転生覚醒が遅すぎたので全力ヒキニートします!

カカオ70

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「いや、今更遅くない!?」

しかも異世界転生御用達の、言語理解とアイテムボックスが入っている!本当に今更!
そもそも悪役令嬢ものには不要なやつ!
これ、もしかすると神様が、転生先を間違えたんじゃないだろうか?
大体、言語の授業を受けている時には、噂のようにすぐに理解なんて出来なかったけれど、どういうことなのだろう。
そう思いながら「言語理解」と表示されている部分に指を伸ばすと、ポンとミニウィンドウが開いた。

「言語理解 をパッシブスキルに指定しますか?」
「はいはい、なるほど、アクティブスキルだったかあ~!」

ははは、と笑ってから、思わずバーンとベッドに両の拳を叩きつける。

「遅い!!!!!」

今更あらゆる言語に精通したからと言って、何の意味があるというんだ。こちとら石牢の中である。
それでもまあ、アクティブスキルにしない理由もないので、取り敢えずパッシブスキルに変更しておいた。
そして、アイテムボックス。

(これもパッシブスキルに出来るの?)

先程と同じように、アイテムボックスの文字に触れる。
すると、またもやポンとミニウィンドウが開いた。

「アイテムボックス使用のワードを決定しますか?」
「パッシブに出来るようなスキルじゃないからかあ…じゃあ、うーん…」

しばし悩んで、うっかり忘れを防止するために、そのまま「アイテムボックス」で登録する。
少し、ワクワク期待する。
もしかして、ポピーに譲った私の持ち物が、全てこの中に複製で入っていたりして?

「アイテムボックス」

設定したワードを唱えると、目の前に青いウィンドウが開く。
けど、期待に反して中身は殆ど空っぽ。
入っていたのは、たった1つだけだった。

「…スマホ?」

ウィンドウに表示されていたのは、その文字だけ。
私の呟きに合わせて、空中からポトンと私の手の中にスマホが落ちた。
見覚えのあるマグネットケース。
ケースの中に入れていたはずのクレカやポイントカードは、入っていない。
懐かしい、前世の我がスマホだった。

「えー!使えるの、これ?」

ちょうど暇を持て余していたのだ。
前世から、わざわざついてきてくれたスマホ。
使えなくては意味がない。
案の定、問題なく起動が出来た。

「あ、このゲーム!サービス終了したはずなのに、遊べるようになってるう!
 友達の欄は空欄になってるから、ハートは送り合いっこできないけど…」

嬉しくなって、きゃっきゃとはしゃぎながら、ベッドの上を転がりまわる。
なんと前世で遊んだアプリが、全部残っているではないか。
サービスが終了したゲームまで、だ。
SNS関係は、どうせネットの基地局がないわけで、意味がないだろう。
…と思ったが、試しに検索エンジンに自分の名前を打ち込んでみたら、検索結果がヒットした。
名前、性別、生年月日、身長、体重から、IQ、家系図、スキル、社交履歴、現在の評判などなど、とても見たくないような項目が並んでいる。
それなら、SNSも機能しているかもしれない、が。

「…まあ、いいか」

今更、人の評判や世相なんて気にして、何になるというのだろう。
私はこの石牢で生きていくのだ、一生。
先程までは一生の暇つぶし、どうしよう?と悩んでいたが、ゲームをやり放題のスマホが一台あれば幾らでも暇つぶし出来てしまうではないか。

ザ・快適ニート生活の完成だ。

「えーとえーと、漫画のアプリは…と」

複数入れていた漫画アプリも、試しに1つ立ち上げてみる。

そして、確信した。

「あ、ああ…神よ…!!」

私、この為に転生したに違いない。

私が前世を終えるまでに完結しなかった作品、未完のまま作者さんが筆を折った作品、ちまちまとした課金でなかなか読み進める事が出来なかった作品…

「あれも…ああ、これも…読める…全部、完結してる!全部、読める…!」

嬉しい…今すぐ読みたいのに、涙で前が見えない!


私はしばし感涙に咽び泣き、はっと気がついた時には、ベッドの脇にサリナが立っていた。

(いつの間に!?)

サリナは青ざめた顔で、私を見下ろしている。

「あっ、こ、これは…」

手に持っていたスマホを、慌てて背後に隠すが、流石に苦しい。
スマホを捧げ持ち、拝むようにして泣いてしまった。
視界に入らないわけがない。
明らかに文明が一足飛びのスマホの存在が、この世界の住人の目にどう映るのか。
マーガレットの意識は殆ど前世と融合してしまい、見当がつかなかった。
魔女だとかあらぬ疑いをかけられれば、助かった命も儚く散るだろう。
私は全身にドッと冷や汗をかきながら、なんとか口止めをせねば、とサリナの様子を伺ってちらりと視線を上向けた。
そんなサリナの顔の横に、アイテムボックスの青いウィンドウが浮いたままになっている。

「はは、終わった。」

言い訳のしようもない状況に、乾いた笑いだけが響いたのだった。


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