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シゲール襲来編
もたげる不安
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次の日もキーナはお休みした。
それを伝えに行くダンは昨日よりもおっかなびっくり店へと行った。
中には入らず戸口で伝え、逃げるように店を去って行ったのだった。
チナはちょっと悲しそうな顔でそれを見送ったのだった。
「よいっす」
「こんにちはでしょ」
「俺は良いの」
「なんで?」
「俺だから」
訳の分からん理屈を押しつけ問答するサーガとメリンダ。
その姿はもうほとんど以前と変わらないように見えた。
「ダン、こんにちは」
しかし無邪気にこちらに笑いかけるそのメリンダの顔は、まだまだ幼さが残る。
ほっとするような残念なような、ダンは複雑な思いで2人の側に座った。
「メリンダが昨日から自分もやりたいって言い始めてさ…」
サーガがちらりと視線をやったその先には、洗われた状態の食器達。昨日メリンダがダンの仕事を見つめていたことを思い出す。
「一応確認してくれや」
サーガが苦笑いした。
メリンダが夜ちゃんと眠るようになったので、サーガも楽になったと笑う。しかし一応ダンがいる時に休ませる。
「んじゃ、ちと休ませてもらうわ」
サーガが丸太に背を預け、目を閉じようとする。
横になって寝た方がいいのではとダンは思うが、声を掛けるのは憚られた。
「寝るの?」
メリンダがサーガに聞いた。
「そうよ。ちょっと目を瞑ってるだけ」
サーガがメリンダに笑顔で答える。
「なんで横にならないの?」
自分から聞けないダンは、もっと聞いてやれとメリンダを応援する。
「俺はこれでも休めるから平気なのよ。メリンダは良い子にしてろよ」
「うん。また手繋いであげる」
「ありがとね~」
メリンダがサーガの手を握り、サーガが目を瞑る。メリンダがまた子守唄を歌い出した。
その間にダンはいつものように炊事洗濯掃除をしようと動き出す。
メリンダが洗ったという食器を見に行き、ダンは目を見張った。
微妙に洗い切れていない…。
正気のメリンダであればこんなことはないのであるが、やはりまだまだ回復は難しいのか。
ダンは乾いて落としにくくなった微妙に汚れた食器達を洗い直すことにした。
全てを水につけて、しばらく放置。その間に洗濯を済ませてしまおうと動き出す。
するとメリンダがやって来た。
「あたしやったのよ」
食器を指さす。
ダンはオドオドする。
これは「1度洗ったのになんでもう1度洗うのか?」と問われているに違いない。
ここで馬鹿正直に「きちんと洗えていないから」と答えると不味いことになるだろうことは予想がつく。
「あ、洗いたいから…」
苦し紛れにダンが言った。
「洗うの好きなの?」
メリンダの問いにコクコクと首を振る。
「ふーん」
メリンダは納得したようだった。
ダンが逃げるように洗濯を始めると、
「あたしもやりたい」
メリンダが言ってきた。
後で洗い直しになる手間暇を考えれば出来れば大人しくしていて欲しかったが、そんなに純粋な瞳で見つめられると駄目とも言いにくい。
ダンは無言でメリンダに洗濯物を差し出す。
メリンダが見様見真似で洗い始めた。
仕上げはダンがやって、干して終わり。次は食器だと動くとメリンダが付いてくる。
やはりやりたがったので、やはり仕上げはダンがやって食器を洗い終える。
掃除もメリンダがやりたがった。やはり仕上げはダンが。
そして料理に移るわけだが…。
メリンダの瞳が輝いている。これはもう言わずもがな。
正気のメリンダであれば是非にも任せてしまいたいが、今のメリンダではナイフで指を切ってしまう可能性も捨てきれない。
ダンが困っていると、
「何やってんだ?」
サーガが起きてくれた。
「メリンダ、料理、したいと」
「あ~、お手伝いの虫ね」
どうやら昨日からお手伝いに目覚めたようだった。
「メリンダ、料理は危ないから、向こうで俺と遊ぼうか」
「や。お手伝いする」
頑として動こうとしない。
渋い顔でサーガが悩む。ダンも困ったように何か良い方法はないかと頭を悩ませる。
「それなら、料理に使う薪が足りなそうだから、俺の薪拾いのお手伝いをしてくれない?」
「お手伝いなの?」
「とっても大事なお手伝いだよ~」
「うん、やる!」
サーガがメリンダを連れて離れてくれた。
ほっとしてダンも料理に取りかかる。
今日はメリンダに気を取られて遅くなってしまったので、いつもよりも簡単な食事となった。
ダンが仮宿へと帰ってくると、そこにはまさに恋人のように仲良く横並びに座って語り合うキーナとテルディアスの姿。その空気の中に入っていく勇気のないダンは、木の影からその光景を見つめ、帰れないとオロオロしていた。いや、そこは突入するべきだろう。
「あれ? ダンじゃない」
キーナがオロオロしていたダンを目敏く見付けてくれた。さすがにいることがバレたのならば隠れる必要はない。
お邪魔になったのではないかと危惧しながらオドオドと帰ってくるが、特にテルディアスもなんとも思っていないようだった。てっきり2人きりの時間を邪魔して怒るのではないかと思ったのだが…。
ダンにはこの2人のことがよく分からなかった。
しかもよくよく2人の話しを聞いてみれば、
「テルがね、体が冷えるって言うから、じゃあテルの膝に座らせてって言ったら「駄目!」の一点張りで」
「当たり前だろ」
2人で仲良く語り合っていたのではなく、テルディアスの膝に乗せろ乗せないの言い合いをしていたのだそうな。
まあ、仲は良さそうである。
翌日はキーナも元気に出勤していった。
テルディアスとぎこちなく手を繋いで行く光景も大分見慣れ、ダンは食材を見繕う。
顔馴染みになった店などで、おまけをつけて貰えることも時折あるようになった。
ダンは地の一族の特性か、あちこち歩き回るよりも一カ所に構えて生活する方が性に合っている。なにより、見た目が少々怖いので、初見でどことなく怯えていた人達がこなれて普通に接してくれるようになってくれるのは有り難い。
それに付け加えてダンは体が大きく力持ち。しかし気弱で優しいと来ている。時折困っている人になどに手を差し伸べていたら、街の人達からも少しずつ頼られるようになっていた。
でも女性が怖いのはまだ治らない。
このまま穏やかに過ごして行きたいとも思うが、実はまだ旅の途中なのだよね。
母親に「世界を見てこい」と追い出されたので、多分あちこちの街や村や国を見ていかなければきっと村へは帰れない。村から出てそれほどの期間が経ったわけでもないのに、少し郷愁の念にかられたダン。サーガの歌の効果もあるのかもしれない。
そんな事を考えつつサーガ達の元へ来てみれば、
「うっす」
「こんにちは」
昨日よりもしっかりした感じのメリンダ。ダンはふと不安を感じたが、それを押し込む。
メリンダがやはり食器を洗ってしまったとのこと。また後で洗い直しかとダンは心の中で溜息。
サーガがやはり丸太に寄りかかって寝ようとすると、
「体が冷えるでしょ」
そう言ってメリンダがサーガにメリンダが使っている布団を掛けた。
明らかに昨日よりも成長している。
しかし手を繋いで子守唄を歌うのは変わらなかった。
その間に食器を水に浸けてしまおうとダンが動く。しかし食器を確認して驚いた。綺麗に洗われている。
成長している…。しかしまだ記憶が戻った様子はない…。
ダンは押し込めていた不安が頭をもたげてくるのが分かった。
メリンダには正気に戻って欲しい。記憶が戻って以前のように過ごせたらそれが一番良いことだ。
しかし、それはあの攫われた時の記憶も一緒に思い出してしまうことになるだろう。
それは大丈夫なのだろうか?
あの時の苦痛や恐怖を思い出し、再びメリンダが壊れるようなことがないとも言い切れない。
ダンは自分の中の不安が大きくなっていくのを止めることが出来なかった。
メリンダのお手伝いは昨日ほど邪魔にはならなかった。大分慣れた手つきでさっさとこなしてしまう。しかし…料理の手伝いはやはり躊躇われる。
「メリンダ、また薪拾いのお手伝いしてくれよ」
良いタイミングで起きてきたサーガが昨日と同じようにメリンダに声を掛けた。
「いや。あたしも皮むきしたい」
今日は素直では無かった。
ダンとサーガが目で会話をする。
どうする?どうする?
しかしメリンダの視線が真剣で、どうにも断わることが出来ない雰囲気であった。
なので、何かあった時にはダンが怪我を治すということにして、サーガも見張り役になってメリンダに料理のお手伝いをしてもらうことになった。
しかし2人の心配も何処吹く風。元々料理に慣れていたこともあるのだろう。とても綺麗に食材の皮を剥き、切り分けてしまったのだった。
全ての用事を済ませると、ダンはメリンダが少し離れたのを確認し、サーガに自分の不安を吐露してみた。このままでメリンダは大丈夫なのだろうかと。
しかし、
「なるようにしかならんだろ」
とサーガ。
その顔を見れば、サーガも同じような不安を抱えているのだろうことが分かった。
ダンは念の為速攻眠り薬をサーガに少し多めに渡しておく。何かあったらすぐに呼んでくれと念を押し、仮宿へと帰った。
キーナとテルディアスは特に変わったことのない一日だったようだ。キーナのお店には女性客もちらほら見えるようになって来たとキーナが嬉しそうだった。
キーナが風呂に入っている時に、またテルディアスと話をした。湧き上がってきた不安を話さないと落ち着かなかったのだ。
「あいつの言うとおりだが、なるようにしかならんだろうな」
テルディアスも難しい顔になって焚き火の炎を睨んだ。
それを伝えに行くダンは昨日よりもおっかなびっくり店へと行った。
中には入らず戸口で伝え、逃げるように店を去って行ったのだった。
チナはちょっと悲しそうな顔でそれを見送ったのだった。
「よいっす」
「こんにちはでしょ」
「俺は良いの」
「なんで?」
「俺だから」
訳の分からん理屈を押しつけ問答するサーガとメリンダ。
その姿はもうほとんど以前と変わらないように見えた。
「ダン、こんにちは」
しかし無邪気にこちらに笑いかけるそのメリンダの顔は、まだまだ幼さが残る。
ほっとするような残念なような、ダンは複雑な思いで2人の側に座った。
「メリンダが昨日から自分もやりたいって言い始めてさ…」
サーガがちらりと視線をやったその先には、洗われた状態の食器達。昨日メリンダがダンの仕事を見つめていたことを思い出す。
「一応確認してくれや」
サーガが苦笑いした。
メリンダが夜ちゃんと眠るようになったので、サーガも楽になったと笑う。しかし一応ダンがいる時に休ませる。
「んじゃ、ちと休ませてもらうわ」
サーガが丸太に背を預け、目を閉じようとする。
横になって寝た方がいいのではとダンは思うが、声を掛けるのは憚られた。
「寝るの?」
メリンダがサーガに聞いた。
「そうよ。ちょっと目を瞑ってるだけ」
サーガがメリンダに笑顔で答える。
「なんで横にならないの?」
自分から聞けないダンは、もっと聞いてやれとメリンダを応援する。
「俺はこれでも休めるから平気なのよ。メリンダは良い子にしてろよ」
「うん。また手繋いであげる」
「ありがとね~」
メリンダがサーガの手を握り、サーガが目を瞑る。メリンダがまた子守唄を歌い出した。
その間にダンはいつものように炊事洗濯掃除をしようと動き出す。
メリンダが洗ったという食器を見に行き、ダンは目を見張った。
微妙に洗い切れていない…。
正気のメリンダであればこんなことはないのであるが、やはりまだまだ回復は難しいのか。
ダンは乾いて落としにくくなった微妙に汚れた食器達を洗い直すことにした。
全てを水につけて、しばらく放置。その間に洗濯を済ませてしまおうと動き出す。
するとメリンダがやって来た。
「あたしやったのよ」
食器を指さす。
ダンはオドオドする。
これは「1度洗ったのになんでもう1度洗うのか?」と問われているに違いない。
ここで馬鹿正直に「きちんと洗えていないから」と答えると不味いことになるだろうことは予想がつく。
「あ、洗いたいから…」
苦し紛れにダンが言った。
「洗うの好きなの?」
メリンダの問いにコクコクと首を振る。
「ふーん」
メリンダは納得したようだった。
ダンが逃げるように洗濯を始めると、
「あたしもやりたい」
メリンダが言ってきた。
後で洗い直しになる手間暇を考えれば出来れば大人しくしていて欲しかったが、そんなに純粋な瞳で見つめられると駄目とも言いにくい。
ダンは無言でメリンダに洗濯物を差し出す。
メリンダが見様見真似で洗い始めた。
仕上げはダンがやって、干して終わり。次は食器だと動くとメリンダが付いてくる。
やはりやりたがったので、やはり仕上げはダンがやって食器を洗い終える。
掃除もメリンダがやりたがった。やはり仕上げはダンが。
そして料理に移るわけだが…。
メリンダの瞳が輝いている。これはもう言わずもがな。
正気のメリンダであれば是非にも任せてしまいたいが、今のメリンダではナイフで指を切ってしまう可能性も捨てきれない。
ダンが困っていると、
「何やってんだ?」
サーガが起きてくれた。
「メリンダ、料理、したいと」
「あ~、お手伝いの虫ね」
どうやら昨日からお手伝いに目覚めたようだった。
「メリンダ、料理は危ないから、向こうで俺と遊ぼうか」
「や。お手伝いする」
頑として動こうとしない。
渋い顔でサーガが悩む。ダンも困ったように何か良い方法はないかと頭を悩ませる。
「それなら、料理に使う薪が足りなそうだから、俺の薪拾いのお手伝いをしてくれない?」
「お手伝いなの?」
「とっても大事なお手伝いだよ~」
「うん、やる!」
サーガがメリンダを連れて離れてくれた。
ほっとしてダンも料理に取りかかる。
今日はメリンダに気を取られて遅くなってしまったので、いつもよりも簡単な食事となった。
ダンが仮宿へと帰ってくると、そこにはまさに恋人のように仲良く横並びに座って語り合うキーナとテルディアスの姿。その空気の中に入っていく勇気のないダンは、木の影からその光景を見つめ、帰れないとオロオロしていた。いや、そこは突入するべきだろう。
「あれ? ダンじゃない」
キーナがオロオロしていたダンを目敏く見付けてくれた。さすがにいることがバレたのならば隠れる必要はない。
お邪魔になったのではないかと危惧しながらオドオドと帰ってくるが、特にテルディアスもなんとも思っていないようだった。てっきり2人きりの時間を邪魔して怒るのではないかと思ったのだが…。
ダンにはこの2人のことがよく分からなかった。
しかもよくよく2人の話しを聞いてみれば、
「テルがね、体が冷えるって言うから、じゃあテルの膝に座らせてって言ったら「駄目!」の一点張りで」
「当たり前だろ」
2人で仲良く語り合っていたのではなく、テルディアスの膝に乗せろ乗せないの言い合いをしていたのだそうな。
まあ、仲は良さそうである。
翌日はキーナも元気に出勤していった。
テルディアスとぎこちなく手を繋いで行く光景も大分見慣れ、ダンは食材を見繕う。
顔馴染みになった店などで、おまけをつけて貰えることも時折あるようになった。
ダンは地の一族の特性か、あちこち歩き回るよりも一カ所に構えて生活する方が性に合っている。なにより、見た目が少々怖いので、初見でどことなく怯えていた人達がこなれて普通に接してくれるようになってくれるのは有り難い。
それに付け加えてダンは体が大きく力持ち。しかし気弱で優しいと来ている。時折困っている人になどに手を差し伸べていたら、街の人達からも少しずつ頼られるようになっていた。
でも女性が怖いのはまだ治らない。
このまま穏やかに過ごして行きたいとも思うが、実はまだ旅の途中なのだよね。
母親に「世界を見てこい」と追い出されたので、多分あちこちの街や村や国を見ていかなければきっと村へは帰れない。村から出てそれほどの期間が経ったわけでもないのに、少し郷愁の念にかられたダン。サーガの歌の効果もあるのかもしれない。
そんな事を考えつつサーガ達の元へ来てみれば、
「うっす」
「こんにちは」
昨日よりもしっかりした感じのメリンダ。ダンはふと不安を感じたが、それを押し込む。
メリンダがやはり食器を洗ってしまったとのこと。また後で洗い直しかとダンは心の中で溜息。
サーガがやはり丸太に寄りかかって寝ようとすると、
「体が冷えるでしょ」
そう言ってメリンダがサーガにメリンダが使っている布団を掛けた。
明らかに昨日よりも成長している。
しかし手を繋いで子守唄を歌うのは変わらなかった。
その間に食器を水に浸けてしまおうとダンが動く。しかし食器を確認して驚いた。綺麗に洗われている。
成長している…。しかしまだ記憶が戻った様子はない…。
ダンは押し込めていた不安が頭をもたげてくるのが分かった。
メリンダには正気に戻って欲しい。記憶が戻って以前のように過ごせたらそれが一番良いことだ。
しかし、それはあの攫われた時の記憶も一緒に思い出してしまうことになるだろう。
それは大丈夫なのだろうか?
あの時の苦痛や恐怖を思い出し、再びメリンダが壊れるようなことがないとも言い切れない。
ダンは自分の中の不安が大きくなっていくのを止めることが出来なかった。
メリンダのお手伝いは昨日ほど邪魔にはならなかった。大分慣れた手つきでさっさとこなしてしまう。しかし…料理の手伝いはやはり躊躇われる。
「メリンダ、また薪拾いのお手伝いしてくれよ」
良いタイミングで起きてきたサーガが昨日と同じようにメリンダに声を掛けた。
「いや。あたしも皮むきしたい」
今日は素直では無かった。
ダンとサーガが目で会話をする。
どうする?どうする?
しかしメリンダの視線が真剣で、どうにも断わることが出来ない雰囲気であった。
なので、何かあった時にはダンが怪我を治すということにして、サーガも見張り役になってメリンダに料理のお手伝いをしてもらうことになった。
しかし2人の心配も何処吹く風。元々料理に慣れていたこともあるのだろう。とても綺麗に食材の皮を剥き、切り分けてしまったのだった。
全ての用事を済ませると、ダンはメリンダが少し離れたのを確認し、サーガに自分の不安を吐露してみた。このままでメリンダは大丈夫なのだろうかと。
しかし、
「なるようにしかならんだろ」
とサーガ。
その顔を見れば、サーガも同じような不安を抱えているのだろうことが分かった。
ダンは念の為速攻眠り薬をサーガに少し多めに渡しておく。何かあったらすぐに呼んでくれと念を押し、仮宿へと帰った。
キーナとテルディアスは特に変わったことのない一日だったようだ。キーナのお店には女性客もちらほら見えるようになって来たとキーナが嬉しそうだった。
キーナが風呂に入っている時に、またテルディアスと話をした。湧き上がってきた不安を話さないと落ち着かなかったのだ。
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