現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう

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おまけ小話 ホル、ガチャに挑む

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タブレットの画面に、三人のキャラクターが並んでいる。

前列に立つのは、剣を構えたアタッカー。
後ろには回復役と、少し癖のある支援役。

『新月怪異譚』――
新月の夜にだけ現れる怪異やもののけと契約し、
三人編成で戦う、ターン制のコマンドバトル。

「よし……次のターン」

ホルは真剣な表情でコマンドを選ぶ。

攻撃。
スキル。
防御。

一手一手を考えるこの戦い方は、意外と性に合っていた。

「この子、ここでスキル使うと強いんだよね……」

悠人に教わった通りに操作しながら、
ストーリーを進め、寄り道をして、
報酬の“石”を少しずつ集めていく。

目的は、ひとつ。

(……黄昏)

悠人が使っていた怪異。

黒と黄色を基調にした衣装。
鋭い目つきに、挑発するような笑み。
戦いそのものを楽しんでいるかのような姿。

――自分に、似てる。

そう思ってしまった瞬間から、
もう後戻りはできなかった。

「欲しい……」

ガチャ画面を開き、
貯めに貯めた石の数を確認して、深呼吸する。

「いくよ……」

一回目。

光る演出。
……違う。

「うーん……」

二回目。

派手なカットイン。
……でも、違う。

「まだ……!」

何度か外して、
石が減るたびに、胸の奥が少しだけざわつく。

(出なかったら……どうしよう)

それでも諦めず、
未回収のサブミッションを探し、
ストーリーを巻き戻して、
必死に石をかき集めた。

そして――
最後の十連。

「……お願い」

画面が暗転する。

次の瞬間、
ひときわ強い光が弾けた。

「……っ!?」

現れたシルエット。
その構え、その色、その笑み。

「――黄昏……!」

思わず立ち上がる。

「出た!!」

飛び跳ねるようにタブレットを抱きしめる。

「やった……! やったぁ……!」

嬉しくて、嬉しくて、
どうしようもなくて。

「ついに……悠人が使ってた、私に似てるキャラ……!」

そのまま、勢いよくリビングへ。

「悠人ー!!」

タブレットを突き出して、満面の笑顔。

「見て! 見て! 出たよ!」

「やったね!
 ついに、黄昏、手に入ったー!」

息を弾ませながら、続ける。

「これ、全部悠人が教えてくれたおかげだよ!」

「編成も、戦い方も、石の集め方も!」

「ありがとう!」

そう言って、にこっと笑う。

画面の中では――
新たに契約された怪異《黄昏》が、
誇らしげに立っていた。

まるで、
その笑顔に応えるみたいに。

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