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18 元夫との再会
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――七年ぶりに戻った王都。
兵士たちに護衛され、王宮へ戻る道で見たのは、燃やされた建物や破壊された建物だった。
「あれは……?」
「セレーネが、残したものすべてを壊すようデルフィーナ王妃が命じたらしい」
ザカリア様は潜ませている自分の手の者から、聞いたのだろう。
険しい顔つきで、荒れた町並みを眺めていた。
「デルフィーナは、本当に私を憎んでいるのですね。ルチアノを守らなくては……」
「お母様、ザカリア様。心配しないで平気だよ。ぼく、ちゃんとわかってるから!」
「えっ……!」
「お父様が誰なのか、お母様が教えてくれたよね? だから、王都や王宮を見てたんだ」
「そんなことをしていたの!?」
ルチアノはいたずらっ子のように笑った。
「お父様が、どんな方か気になったから。ザカリア様みたいな方かと思ってたのに……」
力を使って、なにを見たのか、ルチアノはがっかりしていた。
ルチアノの声が馬車の外にまで聞こえたらしく、護衛していたジュストが笑った。
「ルチアノ様。育ての父はザカリア様ですよ。ルドヴィク様を知っていますが、ルチアノ様は似てません」
ジュストにそう言われ、ルチアノはホッとしたように座席に座り直す。
町の人々がザカリア様の馬車に気づき、集まってきた。
「ザカリア様だ。もしや、王に代わって、即位されるのか?」
「そうだといいが。我々の暮らしは苦しくなる一方だ」
「おい、あれは、セレーネ様では?」
「セレーネ様!? 生きていらっしゃったのか」
「セレーネ様!」
町の人々の声に兵士たちは戸惑いながらも、追い払わなかった。
私は死んだと思われていたようだ。
「ジュスト、先導しろ。騒ぎになると面倒だ」
「了解しました」
馬車の前にいる兵士たちを退け、ザカリア様が連れてきた護衛の一団が前に出る。
身分でいえば、王の兵のほうが上だが、今は違う。
周囲を安全に守り、王宮までの道を辿る。
王宮に入ると、大臣たちが揃って並び、出迎えてくれた。
「我ら、セレーネ様の帰還を歓迎いたします」
大臣たちの言葉に、ザカリア様の態度は冷ややかだった。
「調子がよすぎる。一度は見捨てたお前たちが、歓迎とは、よく言えたものだ」
大臣たちはうなだれ、頭を下げた。
「ご覧の通り、大臣の人数も減りました。これ以上、いなくなっては国が滅びてしまう」
「王を……いえ、王妃を止められる者が、誰もいないのです」
ザカリア様を頼るくらいだ。
相当、追い詰められていたのだろう。
「わかってます。私もデルフィーナに負けてしまいましたから……」
七年前の苦い記憶が甦る。
「お母様。今回は負けないよ。ぼくがいるからね?」
「ルチアノ、ありがとう。そうね、あなたがいるわね」
一人前の顔をして、ルチアノは言った。
大臣たちの視線は、ルチアノに向けられていた。
「こちらがルチアノ様ですか……」
「セレーネ様に似て、賢そうな王子だ」
「ロゼッテ王女とは似てもにつかぬ」
「まったくだ」
ロゼッテ王女は、どんな王女なのだろう。
大臣たちが褒めてくれるのは、嬉しいけれど、ロゼッテ王女に会う前から不安になってきた。
「国王陛下にお会いします。案内をしていだけますか?」
ルチアノの手を握った。
きっと、ルドヴィク様は私に驚くだろう。
そして、歓迎はされない。
わかっていた。
わかっていたけど――
「なぜ、王妃でなくなったお前が、ここにいる!」
これが、再会の挨拶だった。
怯えた目、焦燥感ににじむ声、苛立ち。
ルドヴィク様から、私を気遣う気持ちは一切感じられない。
「国王陛下にお会いするため、王宮へ戻って参りました」
ロゼッテ王女の食べ散らかしたケーキが目に入る。
私の視線に気づいたデルフィーナが、それを慌てて隠し、ようやく私が生きて戻ったことを認識したようだった。
「セレーネ……」
私が生きていることが、信じられないという顔をしていた。
「デルフィーナ。驚いているけれど、私が王宮に戻らないと思っていたのかしら?」
ザカリア様だけを警戒していたデルフィーナにとって、私の存在は想定外。
七年の時を経て、再び顔を合わせるとは、思いもよらなかっただろう。
「わたくしは王妃なのよ。なれなれしく口をきかないでちょうだい。今さら戻ってきて、いったいなんのつもりかしら」
強気なデルフィーナの態度は変わっていない。
「デルフィーナ。私がなぜ戻ってきたか、あなたにはわかるのではなくて?」
――復讐。
デルフィーナの口の動きから読み取れた言葉。
仲良く昔話をするために、戻ってきたわけではないことはたしか。
復讐される心当たりがあるルドヴィク様は、自分は悪くないというように、正当化し始めた。
「セレーネ。お前もこの国の貴族令嬢として生まれた。デルフィーナは王の血を引く子を身籠った。放って置くわけにはいかなかったのだ」
――だから、私を捨てたの?
デルフィーナにどれだけ嫌がらせをされても、殺されそうになっても、助けてくれなかった夫。
再会したら、昔のようになんて夢見ていたわけではなかったけど、これが本当の姿だ。
結局、自分の身が危うくなれば、デルフィーナすら捨てる。
私がいなくなった後も、変わらぬ生活を続けていたのか、荒れた町並みに反して、部屋はきらびやかに飾られていた。
それを見て、私は心を決めた。
「ええ。そうでしょう。王の血を引く子供は王になる可能性があるのですから」
ルドヴィク様が首を傾げたのに対して。デルフィーナがいち早く察して、顔色を変えた。
「もちろん、私の子にも王になる資格があります」
「うん? お前の子だと?」
「ルチアノと申します。あなたの子です」
ルチアノが前に出る。
その姿を見ればわかる。
ロゼッテ王女と同じ――ルチアノのほうが年上に見えた。
「なんだと!」
「嘘おっしゃい!」
「お初にお目にかかります。ルチアノです。ようやく父上にお会いできました」
ルチアノのしっかりした挨拶を聞き、ルドヴィク様が動揺している。
信じきれていない二人に告げる。
「その証拠にルドヴィク様。あなたの力は消えたはずです」
あえて、ルドヴィク様を『国王陛下』とは呼ばなかった。
これで、私の目的はわかったはず。
「女王になるのは、わたくしの子、ロゼッテよ!」
「ロゼッテ王女とルチアノは同じ年齢です」
「まさか……」
「王宮を追われた時、私のお腹にルチアノが宿っていました。けれど、陛下の愛情も後ろ盾も失っていた私は、この子を王宮で育てる自信がなかった」
デルフィーナは騒ぎ出した。
「王位に相応しいのはロゼッテよっ! それに陛下の子供とは限らないわ! 偽者っ! 偽者に決まってるわっ!」
デルフィーナを無視した。
今、私が語りかけるのは一人だけ。
「力を失った王は王位から退かねばならない――そうでしたわよね?」
王宮を去るのは私ではなく、ルドヴィク様、あなたです。
再会と同時に、七年越しの別れをルドヴィク様に告げたのだった。
兵士たちに護衛され、王宮へ戻る道で見たのは、燃やされた建物や破壊された建物だった。
「あれは……?」
「セレーネが、残したものすべてを壊すようデルフィーナ王妃が命じたらしい」
ザカリア様は潜ませている自分の手の者から、聞いたのだろう。
険しい顔つきで、荒れた町並みを眺めていた。
「デルフィーナは、本当に私を憎んでいるのですね。ルチアノを守らなくては……」
「お母様、ザカリア様。心配しないで平気だよ。ぼく、ちゃんとわかってるから!」
「えっ……!」
「お父様が誰なのか、お母様が教えてくれたよね? だから、王都や王宮を見てたんだ」
「そんなことをしていたの!?」
ルチアノはいたずらっ子のように笑った。
「お父様が、どんな方か気になったから。ザカリア様みたいな方かと思ってたのに……」
力を使って、なにを見たのか、ルチアノはがっかりしていた。
ルチアノの声が馬車の外にまで聞こえたらしく、護衛していたジュストが笑った。
「ルチアノ様。育ての父はザカリア様ですよ。ルドヴィク様を知っていますが、ルチアノ様は似てません」
ジュストにそう言われ、ルチアノはホッとしたように座席に座り直す。
町の人々がザカリア様の馬車に気づき、集まってきた。
「ザカリア様だ。もしや、王に代わって、即位されるのか?」
「そうだといいが。我々の暮らしは苦しくなる一方だ」
「おい、あれは、セレーネ様では?」
「セレーネ様!? 生きていらっしゃったのか」
「セレーネ様!」
町の人々の声に兵士たちは戸惑いながらも、追い払わなかった。
私は死んだと思われていたようだ。
「ジュスト、先導しろ。騒ぎになると面倒だ」
「了解しました」
馬車の前にいる兵士たちを退け、ザカリア様が連れてきた護衛の一団が前に出る。
身分でいえば、王の兵のほうが上だが、今は違う。
周囲を安全に守り、王宮までの道を辿る。
王宮に入ると、大臣たちが揃って並び、出迎えてくれた。
「我ら、セレーネ様の帰還を歓迎いたします」
大臣たちの言葉に、ザカリア様の態度は冷ややかだった。
「調子がよすぎる。一度は見捨てたお前たちが、歓迎とは、よく言えたものだ」
大臣たちはうなだれ、頭を下げた。
「ご覧の通り、大臣の人数も減りました。これ以上、いなくなっては国が滅びてしまう」
「王を……いえ、王妃を止められる者が、誰もいないのです」
ザカリア様を頼るくらいだ。
相当、追い詰められていたのだろう。
「わかってます。私もデルフィーナに負けてしまいましたから……」
七年前の苦い記憶が甦る。
「お母様。今回は負けないよ。ぼくがいるからね?」
「ルチアノ、ありがとう。そうね、あなたがいるわね」
一人前の顔をして、ルチアノは言った。
大臣たちの視線は、ルチアノに向けられていた。
「こちらがルチアノ様ですか……」
「セレーネ様に似て、賢そうな王子だ」
「ロゼッテ王女とは似てもにつかぬ」
「まったくだ」
ロゼッテ王女は、どんな王女なのだろう。
大臣たちが褒めてくれるのは、嬉しいけれど、ロゼッテ王女に会う前から不安になってきた。
「国王陛下にお会いします。案内をしていだけますか?」
ルチアノの手を握った。
きっと、ルドヴィク様は私に驚くだろう。
そして、歓迎はされない。
わかっていた。
わかっていたけど――
「なぜ、王妃でなくなったお前が、ここにいる!」
これが、再会の挨拶だった。
怯えた目、焦燥感ににじむ声、苛立ち。
ルドヴィク様から、私を気遣う気持ちは一切感じられない。
「国王陛下にお会いするため、王宮へ戻って参りました」
ロゼッテ王女の食べ散らかしたケーキが目に入る。
私の視線に気づいたデルフィーナが、それを慌てて隠し、ようやく私が生きて戻ったことを認識したようだった。
「セレーネ……」
私が生きていることが、信じられないという顔をしていた。
「デルフィーナ。驚いているけれど、私が王宮に戻らないと思っていたのかしら?」
ザカリア様だけを警戒していたデルフィーナにとって、私の存在は想定外。
七年の時を経て、再び顔を合わせるとは、思いもよらなかっただろう。
「わたくしは王妃なのよ。なれなれしく口をきかないでちょうだい。今さら戻ってきて、いったいなんのつもりかしら」
強気なデルフィーナの態度は変わっていない。
「デルフィーナ。私がなぜ戻ってきたか、あなたにはわかるのではなくて?」
――復讐。
デルフィーナの口の動きから読み取れた言葉。
仲良く昔話をするために、戻ってきたわけではないことはたしか。
復讐される心当たりがあるルドヴィク様は、自分は悪くないというように、正当化し始めた。
「セレーネ。お前もこの国の貴族令嬢として生まれた。デルフィーナは王の血を引く子を身籠った。放って置くわけにはいかなかったのだ」
――だから、私を捨てたの?
デルフィーナにどれだけ嫌がらせをされても、殺されそうになっても、助けてくれなかった夫。
再会したら、昔のようになんて夢見ていたわけではなかったけど、これが本当の姿だ。
結局、自分の身が危うくなれば、デルフィーナすら捨てる。
私がいなくなった後も、変わらぬ生活を続けていたのか、荒れた町並みに反して、部屋はきらびやかに飾られていた。
それを見て、私は心を決めた。
「ええ。そうでしょう。王の血を引く子供は王になる可能性があるのですから」
ルドヴィク様が首を傾げたのに対して。デルフィーナがいち早く察して、顔色を変えた。
「もちろん、私の子にも王になる資格があります」
「うん? お前の子だと?」
「ルチアノと申します。あなたの子です」
ルチアノが前に出る。
その姿を見ればわかる。
ロゼッテ王女と同じ――ルチアノのほうが年上に見えた。
「なんだと!」
「嘘おっしゃい!」
「お初にお目にかかります。ルチアノです。ようやく父上にお会いできました」
ルチアノのしっかりした挨拶を聞き、ルドヴィク様が動揺している。
信じきれていない二人に告げる。
「その証拠にルドヴィク様。あなたの力は消えたはずです」
あえて、ルドヴィク様を『国王陛下』とは呼ばなかった。
これで、私の目的はわかったはず。
「女王になるのは、わたくしの子、ロゼッテよ!」
「ロゼッテ王女とルチアノは同じ年齢です」
「まさか……」
「王宮を追われた時、私のお腹にルチアノが宿っていました。けれど、陛下の愛情も後ろ盾も失っていた私は、この子を王宮で育てる自信がなかった」
デルフィーナは騒ぎ出した。
「王位に相応しいのはロゼッテよっ! それに陛下の子供とは限らないわ! 偽者っ! 偽者に決まってるわっ!」
デルフィーナを無視した。
今、私が語りかけるのは一人だけ。
「力を失った王は王位から退かねばならない――そうでしたわよね?」
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