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はぐれ闇オルト編
メリンダ察する
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メリンダは驚いていた。
サーガとメリンダの体力が回復するまで泊まっている宿。すでにキーナのお月様も期日は過ぎ、そろそろテルディアスのベッドに忍び込んでいってもいい頃合いなのだが。
(ベッドで寝てる…)
そう。何故かキーナが自分のベッドで寝ているのである。
いや、それが普通のことのはずなのだけれども。
「おふぁよぉ、メリンダさん」
少し寝不足気味なのか、キーナが眼をこすりこすり、体を起こす。
「おはようキーナちゃん」
どうしてテルディアスの所へ行ってないの?とも聞けず、言葉を飲み込む。
なんとなくではあるが、その空気は感じ取っていた。サーガほど敏感ではないが、女の勘というものである。
なんとなくキーナがテルディアスに対してよそよそしいものを感じていた。若干目を逸らしている。いや、本人なりに普通を装っているのが端から見て丸わかりなのだが、自然にしようとして不自然になっている自覚はないのだろう。
今まではまさにベッタリという感じで本人もその近さを意識してはいなかったのだろうが、意識している。今までより若干間が空いている。なんというか、半歩とまでは行かないくらいのテルディアスとの距離が空いている。
テルディアス本人もそのことに気付いているようではあるが、キーナには激甘で激弱のテルディアスはそのことに触れるのも怖いらしく、聞けていないようである。ヘタレめ。
キーナがよそよそしいとテルディアスもなんだか行動がおかしい。それをフォローしてやりたいのだが、如何せんメリンダも調子が悪くそれどころではなかった。
しかしダンの栄養満点の食事のおかげもあるのか3、4日過ぎると大分調子も戻って来た(ダンが厨房を借りて特別に作ってくれたのだ)。となれば、この2人をどうにかしなければならないだろう。
もとよりサーガは面白そうに眺めているだけだし、ダンは口下手なので上手くフォロー出来ないし、シアなど論外。メリンダがやるしかないのだ。
「キーナちゃん、よく寝られてないんじゃない?」
「うん…? 大丈夫だよ!」
キーナがにっこり笑う。しかしその顔はどことなく疲れた感じがする。今までこんなに長くテルディアスと共に寝なかったことがあっただろうか。
なんだかおかしなことを言っている気もする作者だった。
テルディアスと一緒に寝ていた時は、毎朝スッキリした顔をしていたのだが、近頃少し目をショボショボさせている。良い睡眠が取れていないのかも知れない。
毎朝スッキリなんて…。誤解したらどうする…。
「ダンにお薬作って貰う? 睡眠不足は体に悪いわよ」
お肌に悪いと言おうとしたが、ピチピチ16歳には言っても効果が薄いと判断した。
「う…、ううん。大丈夫。すぐに慣れるよ」
テルディアスがいないことに慣れるということだろうか…。
何かがあった。メリンダは確信する。
あとでテルディアスを引っ張ってちょっと2人で話しをしようと決意を固めたのだった。
「本当にそれだけ?」
「そ、それだけだ!」
テルディアスと2人きりにしてもらったメリンダは、テルディアスに心当たりがないかと話しを聞いたが、テルディアスも首を傾げるばかり。
あの日始めてキーナの気配に気付いて目が覚めた。そのままキーナは自分の部屋へと戻り、それからテルディアスの元へ来ることもなくなった。
実はテルディアスも若干寂しさを感じてはいた…バキイ!
感じてなどいない。
というわけらしいのだが、しかしながらそれまでに口うるさく注意しても治らなかったものが突然なくなったということに戸惑いを感じなくもないわけで。
しかも平静を装いつつも、どことなく妙な間が空いてしまったことにも寂しさ(拳が見えた)…じゃなかった違和感を感じていたのだった。
内心なにかやっちまったかとオロオロしていて、実はメリンダに相談出来たことでほっとしていたりする。困った時のメリンダお姉さん相談室である。
「さすがに、寝ている時のことまでは、記憶にない。まさか、俺は何か…」
前科がなくもない。
そしてメリンダは考える。これまでの2人の行動、心理から推察すると…。
(キーナちゃんがテルディアスを「男」として意識し始めたってことね)
それが「好き」や「恋」まで発展しているのかは微妙な所ではある。その辺りはまだ影を潜めている感じがする。しかし「男」として意識し始めたということは、そういう感情が芽生えてくるのも遅くはないだろう。
思わず口元がにまにましてしまうメリンダ。今までにも時折見せるキーナのちょっと可愛い仕草や表情。それがグレードアップしたならばどんなに可愛いものになるのだろうか。キーナが恋する乙女の顔を見せ始めたなら…。
(ううう…。あたし、我慢出来るかしら…)
可愛すぎて襲いかかってしまうかも知れない。
いやなんでだ。
「う~ん、なんとなく、だけど、まあ、分かったわ」
メリンダが言葉を捻り出す。
「分かったのか?!」
明確な答えを貰えるものかと、テルディアスが期待の眼差しで見るも、メリンダ目を逸らす。
「分かったんだろ?」
「う~ん、なんとなく~?」
「だから、それはなんなんだ?」
自分が何かしたのかと心配しているテルディアスを落ち着かせる為、メリンダは言葉を選ぶ。
「え~と、まず、原因はあんただけどあんたじゃないから、…まあしばらく待っていれば落ち着くんじゃない?」
「はあ? 意味が分からんぞ?」
テルディアスの顔が渋る。
「え~と、強いて言うなら、あんたが何かしたわけじゃないってことだから、安心なさいな」
「?????」
とりあえず自分が何かしたわけではないのかとほっとした顔になったテルディアス。しかし首を傾げてしまう。
「だが、俺が原因なのだろう?」
「まあね」
「だったら、よく分からんが謝ったほうが…」
「意味も無く謝るのはやめなさいな。反対に不興を買うわよ」
メリンダの言葉にぐっと黙り込む。
(こいつもキーナちゃんに負けず劣らず、ニブチンなのよね…)
メリンダがこめかみを指で押さえ、溜息を吐いた。
サーガとメリンダの体力が回復するまで泊まっている宿。すでにキーナのお月様も期日は過ぎ、そろそろテルディアスのベッドに忍び込んでいってもいい頃合いなのだが。
(ベッドで寝てる…)
そう。何故かキーナが自分のベッドで寝ているのである。
いや、それが普通のことのはずなのだけれども。
「おふぁよぉ、メリンダさん」
少し寝不足気味なのか、キーナが眼をこすりこすり、体を起こす。
「おはようキーナちゃん」
どうしてテルディアスの所へ行ってないの?とも聞けず、言葉を飲み込む。
なんとなくではあるが、その空気は感じ取っていた。サーガほど敏感ではないが、女の勘というものである。
なんとなくキーナがテルディアスに対してよそよそしいものを感じていた。若干目を逸らしている。いや、本人なりに普通を装っているのが端から見て丸わかりなのだが、自然にしようとして不自然になっている自覚はないのだろう。
今まではまさにベッタリという感じで本人もその近さを意識してはいなかったのだろうが、意識している。今までより若干間が空いている。なんというか、半歩とまでは行かないくらいのテルディアスとの距離が空いている。
テルディアス本人もそのことに気付いているようではあるが、キーナには激甘で激弱のテルディアスはそのことに触れるのも怖いらしく、聞けていないようである。ヘタレめ。
キーナがよそよそしいとテルディアスもなんだか行動がおかしい。それをフォローしてやりたいのだが、如何せんメリンダも調子が悪くそれどころではなかった。
しかしダンの栄養満点の食事のおかげもあるのか3、4日過ぎると大分調子も戻って来た(ダンが厨房を借りて特別に作ってくれたのだ)。となれば、この2人をどうにかしなければならないだろう。
もとよりサーガは面白そうに眺めているだけだし、ダンは口下手なので上手くフォロー出来ないし、シアなど論外。メリンダがやるしかないのだ。
「キーナちゃん、よく寝られてないんじゃない?」
「うん…? 大丈夫だよ!」
キーナがにっこり笑う。しかしその顔はどことなく疲れた感じがする。今までこんなに長くテルディアスと共に寝なかったことがあっただろうか。
なんだかおかしなことを言っている気もする作者だった。
テルディアスと一緒に寝ていた時は、毎朝スッキリした顔をしていたのだが、近頃少し目をショボショボさせている。良い睡眠が取れていないのかも知れない。
毎朝スッキリなんて…。誤解したらどうする…。
「ダンにお薬作って貰う? 睡眠不足は体に悪いわよ」
お肌に悪いと言おうとしたが、ピチピチ16歳には言っても効果が薄いと判断した。
「う…、ううん。大丈夫。すぐに慣れるよ」
テルディアスがいないことに慣れるということだろうか…。
何かがあった。メリンダは確信する。
あとでテルディアスを引っ張ってちょっと2人で話しをしようと決意を固めたのだった。
「本当にそれだけ?」
「そ、それだけだ!」
テルディアスと2人きりにしてもらったメリンダは、テルディアスに心当たりがないかと話しを聞いたが、テルディアスも首を傾げるばかり。
あの日始めてキーナの気配に気付いて目が覚めた。そのままキーナは自分の部屋へと戻り、それからテルディアスの元へ来ることもなくなった。
実はテルディアスも若干寂しさを感じてはいた…バキイ!
感じてなどいない。
というわけらしいのだが、しかしながらそれまでに口うるさく注意しても治らなかったものが突然なくなったということに戸惑いを感じなくもないわけで。
しかも平静を装いつつも、どことなく妙な間が空いてしまったことにも寂しさ(拳が見えた)…じゃなかった違和感を感じていたのだった。
内心なにかやっちまったかとオロオロしていて、実はメリンダに相談出来たことでほっとしていたりする。困った時のメリンダお姉さん相談室である。
「さすがに、寝ている時のことまでは、記憶にない。まさか、俺は何か…」
前科がなくもない。
そしてメリンダは考える。これまでの2人の行動、心理から推察すると…。
(キーナちゃんがテルディアスを「男」として意識し始めたってことね)
それが「好き」や「恋」まで発展しているのかは微妙な所ではある。その辺りはまだ影を潜めている感じがする。しかし「男」として意識し始めたということは、そういう感情が芽生えてくるのも遅くはないだろう。
思わず口元がにまにましてしまうメリンダ。今までにも時折見せるキーナのちょっと可愛い仕草や表情。それがグレードアップしたならばどんなに可愛いものになるのだろうか。キーナが恋する乙女の顔を見せ始めたなら…。
(ううう…。あたし、我慢出来るかしら…)
可愛すぎて襲いかかってしまうかも知れない。
いやなんでだ。
「う~ん、なんとなく、だけど、まあ、分かったわ」
メリンダが言葉を捻り出す。
「分かったのか?!」
明確な答えを貰えるものかと、テルディアスが期待の眼差しで見るも、メリンダ目を逸らす。
「分かったんだろ?」
「う~ん、なんとなく~?」
「だから、それはなんなんだ?」
自分が何かしたのかと心配しているテルディアスを落ち着かせる為、メリンダは言葉を選ぶ。
「え~と、まず、原因はあんただけどあんたじゃないから、…まあしばらく待っていれば落ち着くんじゃない?」
「はあ? 意味が分からんぞ?」
テルディアスの顔が渋る。
「え~と、強いて言うなら、あんたが何かしたわけじゃないってことだから、安心なさいな」
「?????」
とりあえず自分が何かしたわけではないのかとほっとした顔になったテルディアス。しかし首を傾げてしまう。
「だが、俺が原因なのだろう?」
「まあね」
「だったら、よく分からんが謝ったほうが…」
「意味も無く謝るのはやめなさいな。反対に不興を買うわよ」
メリンダの言葉にぐっと黙り込む。
(こいつもキーナちゃんに負けず劣らず、ニブチンなのよね…)
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