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犬小屋に学ぶ人類
しおりを挟むレオンの部屋で暮らしたい…。
その気持ちを、人の子のプライドで、ぐっと押し込める。
私にはサリナを幸せにする義務がある。
少なくとも、犬の部屋を見て、嫉妬したのではと思わせる生活をさせていては駄目だ!
あれこれと悩んでいる場合ではない!
ベッド!
運動室!
残金580,000G程から、迷わず次々とタップしていく。
寝室のアイテムはステップアップ方式。
すぐに高級家具に手が出せない仕様のようだが、もうためらわない。
いつまでも身を寄せ合って、小さなベッドで寝ているわけにはいかない!
私達が快適に暮らせるレベルまで、一気に引き上げる!
パイプベッド(シングル)10,000G→シンプルベッド(シングル)20,000G→宮付きベッド(セミダブル)50,000G→広々ベッド(ダブル)250,000G
ちゃんとのびのび寝られるサイズのベッドまでグレードアップするだけで、330,000Gが吹っ飛んだ。
そして、お布団。
タオルケット5,000G→布団セット(化繊)10,000G→布団セット毛布付き(化繊)15,000G→ふっくらワタ布団セット20,000G→ふんわり羽毛布団セット100,000G。
ワタ布団で止めようか悩んだが、勢いでいった。
前世の祖母の家で寝た時、ワタ布団が凄く重たくて、小柄な老人が私の上で正座している夢を見てうなされた記憶があったからだ。
寝具はふんわりに限る。
寝具で、150,000G。
残金は100,000G。
毎日エブリデイギリギリ生活である。
だが、ここで止まらない!
マット10,000G!
トレッドミル40,000G!
トランポリン50,000G!
もう、すっからかんだ。
正直名前だけでは、なんなのか全然わからない設備ばかりだった。
なに、ショルダープレスとかアブベンチとかラットプルダウンとか…呪文ですか?
マットはまあ…ヨガのポーズとかはスマホで検索して頑張れる。
安くて、使えそうだと思った。
トレッドミルは、名前の響きが美味しそうだったので選んだ。後悔するかもしれないが、仕方ない。
トランポリンは…。
違うんだ、出来心じゃないんだ。
確かに楽しそうと思ったけれど。
レオンの部屋の天井が高くて、開放感があることが心の栄養になるなって思ったのだ。
トランポリンを設置するなら、運動室の天井は必然的に高くなるはず。
そういう目算もあっての選択だ。
楽しそうだからも、理由ではあるが。
「よし、サリナ!運動しよう!」
「えっ、運動ですか?」
トイレと風呂場の扉の間に、廊下が現れている。
そこを進むと、運動室はすぐにわかった。
強化繊維の入ったガラス張りのドアは、いかにもフィットネスやりましょう!という灯りが漏れている。
ガチャリと開くと、アップテンポな音楽が流れていた。
足元は滑らかな凹凸のあるサラリとした床だった。
ヒールを脱ぎ捨てて素足で踏んでみたが、ひんやりとした感じはない。
思った以上に中は広く…
「あれっ、なにこれ。
全部、2セットずつある…」
マット、ウォーキングマシン、トランポリンが2つずつ並んでいる。
まさか、と思ってアイテムボックスを見たら、ジーンズとTシャツのセットアップも、もう1セット入っていた。
パーティメンバーが増えると、その分支給数が増えるようだ。
「やったあ、じゃあ私もワンピースじゃなくジーンズで運動しようっと!」
セットアップをタップしたら、着用の選択肢があったので、それを選択すれば着替えは完了。着ていたワンピースはボックスに収納される。
着替えの手伝いがますます必要ではないことに気づいたサリナが、微妙にショックを受けていたが、諦めていただきたい。
ボックスから着用すると、なんと下着までセットだったのだ。
運動する時にブラを着用できているというのは、心強さが段違いだ。
サリナも同じく、ボックスから着用してやる。
ブラのホールド感に驚いたり、ジーンズの硬い生地が直接肌に当たらないことに喜んでいた。
そ、そっか。この世界の下着をつけたままではジーンズ履けなかったよね、気づかなくてごめん。
さて。運動しやすいように、髪をポニーテールに結ったセミロングに変更し、準備は完了だ。
なんだかんだでお揃いは嬉しかったらしく、サリナは既にご機嫌である。
「いきなり運動するのは怖いから、まずは準備運動から始めましょ。
ラジオ体操を教えるから、覚えてね。」
「はい、頑張ります!」
「では基本姿勢から。よい姿勢って言われたら、これ。足を揃えて、両手は足の横に。肩幅にって言われたら、これくらい開いて立つ。」
「はい。」
「あとは…なんとなく私の真似をしてくれれば大丈夫。難しい体操じゃないから」
そう言って動画を検索し、お馴染みの音楽を流す。
「不思議な動きですが…普段動かさない部分が効率的に動いて、気持ちがいいですね。」
「そうでしょ。しっかりあちこち伸ばしておけば、運動した時に身体を壊さないからね。なるべく毎日やろう」
「はい」
慣れないサリナを気遣いながら、ラジオ体操を第一・第二と行う。
久しぶりに周りが全部明るくて、手足をのびのび動かせるのが気持ちいい。
いつしか夢中になって、身体がほかほかになっていた。
「はー…身体がほぐれた!よし、機器の使い方を説明していくよ~!」
…私もよくわからないが。
今日は折角だから、トランポリンメインで遊ぶことにした。
と言っても、飛ぶだけなので難しい説明はなしだ。
跳ねるだけと聞いて、意義がわからない と言った面持ちだったサリナだったが、一緒にトランポリンで跳ね始めると、表情がパッと明るくなった。
私とサリナがトランポリンで遊んでいたら、レオンも乱入してくる。
時々レオンは、サリナと跳ねるタイミングがズレてクルクル回っていたが、怪我をしないように上手に遊べているようだ。
「マーガレット様!これ、凄く面白いですね!」
「あは、あはは、私も楽しい!」
「なんでこんなに楽しいんでしょう、飛んでいるだけですのに」
「あはははわかんない!童心ってやつが返ってくるからかなあ」
その内に、レオンが1回転着地などを決め始め、それを見たサリナまで、横回転 縦回転とクルクル回り始める。
「2人とも嘘でしょ、凄すぎる」
私はそんな2人を見て笑い転げ続け…気がついたら夕方過ぎまで、遊び続けてしまったのだった。
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