39 / 90
第3章
5 リアムの望みは?
しおりを挟む
「お父様の誕生日を祝う気があるの? わざと身だしなみに手を抜いたのではなくて?」
私がヘレーナに張り合って、華やかに着飾るはずだと考えていたらしい。
前回、王宮で着たドレスは美しく、人目を引き、とても高価なものだった。
私が控えめなドレスで現れたのが、気に入らなかったようだ。
「いいえ。私は考えた上で、このドレスを選びました」
私の言葉に、へレーナは不思議そうな顔をした。
今日は黒の刺繍が施されたターコイズブルーのドレス。
魔石ではなく、銀のビーズを縫い込んだもの。
先日の光の魔石のドレスより、たしかに地味だ。
髪飾りも銀の髪飾りだけ。
けれど、私には考えがあって、このドレスを選んでいる。
私を空気のように扱っていたフォルシアン公爵に微笑み、淑女らしい挨拶をする。
「フォルシアン公爵。お誕生日おめでとうございます」
お祝いを述べた私に、フォルシアン公爵が一瞬だけ戸惑いの表情を浮かべた。
「リアム様より、今日のパーティーはフォルシアン公爵のお祝いだとうかがっております。ですから、主役はフォルシアン公爵で、私は脇役です」
ヘレーナとフォルシアン公爵は、私の服装の意図に気づいたようで、ハッとした表情をする。
「主役より目立ってはいけないと思い、控えめなドレスを選びました。けしてフォルシアン公爵家を軽んじ、地味なドレスを選んだわけではありません」
「そっ、そんなの……!」
へレーナが私になにか言い返そうとして、フォルシアン公爵が止める。
「魔道具対決の時も今と同じ違和感を覚えたのだが、氷の中から出てきた君は別人ではないかと感じた」
お辞儀をし、目を伏せたままだったからよかったものの、顔をあげていたら、私がサーラでないとバレていたかもしれない。
「これは自分の勘でしかないのだが、リアム様との婚約は嘘だと思っている。なぜなら、二人は恋人に見えず、共に戦う仲間のような空気があるからだ」
大正解――言い当てられ、動揺してしまった。
でも、リアムのほうは無表情である。
――どうやったら、そんな鋼の心臓に?
内心、ハラハラしている私に気づいているはずなのに、リアムはまったく動じてない。
その無表情から、なにも読み取れなかった。
「俺とサーラは婚約者になって日が浅い。そのせいだろう」
それどころか、しゃあしゃあとした態度で言ってのけた。
「リアム様は本気で【魔力なし】を婚約者になさるおつもりか?」
その言葉に、フォルシアン公爵の本心が見えた。
婚約の噂を聞き、へレーナを送り込んできたのは、【魔力なし】である私が、リアムの妃にふさわしくないと判断したからだとわかった。
「リアム様。失礼を承知で申し上げますが、ルーカス様には王になりたいという欲が見える。しかし、リアム様からは王になりたいという願望どころか、気持ちさえ感じられない」
リアムの温度のない青い目が、いつもより冷たく見えた。
「すべて、お前の勘だ」
ひんやりとした声が響く。
お祝いの場とは思えない空気が漂う。
「間違っているのであれば、否定してくださって結構」
二人の間に流れる空気は重く、このままここで、争うのではないかと思うほどだった。
明るいへレーナですら、黙ったままだ。
「フォルシアン公爵はリアムを誤解してます」
私はフォルシアン公爵に頬笑んで見せた。
「誤解? アールグレーン公爵令嬢はリアム様を理解していると?」
「私のことはサーラとお呼びください。アールグレーン家から勘当された身です。公爵令嬢と呼ばれるのは違和感があります」
「勘はいいほうなのだが、私の考えが間違っていると言いたいのかね?」
「もし、リアムが国王になりたくないのであれば、私と婚約しようなんて言い出しません」
リアムの本心はわからない。
でも、王になりたくないと思っているなら、なにがなんでも拒んでいたはずだ。
リアムの目が、フォルシアン公爵とへレーナ、そして招待された貴族たちへ向けられた。
「俺は同じ灯りの下、貴族も平民も同じように暮らせる国にしたいと思っている。火の魔石の輝きを取り戻した時、俺が王になったなら、そんな国を目指すと決めた」
少し前のことなのに懐かしい。
裏通りの人々が使うには贅沢な火の魔石。
贅沢が当たり前に変わったら、裏通りの夜はもっと明るく、治安もよくなるはずだ。
「そうですね。私も同じ気持ちです。私が婚約を承諾したのは、【魔力なし】の私でも、この国で幸せになれると証明したかったからです」
リアムの言葉を聞いて、きっと誰もが納得し、応援してもらえる――そう思っていた。
「ありえないわ。平民と同じ? あたしたちが?」
静まり返った大広間に響く否定の言葉。
それはヘレーナのものだった。
否定的なのは、へレーナだけではなかった。
「我々貴族と平民を同列に考えるとは、なんたる侮辱!」
「リアム様はヴィフレア王家をなんだと思っているのか」
フォルシアン公爵は私を嘲笑う。
「十年前、【魔力なし】の君がルーカス様の妃に認められたのはなぜだと思う? 四大公爵の血を引くからこそ、【魔力なし】であっても妃になれたのだ」
「そうよ。本当なら十年前、ルーカス様の妃に選ばれるのだって、例外中の例外だったんだから! アールグレーン公爵家とルーカス様に感謝するのね!」
――感謝? 浮気をされたのに感謝をしなくてはならないの?
呆然としている私に、フォルシアン公爵は言った。
「ルーカス様は正妃以外に、いずれ他の妃を娶る約束をし、君を迎えたのだよ」
「え……?」
それは初耳だった。
サーラが知り得なかった情報だ。
「だからこそ、君が妃になることを許された。そんなこともわからないのかね?」
ルーカス様とソニヤの裏切りを知っていながら、全員が黙認していた理由。
それはサーラが形だけの妃になることが決まっていたからだったのだ。
どおりで、アールグレーン公爵家が報復もせず、私にルーカス様の元へ戻れと命じるはずだ。
――サーラはいつも孤独だった。
私は【魔力なし】がこれほど差別され、馬鹿にされるものだと、身をもって体験していなかったから、甘く考えていたのだ。
いつもこんな扱いを受けていたから、サーラは自分の意見も言えずに、存在を卑下し続けてた。
氷に閉じ込められるその瞬間まで――
『私なんかが、ルーカス様の妃に選ばれるなんて、おかしいと思ってました』
サーラがルーカス様の浮気現場を目撃し、泣きながら言っていた言葉だった。
――なんてひどいの。
「変えていくべきだと思った」
批判が続く中、リアムが口を開いた。
「今、サーラを笑った者たちの気持ちを変えたい。【魔力なし】だけでなく、獣人たちも同じようにヴィフレア王国で暮せるような国を。それが俺の目指す国だ」
どんな国にしたいか――リアムが自分の気持ちを素直に語るのは、珍しいことだった。
だから、これは心からの言葉だ。
「リアム……。私もそんな国がいいです。ヴィフレア王国はそういう国がいいですよね!」
フランもラーシュも馬鹿にされない国にする。
リアムの言葉を聞いたら、きっと二人も喜ぶ。
けれど、それに賛同する人は誰もいなかった。
「ご冗談を。我々貴族は、理由もなく特権を与えられているわけではない。無力な民を竜や魔獣から守っているのは、我々貴族だ!」
フォルシアン公爵の一言がきっかけとなって、貴族たちはリアムを批判した。
「もっと感謝してほしいくらいですよ。我々の魔術が、魔獣や竜の脅威から【魔力なし】たちを守ってやっているのだから」
「無力な人々を守る代りに特権を与えられている。ああ、リアム様はお若いですからな。おわかりになられなくてもしかたがない」
「人生経験も浅く、女性の甘い言葉に騙されやすい」
「アールグレーン公爵家の血筋は口がうまくて困る」
――私がリアムを誘惑したと思われてます!?
ノルデン公爵を潰し、リアムを誘惑し、ヴィフレア王国を意のままに操る恐ろしい女。
――それが私?
敵意に満ちた眼差しが、私を取り囲む。
リアムは暗い目をして、彼らを眺め、一言つぶやいた。
「……やはり変わらない」
リアムの諦めの声が、私の耳に届く。
奴隷から解放された狼獣人たちが増え、私の魔道具が人々の生活を変えても、変化のない貴族たち。
ヴィフレア王国の貴族たちは、誰一人としてリアムが望む国を実現しようと思う者はいなかった――私以外は誰も。
私がヘレーナに張り合って、華やかに着飾るはずだと考えていたらしい。
前回、王宮で着たドレスは美しく、人目を引き、とても高価なものだった。
私が控えめなドレスで現れたのが、気に入らなかったようだ。
「いいえ。私は考えた上で、このドレスを選びました」
私の言葉に、へレーナは不思議そうな顔をした。
今日は黒の刺繍が施されたターコイズブルーのドレス。
魔石ではなく、銀のビーズを縫い込んだもの。
先日の光の魔石のドレスより、たしかに地味だ。
髪飾りも銀の髪飾りだけ。
けれど、私には考えがあって、このドレスを選んでいる。
私を空気のように扱っていたフォルシアン公爵に微笑み、淑女らしい挨拶をする。
「フォルシアン公爵。お誕生日おめでとうございます」
お祝いを述べた私に、フォルシアン公爵が一瞬だけ戸惑いの表情を浮かべた。
「リアム様より、今日のパーティーはフォルシアン公爵のお祝いだとうかがっております。ですから、主役はフォルシアン公爵で、私は脇役です」
ヘレーナとフォルシアン公爵は、私の服装の意図に気づいたようで、ハッとした表情をする。
「主役より目立ってはいけないと思い、控えめなドレスを選びました。けしてフォルシアン公爵家を軽んじ、地味なドレスを選んだわけではありません」
「そっ、そんなの……!」
へレーナが私になにか言い返そうとして、フォルシアン公爵が止める。
「魔道具対決の時も今と同じ違和感を覚えたのだが、氷の中から出てきた君は別人ではないかと感じた」
お辞儀をし、目を伏せたままだったからよかったものの、顔をあげていたら、私がサーラでないとバレていたかもしれない。
「これは自分の勘でしかないのだが、リアム様との婚約は嘘だと思っている。なぜなら、二人は恋人に見えず、共に戦う仲間のような空気があるからだ」
大正解――言い当てられ、動揺してしまった。
でも、リアムのほうは無表情である。
――どうやったら、そんな鋼の心臓に?
内心、ハラハラしている私に気づいているはずなのに、リアムはまったく動じてない。
その無表情から、なにも読み取れなかった。
「俺とサーラは婚約者になって日が浅い。そのせいだろう」
それどころか、しゃあしゃあとした態度で言ってのけた。
「リアム様は本気で【魔力なし】を婚約者になさるおつもりか?」
その言葉に、フォルシアン公爵の本心が見えた。
婚約の噂を聞き、へレーナを送り込んできたのは、【魔力なし】である私が、リアムの妃にふさわしくないと判断したからだとわかった。
「リアム様。失礼を承知で申し上げますが、ルーカス様には王になりたいという欲が見える。しかし、リアム様からは王になりたいという願望どころか、気持ちさえ感じられない」
リアムの温度のない青い目が、いつもより冷たく見えた。
「すべて、お前の勘だ」
ひんやりとした声が響く。
お祝いの場とは思えない空気が漂う。
「間違っているのであれば、否定してくださって結構」
二人の間に流れる空気は重く、このままここで、争うのではないかと思うほどだった。
明るいへレーナですら、黙ったままだ。
「フォルシアン公爵はリアムを誤解してます」
私はフォルシアン公爵に頬笑んで見せた。
「誤解? アールグレーン公爵令嬢はリアム様を理解していると?」
「私のことはサーラとお呼びください。アールグレーン家から勘当された身です。公爵令嬢と呼ばれるのは違和感があります」
「勘はいいほうなのだが、私の考えが間違っていると言いたいのかね?」
「もし、リアムが国王になりたくないのであれば、私と婚約しようなんて言い出しません」
リアムの本心はわからない。
でも、王になりたくないと思っているなら、なにがなんでも拒んでいたはずだ。
リアムの目が、フォルシアン公爵とへレーナ、そして招待された貴族たちへ向けられた。
「俺は同じ灯りの下、貴族も平民も同じように暮らせる国にしたいと思っている。火の魔石の輝きを取り戻した時、俺が王になったなら、そんな国を目指すと決めた」
少し前のことなのに懐かしい。
裏通りの人々が使うには贅沢な火の魔石。
贅沢が当たり前に変わったら、裏通りの夜はもっと明るく、治安もよくなるはずだ。
「そうですね。私も同じ気持ちです。私が婚約を承諾したのは、【魔力なし】の私でも、この国で幸せになれると証明したかったからです」
リアムの言葉を聞いて、きっと誰もが納得し、応援してもらえる――そう思っていた。
「ありえないわ。平民と同じ? あたしたちが?」
静まり返った大広間に響く否定の言葉。
それはヘレーナのものだった。
否定的なのは、へレーナだけではなかった。
「我々貴族と平民を同列に考えるとは、なんたる侮辱!」
「リアム様はヴィフレア王家をなんだと思っているのか」
フォルシアン公爵は私を嘲笑う。
「十年前、【魔力なし】の君がルーカス様の妃に認められたのはなぜだと思う? 四大公爵の血を引くからこそ、【魔力なし】であっても妃になれたのだ」
「そうよ。本当なら十年前、ルーカス様の妃に選ばれるのだって、例外中の例外だったんだから! アールグレーン公爵家とルーカス様に感謝するのね!」
――感謝? 浮気をされたのに感謝をしなくてはならないの?
呆然としている私に、フォルシアン公爵は言った。
「ルーカス様は正妃以外に、いずれ他の妃を娶る約束をし、君を迎えたのだよ」
「え……?」
それは初耳だった。
サーラが知り得なかった情報だ。
「だからこそ、君が妃になることを許された。そんなこともわからないのかね?」
ルーカス様とソニヤの裏切りを知っていながら、全員が黙認していた理由。
それはサーラが形だけの妃になることが決まっていたからだったのだ。
どおりで、アールグレーン公爵家が報復もせず、私にルーカス様の元へ戻れと命じるはずだ。
――サーラはいつも孤独だった。
私は【魔力なし】がこれほど差別され、馬鹿にされるものだと、身をもって体験していなかったから、甘く考えていたのだ。
いつもこんな扱いを受けていたから、サーラは自分の意見も言えずに、存在を卑下し続けてた。
氷に閉じ込められるその瞬間まで――
『私なんかが、ルーカス様の妃に選ばれるなんて、おかしいと思ってました』
サーラがルーカス様の浮気現場を目撃し、泣きながら言っていた言葉だった。
――なんてひどいの。
「変えていくべきだと思った」
批判が続く中、リアムが口を開いた。
「今、サーラを笑った者たちの気持ちを変えたい。【魔力なし】だけでなく、獣人たちも同じようにヴィフレア王国で暮せるような国を。それが俺の目指す国だ」
どんな国にしたいか――リアムが自分の気持ちを素直に語るのは、珍しいことだった。
だから、これは心からの言葉だ。
「リアム……。私もそんな国がいいです。ヴィフレア王国はそういう国がいいですよね!」
フランもラーシュも馬鹿にされない国にする。
リアムの言葉を聞いたら、きっと二人も喜ぶ。
けれど、それに賛同する人は誰もいなかった。
「ご冗談を。我々貴族は、理由もなく特権を与えられているわけではない。無力な民を竜や魔獣から守っているのは、我々貴族だ!」
フォルシアン公爵の一言がきっかけとなって、貴族たちはリアムを批判した。
「もっと感謝してほしいくらいですよ。我々の魔術が、魔獣や竜の脅威から【魔力なし】たちを守ってやっているのだから」
「無力な人々を守る代りに特権を与えられている。ああ、リアム様はお若いですからな。おわかりになられなくてもしかたがない」
「人生経験も浅く、女性の甘い言葉に騙されやすい」
「アールグレーン公爵家の血筋は口がうまくて困る」
――私がリアムを誘惑したと思われてます!?
ノルデン公爵を潰し、リアムを誘惑し、ヴィフレア王国を意のままに操る恐ろしい女。
――それが私?
敵意に満ちた眼差しが、私を取り囲む。
リアムは暗い目をして、彼らを眺め、一言つぶやいた。
「……やはり変わらない」
リアムの諦めの声が、私の耳に届く。
奴隷から解放された狼獣人たちが増え、私の魔道具が人々の生活を変えても、変化のない貴族たち。
ヴィフレア王国の貴族たちは、誰一人としてリアムが望む国を実現しようと思う者はいなかった――私以外は誰も。
415
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。