ?!」
「あの女かぁ? なかなかいい女だったぜ。あんなに壊しがいのある女も初めてだった」
「! メリンダさんを返して!!」
シゲールは少し首を傾げていたがニタリと笑うと、
「まあいいか。もう少し遊びたかったけど、なにせ極上の相手が来たんだしぃ?」
ニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべたまま、シゲールが右手を軽く動かした。
するとその横の闇の中から、ゆっくりと赤い頭が見え始めた。
「メリンダさん!!」
思わず駆け寄ろうとするキーナ。しかしその肩をテルディアスが掴んだ。
「ダン!」
鋭い声でテルディアスがダンを呼ぶ。それで何か察したのか、ダンが背負っていた荷物を下ろし何かを探し始める。
「テル? どうして…」
徐々に見え始めるメリンダの体。もともと来ている服の面積は少ない。しかし遠目にも分かるその体の汚れや傷。そして見え始める何も着けていない胸元。
ダンがその薬をキーナに向かって放り投げた。
「わぷ!」
顔に当たったその薬を、キーナは思わず吸い込んでしまう。
「ダン? 何を…」
キーナが意識を失い、倒れかけた。その体をテルディアスが抱え込む。
口元をマントで覆い、その薬を吸い込まないように気をつけながら。
(キーナに見せてはまずい…)
直感的にそう思った。
力が暴走するかもしれないからか、または心の傷になるかもしれないからか。
異性である自分でさえ胸くその悪くなるその光景を、同性でありなおかつまだ精神が幼いキーナが見たらどんなトラウマになることか。
これから戦いになることを考えるならば、意識のない人間など足手まといになってしまうかもしれないが、キーナには眠っていてもらうのが一番だと思えた。
いざとなったらダンにキーナを抱えて空間の外に逃げてもらえば良い。
メリンダの体が闇の中から出て来た。すでに全身が見えており、何をされたのかは一目瞭然だ。
普段女になど何も思わないテルディアスでさえも胸くその悪くなる光景。流石に怒りが湧いてくる。
「テルディアス、ダン、手ぇ出すなよ」
サーガの声が聞こえた。
テルディアスからはその背中しか見えないが、メリンダと一番仲の良いこの男が何を思っているかは察しがつく。多分、テルディアスよりも激しい怒り、そして憎しみ。
「こいつは俺が殺す」
暗い声でそう告げると、シゲールへと歩を進める。
「俺を殺すぅ?」
シゲールが笑い出す。
「ここは俺の空間だぜぇ? いくらルイスが穴開けてるからって、4大精霊の力しか使えないお前らが俺に敵うと思ってんのかぁ?」
「どうでもいい」
風が舞い始める。サーガの周りに集まり始める。
「お前は殺す。それだけだ」
風が渦を巻き、サーガとシゲールの周りを囲み始める。
ダンが慌てたように地の力を使い、メリンダを側まで寄せて来る。
「どうだ?」
テルディアスがちらりとダンの方を見て、メリンダの様子を聞く。
ダンは少し困ったような顔をしながらも、小さく頷いた。
体の傷はダンが治すことが出来る。しかし…。
テルディアスは前に意識を集中し始めた。
サーガにもしものことがあればすぐさま行動に移せるように。
風が激しく渦を巻く。触れればそのカミソリのような切れ味でどんなものさえ切ってしまうだろう。
「こぉんな結界張ってもねぇ。意味あると思ってるんだ?」
余裕の態度のシゲール。
「てめえは細切れにしてやる」
メリンダでさえ見たことのない残酷な笑みを浮かべるサーガ。ここが闇の空間だから見えるのか、サーガの体が仄かに黄色い光を帯びていた。
「やってみろよぉ?」
誘うようにシゲールが手招きをする。
風が走る。そしてシゲールの頬が切れ、血が滴った。
「は?」
驚きの表情を浮かべるシゲール。
あらゆる方向から風が迫り、シゲールの体のあちこちを切り裂く。
「な、なんで…!」
焦ったように何かをし始めるシゲール。その間にも風が走り、シゲールの体を切り裂く。
「なんで…! 4大精霊だろうが! 何故俺の言うことを聞かない!!」
「俺がいるからじゃねーの」
シゲールがサーガを睨む。
「4大精霊は2神精霊の言うことには逆らえないはずだぞ! そうか、ルイスが何かしたのか…」
「うるせーよ」
先程までとは違う大きな風の刃が走った。
ズパッ!
シゲールの左腕が飛んだ。
「!! ぎゃああああああああ!!」
あまりの痛みに倒れ込み藻掻くシゲール。
そこにサーガがゆっくりと近づく。
「姐さんの苦しみはこんなもんじゃねーぞ」
シゲールの右足が飛んだ。
テルディアス達の目の前で風が渦を巻いている。
その中の様子は風が目隠しをし、さらに音も遮断してしまっているので何が起きているのか全く分からない。
テルディアスは念の為キーナをダンに預け、何かあったらすぐに逃げろと指示を出す。
目の前の風の壁に意識を集中するが、やはり何が起きているのかは全く分からない。
そんな緊張状態がしばらく続いた。
どれくらい経ったか、風の勢いがなくなり始め、風の壁が消えた。
ダンが思わず目を逸らす。
そこには四肢を失い、体中を切り刻まれたシゲールと、冷めた目でそれを見下ろすサーガがいた。
微かにシゲールの体がピクリピクリと痙攣しているのが見える。
「大きな口聞いてたわりにゃ、たいしたことねーじゃねーか」
サーガがシゲールの体をグリグリと踏みつける。
「てめーみてーな奴が…」
ぐらりとサーガの体が揺れ、尻餅をついた。
「て…」
サーガの体を纏っていた光が消えた。
「おおい! あんたら!」
入り口の穴の方からルイスの声が聞こえてきた。
「まずい! 空間が潰れる! 早く出てこい!」
シゲールの力が消えたのか、空間が揺らぎ始めていた。
慌ててメリンダを抱えるダン。テルディアスもキーナを抱える。
「何をしている!」
尻餅をついたまま立ち上がろうとしないサーガにテルディアスが怒鳴る。
「うっせ。先行け」
力の無い声が聞こえてきた。
(魔力切れか?!)
舌打ちすると、ダンにキーナを預け先に行って貰う。
ダンは両肩にキーナとメリンダを抱えて走り出した。
テルディアスはサーガの元へと向かう。
「まぬけが。後先考えて戦え」
「てめーに言われたくねー…」
いつもの軽口ではあるが力が無い。
仕方なく肩を貸してやる。
「てめーの肩借りるなんざ、生涯最大の屈辱だ…」
「俺も置いて行けるなら置いて行きたいところだ」
そのままテルディアスはサーガを文字通り引き摺りながら、空間から脱出した。
「っだはー…。疲れた…」
ルイスが気を抜くと、穴は一瞬で消え去った。シゲールを中に残したまま…。
布団でくるんだメリンダをダンが抱え、眠っているキーナをテルディアスが抱え、嫌がるサーガをルイスが抱えてとにかく洞窟から出る。(もちろん皆姫抱っこ)
辺りはすでに夜。適当な所で火を起こし、野宿の準備を始める。
簡単に食事を済ませると、ダンとルイスがメリンダの様子を診察した。
体の傷はダンが治した。問題は…。
「あいつ、酷いやり方しやがる…」
ルイスがメリンダの体に手を翳し、何かをしているようだった。よく見ていると黒い煙のような物がメリンダの体からじわじわと出ていく。
しばらくすると煙が出なくなり、ルイスが手を下ろした。
「何かされてたのか?」
今だまともに動けずほぼ寝転がったままのサーガがルイスに尋ねる。
「うん…。闇の力は精神的なことに影響が出やすいんだけど…」
心を惑わせる。いわゆる催眠術のような系統の魔法が得意らしい。
それは催眠術のような上辺だけのものではなく、まさに潜在意識に及ぶくらいの意識の書き換え、いや塗り替えをすることも出来るのだそうだ。
「はぐれ闇になる奴は大抵その状態なんだ」
自らの力を制御出来ず暴走している状態。それがはぐれ闇。はぐれ闇になってしまうと、性格が歪んでしまうと言う。
「で、シゲールがこのお姉さんにしたのは…」
記憶を塗り潰すこと。幸せな記憶を塗り潰し、嫌な記憶を増幅させる。大切な者さえ忘れさせ、ただ苦しい思いだけを前面に出す。
メリンダが踏ん張っていたのは、偏にキーナを大切に思う心があったから。それを無理矢理封じ、過去の嫌な記憶を掘り起こし、増幅し、何度も追体験させる。
サーガの顔が苦しげに歪んだ。
「中に残っていた闇は俺ができるだけ除去したけど、完全ではないからしばらくは錯乱状態が続くと思う。あとはこのお姉さん次第になっちまうけど…」
心配そうにメリンダを見る。
「火、浄化、一番強い。大丈夫」
ダンが珍しく言葉を発した。
「火? 浄化?」
「ああ、そういや、このお姉さん火の一族だっけ。火の一族は4大精霊の中でも浄化の力が強いんだっけか」
サーガの疑問にルイスが説明した。
4大精霊の中でも浄化の力が強い火の一族のメリンダ。だからこそ大丈夫だろうと言いたいらしい。
「だったら、いいけどな…」
サーガが心配そうにメリンダを見た。
「ところで、サーガ君、だっけ。その、シゲールは…」
ルイスがおずおずと聞いて来た。
「殺した」
サーガのそのあっさりとした答えを聞き、少し固まるルイス。
ずっと穴の所にいたので、中での詳細な出来事は分からなかったらしい。
「そうか…。すまない。ありがとう…」
ルイスがそう行って頭を下げた。
ダンが差し出して来たあの怪しい飲み物を、再びサーガが飲み込んで眠りに落ちる。
いつにもまして、静かな夜になった。
突然サーガがバッチリ目覚めて飛び起きた。
「俺寝てた?!」
今だ眠りこけているキーナ以外が頷いた。
「この野郎!!」
サーガがダンに飛びつく。
「只の眠り薬かよ!!」
ガクガクとダンの襟を掴んで頭を揺らす。
「まあまあ」
「まあまて」
ルイスとテルディアスが止めに入る。
「只の眠り薬じゃなくて、滋養強壮回復薬らしいよ? 体の調子はどうよ?」
ルイスが問いかける。
それを聞いて、サーガがはたと考える。
そして、
「ん? ん?」
体を調べ出す。
「なんか、いつもより調子良いかも…!」
調子良いらしい。
「むにゃ? おはようにゃ」
キーナも眼を覚ました。
「今なら、地の一族のお姉さん達全員相手出来るかも…」
途中からテルディアスがキーナの耳を塞いだ。
「どったのテル?」
「聞かない方が良い」
ツッコミ役のメリンダがいないせいか、サーガのボケに突っ込む人が誰もいない。
「え? 地の一族のお姉さん達全員て?」
ルイスがダンとテルディアスに聞くが、2人共何も言わずに黙りこくっていた。
朝ご飯に簡易携行食を無理矢理押し込んで、一行は道沿いに北に向かって進み出す。
途中見付けた村などに寄って、ブルゴイ山について聞き出す。
しかし遠方にあるのか、なかなか知っているという人物に当たらなかった。
「知ってるって?!」
幾つ目かの村でサーガが聞き込みをしていた時、知っているという人物がいた。
「ああ、ここから北西の方だったかな」
「詳しい場所は分かるか?!」
「さて、どうだったかな」
サーガが広げた地図でだいたいこの辺りじゃなかったか?とその人は示した。
「ありがとよ!」
少ないながらも礼金を渡し、サーガが酒場を飛び出す。
聞き込みで散っていた皆に風で報せて村の外に呼び出す。
「分かったの?!」
駆けてきたキーナの期待混じりの視線を受け止め頷く。
「ああ、行くぜ!」
魔法の多重使用は疲れるからとルイスが張った結界を、サーガが風で浮かせて動かす。結界を張ることに意識を使わなくていいせいか、移動速度が速い。
陽が暮れる前に、問題の山らしきものが見えて来た。
その山を見てキーナ一言。
「なんか、暗い山」
普通に木が生い茂っている只の山に見えるのだが、何故か暗く見える。
山の手前で地面に降り、山に向かって歩き出した。
「あっちだな」
ルイスが気配を察知したのか、方向を指し示した。
ルイスの指し示した方向へと足を進めると、洞窟が見えて来た。
「あれか?!」
「うん。シゲールの気配だ」
サーガの問いに頷くルイス。サーガとキ-ナが洞窟まで走る。
中を覗き込むが、暗くなり始めたせいか真っ暗で何も見えない。
「お待ちよ。洞窟に入っていってもシゲールはいないぜ」
ルイスが二人を止める。
「亜空間からこっちに戻るにも目印が必要でな。目立たないところに楔みたいなのを打ち込んでるんだよ。それさえ分かれば空間を開ける」
ルイスがゆっくりと洞窟に入っていく。
その後ろからサーガ、キーナと入って行く。テルディアスとダンも後に続いた。
魔法で明かりを灯しながらしばらく進むと、行き止まりになった。
「おい! その空間てのはどこにあるんだよ!」
サーガがイライラと怒鳴った。
「うん。見付けた」
最奥の壁にルイスが手を伸ばす。
「これだな」
そのまま手を翳して、ルイスが動かなくなった。
何かをしている事を感じたサーガも黙って待つ。
「むうっ!」
ルイスが気合いを発すると、壁が消え、黒い穴が現われた。
「そこか!」
サーガが急ぎ飛び込もうとする。
「まあお待ちよ」
ルイスが止める。
「なんで止めるんだよ!」
穴の前に立ち塞がるルイスを睨み上げた。
「思ったより堅牢に作ってあってね。俺はここで穴を維持しなきゃならん。完全に閉じると完全に相手の空間になっちまうからね。そうなると余計に戦いにくくなる。ここで穴を維持できりゃ、中に入っても4大精霊の力は使えるから、あんたらでもそこそこ戦えるとは思う。
ただ何よりも、この空間内はあいつの領域だ。いつも以上に戦いにくいはずだ。だから、無理はせずに駄目だと思ったら逃げてきてくれ。俺なら、あいつに負けはしない」
「ち、逃げるってのは酌だが、しょうがねえか」
サーガが渋々頷く。
「分かった。行って来るね。穴の維持はお願いします」
「ああ、任せてな」
キーナの言葉に頷き返す。
そして、サーガを先頭に、キーナ達はシゲールの空間へと足を踏み入れた。
「なんだ? これは、ルイス?」
自らの空間に穴を開けられ、入って来た気配に気付いたシゲール。
懸命に繋げる穴を維持しているのはルイスのようだが、その他に4つの気配。しかも一人は狙っている光の御子のもの。
「あっちから飛び込んできてくれるとはねぇ」
ニタリと笑みを浮かべ、掴んでいたメリンダの足を放り出す。
メリンダはぐったりとしており、その瞳も暗い。
シゲールは立ち上がると、メリンダを置いて4つの気配の方へと歩き去った。
穴に入る。
中は床も天井も壁も分からない、異様な空間だった。中の造りはその領域の主となった者によって異なるという。基本色は黒なのであまり映えないらしいが。
床が見えるわけではないのに、そこに床があることが分かるという奇妙な感覚を覚えながら、一歩一歩足を進める。
「で、何処行きゃいいんだこれ?」
サーガがぐるっと見回しながら言った。
壁があるようには見えない。かといって誰かがいるようにも見えない。
不思議と明かりもないのにお互いの姿が確認できる。
「違う空間にいるとか?」
考えたくはない答えをキーナが口に出してしまう。ここ以外に他に手掛かりはない。
「冗談じゃねーぞ」
ここでなければまた一から探し直しだ。しかも何も手掛かりはない。
焦りを覚えながらじいっと周りの闇に目を凝らす。何かないかと。
「ようこそ、俺の空間へ」
目の前の闇から突然シゲールが姿を現わした。
全員身構える。
「まさかそっちから来てくれるとはねぇ」
そう言いながら下卑た視線でキーナを眺め回す。
その視線に気持ち悪さを感じつつもキーナは叫んだ。
「メリンダさんは?! どこ?!」
「あの女かぁ? なかなかいい女だったぜ。あんなに壊しがいのある女も初めてだった」
「! メリンダさんを返して!!」
シゲールは少し首を傾げていたがニタリと笑うと、
「まあいいか。もう少し遊びたかったけど、なにせ極上の相手が来たんだしぃ?」
ニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべたまま、シゲールが右手を軽く動かした。
するとその横の闇の中から、ゆっくりと赤い頭が見え始めた。
「メリンダさん!!」
思わず駆け寄ろうとするキーナ。しかしその肩をテルディアスが掴んだ。
「ダン!」
鋭い声でテルディアスがダンを呼ぶ。それで何か察したのか、ダンが背負っていた荷物を下ろし何かを探し始める。
「テル? どうして…」
徐々に見え始めるメリンダの体。もともと来ている服の面積は少ない。しかし遠目にも分かるその体の汚れや傷。そして見え始める何も着けていない胸元。
ダンがその薬をキーナに向かって放り投げた。
「わぷ!」
顔に当たったその薬を、キーナは思わず吸い込んでしまう。
「ダン? 何を…」
キーナが意識を失い、倒れかけた。その体をテルディアスが抱え込む。
口元をマントで覆い、その薬を吸い込まないように気をつけながら。
(キーナに見せてはまずい…)
直感的にそう思った。
力が暴走するかもしれないからか、または心の傷になるかもしれないからか。
異性である自分でさえ胸くその悪くなるその光景を、同性でありなおかつまだ精神が幼いキーナが見たらどんなトラウマになることか。
これから戦いになることを考えるならば、意識のない人間など足手まといになってしまうかもしれないが、キーナには眠っていてもらうのが一番だと思えた。
いざとなったらダンにキーナを抱えて空間の外に逃げてもらえば良い。
メリンダの体が闇の中から出て来た。すでに全身が見えており、何をされたのかは一目瞭然だ。
普段女になど何も思わないテルディアスでさえも胸くその悪くなる光景。流石に怒りが湧いてくる。
「テルディアス、ダン、手ぇ出すなよ」
サーガの声が聞こえた。
テルディアスからはその背中しか見えないが、メリンダと一番仲の良いこの男が何を思っているかは察しがつく。多分、テルディアスよりも激しい怒り、そして憎しみ。
「こいつは俺が殺す」
暗い声でそう告げると、シゲールへと歩を進める。
「俺を殺すぅ?」
シゲールが笑い出す。
「ここは俺の空間だぜぇ? いくらルイスが穴開けてるからって、4大精霊の力しか使えないお前らが俺に敵うと思ってんのかぁ?」
「どうでもいい」
風が舞い始める。サーガの周りに集まり始める。
「お前は殺す。それだけだ」
風が渦を巻き、サーガとシゲールの周りを囲み始める。
ダンが慌てたように地の力を使い、メリンダを側まで寄せて来る。
「どうだ?」
テルディアスがちらりとダンの方を見て、メリンダの様子を聞く。
ダンは少し困ったような顔をしながらも、小さく頷いた。
体の傷はダンが治すことが出来る。しかし…。
テルディアスは前に意識を集中し始めた。
サーガにもしものことがあればすぐさま行動に移せるように。
風が激しく渦を巻く。触れればそのカミソリのような切れ味でどんなものさえ切ってしまうだろう。
「こぉんな結界張ってもねぇ。意味あると思ってるんだ?」
余裕の態度のシゲール。
「てめえは細切れにしてやる」
メリンダでさえ見たことのない残酷な笑みを浮かべるサーガ。ここが闇の空間だから見えるのか、サーガの体が仄かに黄色い光を帯びていた。
「やってみろよぉ?」
誘うようにシゲールが手招きをする。
風が走る。そしてシゲールの頬が切れ、血が滴った。
「は?」
驚きの表情を浮かべるシゲール。
あらゆる方向から風が迫り、シゲールの体のあちこちを切り裂く。
「な、なんで…!」
焦ったように何かをし始めるシゲール。その間にも風が走り、シゲールの体を切り裂く。
「なんで…! 4大精霊だろうが! 何故俺の言うことを聞かない!!」
「俺がいるからじゃねーの」
シゲールがサーガを睨む。
「4大精霊は2神精霊の言うことには逆らえないはずだぞ! そうか、ルイスが何かしたのか…」
「うるせーよ」
先程までとは違う大きな風の刃が走った。
ズパッ!
シゲールの左腕が飛んだ。
「!! ぎゃああああああああ!!」
あまりの痛みに倒れ込み藻掻くシゲール。
そこにサーガがゆっくりと近づく。
「姐さんの苦しみはこんなもんじゃねーぞ」
シゲールの右足が飛んだ。
テルディアス達の目の前で風が渦を巻いている。
その中の様子は風が目隠しをし、さらに音も遮断してしまっているので何が起きているのか全く分からない。
テルディアスは念の為キーナをダンに預け、何かあったらすぐに逃げろと指示を出す。
目の前の風の壁に意識を集中するが、やはり何が起きているのかは全く分からない。
そんな緊張状態がしばらく続いた。
どれくらい経ったか、風の勢いがなくなり始め、風の壁が消えた。
ダンが思わず目を逸らす。
そこには四肢を失い、体中を切り刻まれたシゲールと、冷めた目でそれを見下ろすサーガがいた。
微かにシゲールの体がピクリピクリと痙攣しているのが見える。
「大きな口聞いてたわりにゃ、たいしたことねーじゃねーか」
サーガがシゲールの体をグリグリと踏みつける。
「てめーみてーな奴が…」
ぐらりとサーガの体が揺れ、尻餅をついた。
「て…」
サーガの体を纏っていた光が消えた。
「おおい! あんたら!」
入り口の穴の方からルイスの声が聞こえてきた。
「まずい! 空間が潰れる! 早く出てこい!」
シゲールの力が消えたのか、空間が揺らぎ始めていた。
慌ててメリンダを抱えるダン。テルディアスもキーナを抱える。
「何をしている!」
尻餅をついたまま立ち上がろうとしないサーガにテルディアスが怒鳴る。
「うっせ。先行け」
力の無い声が聞こえてきた。
(魔力切れか?!)
舌打ちすると、ダンにキーナを預け先に行って貰う。
ダンは両肩にキーナとメリンダを抱えて走り出した。
テルディアスはサーガの元へと向かう。
「まぬけが。後先考えて戦え」
「てめーに言われたくねー…」
いつもの軽口ではあるが力が無い。
仕方なく肩を貸してやる。
「てめーの肩借りるなんざ、生涯最大の屈辱だ…」
「俺も置いて行けるなら置いて行きたいところだ」
そのままテルディアスはサーガを文字通り引き摺りながら、空間から脱出した。
「っだはー…。疲れた…」
ルイスが気を抜くと、穴は一瞬で消え去った。シゲールを中に残したまま…。
布団でくるんだメリンダをダンが抱え、眠っているキーナをテルディアスが抱え、嫌がるサーガをルイスが抱えてとにかく洞窟から出る。(もちろん皆姫抱っこ)
辺りはすでに夜。適当な所で火を起こし、野宿の準備を始める。
簡単に食事を済ませると、ダンとルイスがメリンダの様子を診察した。
体の傷はダンが治した。問題は…。
「あいつ、酷いやり方しやがる…」
ルイスがメリンダの体に手を翳し、何かをしているようだった。よく見ていると黒い煙のような物がメリンダの体からじわじわと出ていく。
しばらくすると煙が出なくなり、ルイスが手を下ろした。
「何かされてたのか?」
今だまともに動けずほぼ寝転がったままのサーガがルイスに尋ねる。
「うん…。闇の力は精神的なことに影響が出やすいんだけど…」
心を惑わせる。いわゆる催眠術のような系統の魔法が得意らしい。
それは催眠術のような上辺だけのものではなく、まさに潜在意識に及ぶくらいの意識の書き換え、いや塗り替えをすることも出来るのだそうだ。
「はぐれ闇になる奴は大抵その状態なんだ」
自らの力を制御出来ず暴走している状態。それがはぐれ闇。はぐれ闇になってしまうと、性格が歪んでしまうと言う。
「で、シゲールがこのお姉さんにしたのは…」
記憶を塗り潰すこと。幸せな記憶を塗り潰し、嫌な記憶を増幅させる。大切な者さえ忘れさせ、ただ苦しい思いだけを前面に出す。
メリンダが踏ん張っていたのは、偏にキーナを大切に思う心があったから。それを無理矢理封じ、過去の嫌な記憶を掘り起こし、増幅し、何度も追体験させる。
サーガの顔が苦しげに歪んだ。
「中に残っていた闇は俺ができるだけ除去したけど、完全ではないからしばらくは錯乱状態が続くと思う。あとはこのお姉さん次第になっちまうけど…」
心配そうにメリンダを見る。
「火、浄化、一番強い。大丈夫」
ダンが珍しく言葉を発した。
「火? 浄化?」
「ああ、そういや、このお姉さん火の一族だっけ。火の一族は4大精霊の中でも浄化の力が強いんだっけか」
サーガの疑問にルイスが説明した。
4大精霊の中でも浄化の力が強い火の一族のメリンダ。だからこそ大丈夫だろうと言いたいらしい。
「だったら、いいけどな…」
サーガが心配そうにメリンダを見た。
「ところで、サーガ君、だっけ。その、シゲールは…」
ルイスがおずおずと聞いて来た。
「殺した」
サーガのそのあっさりとした答えを聞き、少し固まるルイス。
ずっと穴の所にいたので、中での詳細な出来事は分からなかったらしい。
「そうか…。すまない。ありがとう…」
ルイスがそう行って頭を下げた。
ダンが差し出して来たあの怪しい飲み物を、再びサーガが飲み込んで眠りに落ちる。
いつにもまして、静かな夜になった。
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