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25 悪い男 ※理世視点
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――俺が悪い男だと、琉永はきっと気づいていない。
目を閉じ、銀色の指輪に口づけた。
同じ指輪を琉永もつけている。
「理世。お前は悪い男だな」
普段は煙草の臭いが、服につくと言って、煙草を吸わない悠世が、珍しく煙草を吸い、白い煙を吐く。
俺にも煙草をすすめ、口にくわえると、悠世は笑った。
「『Lorelei』のライバルを作るつもりか」
「悠世らしくない。勝つ自信がない?」
「まさか。LoreleiとFillの客層は違う。かぶらないように、お前は計算していたくせに、俺の弟とは思えないくらい性格が悪い」
「悠世の弟だから、性格が悪くなったんだ」
目を細め、調査させた書類を眺める。
内容はINUIグループの事業についてと、別の封筒には、琉永の両親の行動を見張らせた報告書がある。
「忙しい男だ。結婚してから、さらに忙しくなっただろう?」
「俺の結婚より、悠世はどうなんだ? 父さんから結婚相手を紹介されたはずだよな」
悠世が珍しく麻王グループ本社にやってきていたのは、仕事ではなく、仕事を口実にした結婚相手との顔合わせだった。
その帰りに、重役室へ寄った悠世だが、いつもより機嫌が悪く、ローレライを伴っていない。
「訂正しろよ。結婚相手候補だ」
「さっさとローレライと結婚すればいい。どうせ、お互い必要としているんだからな」
悠世の不機嫌さが増した。
「一度、結婚を断られている」
「ローレライから?」
「他に誰から結婚を断られるていうんだ?」
――それで、その機嫌の悪さか。
俺が結婚したから、なおのこと両親は悠世に口うるさくなるだろう。
『Lorelei』が麻王グループの傘下にいる以上、忙しさを理由に逃げ回るのも難しい。
本当に不自由なのは、悠世かもしれない。
跡取りとして育てられた悠世は、厳しく教育され、その中で趣味と言って、デザインを学び、たまたまそれが評価された。
そこから、兄さんは自由になるため、デザイナーとして生きていくことを決めたのだ。
――悠世は跡を継がなくても。麻王家の長男だ。父さんたちは、口ではしょうがない奴だと言いながら、悠世の才能を買っている。
風のように軽やかに、時代を読み、生き抜く悠世が麻王には必要だ。
「諦めたふりをしてるけど、諦める気はないんだろ。それこそ、性格が悪い」
「まあね」
頭の中では、どう捕まえようか考えている。
――美しいローレライを手に入れるため。
「健闘を祈る」
「嫌みな弟だなぁ」
俺の銀色の指輪を見て、悠世は笑った。
「簡単に手に入らないほうが面白い。理世もわかるだろう? 捕まえるのも楽しみのひとつだ」
悠世が二本目の煙草を吸う前に、部屋の電話が鳴る。
それと同時に、秘書がやってきた。
「専務。清中繊維の社長が、専務に会わせろと騒いでいますが。どうなさいますか?」
「来たか。通してくれ」
「よろしいのですか? 危険では?」
秘書が心配そうにしていたが、これは想定内だ。
「俺もいよう。面白そうだ」
悠世は帰らずに見物を決め、琉永の父親を待つ。
秘書に案内され、やってきたのは、憔悴した様子の琉永の父親だった。
まずは、娘の手術について、お礼を言われるのかと思っていたら、違っていた。
「琉永を奪った責任をとっていただきたい」
申し訳ない顔をするどころか、俺に怒りをぶつけてきた。
「奪った?」
「そうだ。琉永はINUIグループ御曹司と結婚が決まっていた。それを駄目にした責任があるだろう」
「お見合いを一度しただけの相手と結婚?」
「先方が琉永を気に入ってくださり、それで決まった話だ」
完全に琉永の意思は無視だ。
――なるほど。琉永が暗い表情になるわけだ。こちらの話は聞かずに、自分の意見を押し通すタイプか。
「娘が結婚し、こっちが受けとるはずだった利益を受けとる権利がある」
「面白い人間だな」
悠世は笑いをこらえきれずに、とうとう笑いだした。
「娘を男に売り、それを恥ずかしげもなく公言し、別の人間に金を要求するとはね」
「悠世」
「恥を知らない奴だ。でもまあ、それを理由にお金を払う義務は、こっちにはないよ?」
「誰だ! お前は!」
「麻王悠世。『Lorelei』のデザイナーだって言えばわかるかな」
繊維会社だけあって、琉永の父親は、『Lorelei』の名前は聞いたことがあり、悠世が『Lorelei』のデザイナーと知り、驚いていた。
「な、なるほど。お金でなく、『Lorelei』と契約でも構わない! どうだろうか! うちの会社と契約を結んでは!」
「お断りだ。俺のブランドに使うわけがない。潰れるなら潰れろ」
冷たい目をした悠世は、媚びた声を一蹴し、俺を見る。
「これを琉永から預かっている」
俺は封書を渡す。
弁護士に持っていかせるつもりでいたが、やってくることを見越して、用意しておいた。
「絶縁? 相続放棄……?」
「相続放棄の手続きはすでに終わった。もちろん、妹のほうも。今後は弁護士を間に入れて、話しをするだけにしてもらいたい」
「俺の娘だぞ!」
「知らない男に売られ、結婚相手に金を要求するのが、親のやることか」
二度と利用されないよう俺が守ると決めた。
「近寄れないよう法的な措置をとる」
「なんの権利があって、そこまでのことをやるんだ!」
「権利? 俺が琉永の夫だからという理由以外に、理由がいるのか?」
怒り狂い冷静さを失いかけているのを見て、悠世が警備に連絡をする。
「自分で帰るか、警備に捕まって警察を呼ばれるか、どっちがいい?」
「警察!?」
「それはそうだろう? お金を払えって、脅迫してきたのはそっちなんだからさ」
ボイスレコーダーを悠世は見せた。
「なんなら、暴れてもらってもいいんだよ? ビル内には監視カメラも設置されてるし。それも証拠に使える」
「敵も多い。俺たちは油断しないよう祖父から、教えられているんだ」
俺も悠世も誘拐されそうになったことがある。
警戒心は人より高いかもしれない。
廊下から大きな足音が聞こえてくる。
「警備が駆けつけてきたみたいだな。今後、娘たちに近寄らない約束をしてもらえたら、警察には通報せずに済ませるが、どうだ?」
「そ、それは……」
「その気になったなら、誓約書をサインして、警備に渡してくれ」
琉永の父親の胸ポケットに入れ、にっこり微笑んだ。
警備がやってきて、腕の両側を持ち、引きずるように重役室から連れ出された。
屈強な警備たちに敵うわけがなく、おとなしく去っていった。
――これでいい。琉永ではなく、今後は麻王側になにかあったら、話をしに来るはずだ。
誓約書と一緒に弁護士の連絡先も入れた。
麻王グループの顧問弁護士だけあって、こちらの弁護士は面倒な相手の扱いに慣れている。
「お前はやっぱり悪い男だな。最初から、ここへやってくるよう仕向けただろ?」
「さあね」
自宅ではなく、会社の住所だけの名刺と結婚証明書のコピーを郵送しただけだ。
麻王の名前に釣られるだろうとは思っていたが、その通りになった。
高いビルの上、君臨するためには、ただ美しいだけではいられない。
俺はリセではなく、麻王理世なのだと、琉永はわかっているだろうか――
目を閉じ、銀色の指輪に口づけた。
同じ指輪を琉永もつけている。
「理世。お前は悪い男だな」
普段は煙草の臭いが、服につくと言って、煙草を吸わない悠世が、珍しく煙草を吸い、白い煙を吐く。
俺にも煙草をすすめ、口にくわえると、悠世は笑った。
「『Lorelei』のライバルを作るつもりか」
「悠世らしくない。勝つ自信がない?」
「まさか。LoreleiとFillの客層は違う。かぶらないように、お前は計算していたくせに、俺の弟とは思えないくらい性格が悪い」
「悠世の弟だから、性格が悪くなったんだ」
目を細め、調査させた書類を眺める。
内容はINUIグループの事業についてと、別の封筒には、琉永の両親の行動を見張らせた報告書がある。
「忙しい男だ。結婚してから、さらに忙しくなっただろう?」
「俺の結婚より、悠世はどうなんだ? 父さんから結婚相手を紹介されたはずだよな」
悠世が珍しく麻王グループ本社にやってきていたのは、仕事ではなく、仕事を口実にした結婚相手との顔合わせだった。
その帰りに、重役室へ寄った悠世だが、いつもより機嫌が悪く、ローレライを伴っていない。
「訂正しろよ。結婚相手候補だ」
「さっさとローレライと結婚すればいい。どうせ、お互い必要としているんだからな」
悠世の不機嫌さが増した。
「一度、結婚を断られている」
「ローレライから?」
「他に誰から結婚を断られるていうんだ?」
――それで、その機嫌の悪さか。
俺が結婚したから、なおのこと両親は悠世に口うるさくなるだろう。
『Lorelei』が麻王グループの傘下にいる以上、忙しさを理由に逃げ回るのも難しい。
本当に不自由なのは、悠世かもしれない。
跡取りとして育てられた悠世は、厳しく教育され、その中で趣味と言って、デザインを学び、たまたまそれが評価された。
そこから、兄さんは自由になるため、デザイナーとして生きていくことを決めたのだ。
――悠世は跡を継がなくても。麻王家の長男だ。父さんたちは、口ではしょうがない奴だと言いながら、悠世の才能を買っている。
風のように軽やかに、時代を読み、生き抜く悠世が麻王には必要だ。
「諦めたふりをしてるけど、諦める気はないんだろ。それこそ、性格が悪い」
「まあね」
頭の中では、どう捕まえようか考えている。
――美しいローレライを手に入れるため。
「健闘を祈る」
「嫌みな弟だなぁ」
俺の銀色の指輪を見て、悠世は笑った。
「簡単に手に入らないほうが面白い。理世もわかるだろう? 捕まえるのも楽しみのひとつだ」
悠世が二本目の煙草を吸う前に、部屋の電話が鳴る。
それと同時に、秘書がやってきた。
「専務。清中繊維の社長が、専務に会わせろと騒いでいますが。どうなさいますか?」
「来たか。通してくれ」
「よろしいのですか? 危険では?」
秘書が心配そうにしていたが、これは想定内だ。
「俺もいよう。面白そうだ」
悠世は帰らずに見物を決め、琉永の父親を待つ。
秘書に案内され、やってきたのは、憔悴した様子の琉永の父親だった。
まずは、娘の手術について、お礼を言われるのかと思っていたら、違っていた。
「琉永を奪った責任をとっていただきたい」
申し訳ない顔をするどころか、俺に怒りをぶつけてきた。
「奪った?」
「そうだ。琉永はINUIグループ御曹司と結婚が決まっていた。それを駄目にした責任があるだろう」
「お見合いを一度しただけの相手と結婚?」
「先方が琉永を気に入ってくださり、それで決まった話だ」
完全に琉永の意思は無視だ。
――なるほど。琉永が暗い表情になるわけだ。こちらの話は聞かずに、自分の意見を押し通すタイプか。
「娘が結婚し、こっちが受けとるはずだった利益を受けとる権利がある」
「面白い人間だな」
悠世は笑いをこらえきれずに、とうとう笑いだした。
「娘を男に売り、それを恥ずかしげもなく公言し、別の人間に金を要求するとはね」
「悠世」
「恥を知らない奴だ。でもまあ、それを理由にお金を払う義務は、こっちにはないよ?」
「誰だ! お前は!」
「麻王悠世。『Lorelei』のデザイナーだって言えばわかるかな」
繊維会社だけあって、琉永の父親は、『Lorelei』の名前は聞いたことがあり、悠世が『Lorelei』のデザイナーと知り、驚いていた。
「な、なるほど。お金でなく、『Lorelei』と契約でも構わない! どうだろうか! うちの会社と契約を結んでは!」
「お断りだ。俺のブランドに使うわけがない。潰れるなら潰れろ」
冷たい目をした悠世は、媚びた声を一蹴し、俺を見る。
「これを琉永から預かっている」
俺は封書を渡す。
弁護士に持っていかせるつもりでいたが、やってくることを見越して、用意しておいた。
「絶縁? 相続放棄……?」
「相続放棄の手続きはすでに終わった。もちろん、妹のほうも。今後は弁護士を間に入れて、話しをするだけにしてもらいたい」
「俺の娘だぞ!」
「知らない男に売られ、結婚相手に金を要求するのが、親のやることか」
二度と利用されないよう俺が守ると決めた。
「近寄れないよう法的な措置をとる」
「なんの権利があって、そこまでのことをやるんだ!」
「権利? 俺が琉永の夫だからという理由以外に、理由がいるのか?」
怒り狂い冷静さを失いかけているのを見て、悠世が警備に連絡をする。
「自分で帰るか、警備に捕まって警察を呼ばれるか、どっちがいい?」
「警察!?」
「それはそうだろう? お金を払えって、脅迫してきたのはそっちなんだからさ」
ボイスレコーダーを悠世は見せた。
「なんなら、暴れてもらってもいいんだよ? ビル内には監視カメラも設置されてるし。それも証拠に使える」
「敵も多い。俺たちは油断しないよう祖父から、教えられているんだ」
俺も悠世も誘拐されそうになったことがある。
警戒心は人より高いかもしれない。
廊下から大きな足音が聞こえてくる。
「警備が駆けつけてきたみたいだな。今後、娘たちに近寄らない約束をしてもらえたら、警察には通報せずに済ませるが、どうだ?」
「そ、それは……」
「その気になったなら、誓約書をサインして、警備に渡してくれ」
琉永の父親の胸ポケットに入れ、にっこり微笑んだ。
警備がやってきて、腕の両側を持ち、引きずるように重役室から連れ出された。
屈強な警備たちに敵うわけがなく、おとなしく去っていった。
――これでいい。琉永ではなく、今後は麻王側になにかあったら、話をしに来るはずだ。
誓約書と一緒に弁護士の連絡先も入れた。
麻王グループの顧問弁護士だけあって、こちらの弁護士は面倒な相手の扱いに慣れている。
「お前はやっぱり悪い男だな。最初から、ここへやってくるよう仕向けただろ?」
「さあね」
自宅ではなく、会社の住所だけの名刺と結婚証明書のコピーを郵送しただけだ。
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