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3 【赤】落とし物です!
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「うわあああ! 荷馬車の車輪が外れたー!」
荷馬車の荷台に載せられていたリンゴの山が崩れ、赤い実がバラバラと地面に散らばった。
これは人助けの大チャンスっ!
ダッと走りだし、リンゴを拾おうとした瞬間、ガラガラと馬車が横切り、私の目の前を塞いだ。
「馬車の前に飛び出すな!」
「ひえっ! ご、ごめんなさい……」
御者に大声で叱られてしまい、足を止めて謝った。
ぶつかりそうになった馬車は立派な馬車で、馬は二頭立て。美しい毛並みをした茶色の馬達を休みなく走らせて来たのか、馬達は疲れている。
それは馬車に乗っている人も同じらしく、馬車のカーテンは閉められたまま、誰が乗っていたのかわからなかった。
馬車は町で一番高級な宿屋に入って行った。
「お金持ちそう。お忍びの貴族とかかな……って、ああっ! リンゴが拾われてるっ!」
親切な町の人達によって路上に転がったリンゴはすでに拾い終わっていた。
その上、車輪の応急処置までできる人がいて、ものすごく感謝されている。
「人気がある職業は染物師じゃなくて馬車職人だった……?」
うらやましいことにお礼を連呼され、手まで握られて英雄扱いだった。
すっかり出遅れた私はしゅんっとうつむき、ブーツの爪先を見つめる。お気に入りのヘーゼルナッツ色の皮のブーツはおでかけ用で王都の靴屋で作ったもの。このブーツを履くと気分が高揚するけど、さすがに今は気持ちが沈んだまま……
もう帰ろうと、ブーツをはいた足を進めたその時、リンゴが数個、転がっているのが見えた。
これはまさかの大チャンス! 逆転、逆転、大逆転!
嬉々としてリンゴを集め、それを抱えて持って行く。
「リンゴ……リンゴを……どうぞ……」
「ひえっ! 魔女の毒リンゴ!」
魔女だなんて失礼なと思ったけど、噴水の水面に映る私の姿は不気味だった。
白い手を伸ばし、リンゴを差し出す黒マントに黒フードの姿の女。どこからどう見ても魔女そのもの。
物語のヒロインに毒リンゴを渡した悪い魔女とそっくりな私の姿に町の人達は怯えている。
これはもしや好感度を上げるどころか、滝のように急降下している?
町の人達の怯えた様子を見て、これ以上の長居は無用と判断し、受け取ってもらえなかったリンゴを籠に入れると逃げるようにして町を出た。
「毒リンゴだなんて、ひどい……」
一人呟き、力なく森の小道を歩く。
すでに薄暗い森は鬱蒼と生い茂る木々の黒い葉に包まれ、夕日を隠している。弱々しい太陽の残り火は森が作る闇に勝てず、弱々しい光を葉の隙間から覗かせるだけ。
ルチアさんに早く帰るように言われた私だけど、町で用事を済ませていると、いつも遅くなってしまう。
森の中は昼間と同じくらいの風の強さが吹いても暗闇で感じる強さは違う。夜だと強く風が吹いているように感じる。
黒い葉をガサガサと鳴らし、いるはずのない生き物の気配を生む。
そこに獣がいなくてもまるでいるのかのような――ドサッと重い音とともに空から黒い物体が降ってきた。
「ぎゃっー!」
乙女の悲鳴にはほど遠い声。
下手すれば森に魔物がいると町で噂されてしまうかもしれない。
森に住んで半年の私は獣なんて余裕よ、余裕。
なんて、調子に乗っていてすみませんでしたぁっー!
全力でなにかに謝りながら、目をそっと開けた。
目を開けた先には大きな黒い鳥かコウモリか、謎の黒い物体が私の目の前に転がっていた。
「こ、コウモリ?」
背中から翼がはえた鱗つきのトカゲかもしれない。
確認しようにも黒い物体の姿が見えにくく、その生き物がなんなのかわからない。
空を見上げると、この落ちてきた不思議な生き物をエサにしようとカラス達が狙っているのか、暗い空に黒い影達がいくつも旋回し、獲物を探している。
カラスにしては空を飛ぶ影が大きい気がしたけど、私の興味は落ちてきた新種の生き物に向けられていた。
「新種のコウモリかオオトカゲ? この鱗を砕いて粉末にしたら、どんな色になるのかなー?」
私の染物師としての探求心と好奇心が止まらない。
カラス達よ。悪いけど、この獲物は私のものっ!
いそいそと地面に転がる獲物に布を巻きつけ、よいしょっと背中に背負う。
けっこう重いけど、猫くらいの大きさだったから、なんとか背負えた。
「戦利品ゲットっ!」
そして私は重要なことに気づいてしまった。
「背中に生き物の死骸を喜んで背負う女……なんだか魔女っぽい?」
可愛いキャンディ屋のマリエッタはパステルカラーのコットンキャンディを手にして微笑む。
そのいっぽうで、私は生き物の死骸を嬉々として背負い、黒フードとマントを羽織って木の籠にはリンゴ。
「ううっ……。来世はキャンディ屋になるっ!」
来世の誓いを立てたのは、今の私が染物の仕事を絶対に辞められないということを自分でもわかっていたからだった。
トロい私ができる唯一の仕事だったし、それに私が染物を続けていれば、ロク先生が旅から帰って来た時、弟子である私に会いに来てくれる。
捨て子の私を拾って染物の仕事を教えてくれた大恩人。
「ロク先生はどこにいるのかなぁ」
生きていればいいけど――私の住んでいる小さな家が見えてきた。焦げたパンのような色をしたレンガ造り家。
家の外でも作業ができるよう屋根付きの竈があり、大きな鉄鍋がかけられている。
長く住むと物が増えるって本当だ。特に私のような仕事は広い場所が必要になる。
森に住んだのは大正解で、染料の素材をたくさん手に入れることができた。念願だった染料用の畑を作ることができて、今や家の横にある畑では草や虫が大量に育っていた。
畑を横切り、暗い家の中に入るとランプを灯し、薪をくべて火を起こした。そして、お茶を飲むためのお湯を沸かす。
ようやく黒い森の中に淡い光がぼうっと浮かびあがり、家のそばを流れる小川に光が映る。
煙突から昇る白い煙は黒いだけの木々に色を与えた。
森に一軒しかない家だけど、人が住むと森の空気も変化して違うような気がする。
とはいえ、私の家を訪ねる人は誰もいない。
「町まで行ったから疲れちゃった……」
歩くスピードが牛と言われている私が町へでかけると、用事を済ませたり依頼品を届けたりするだけで丸一日かかる。
今日は朝早くから家を出発していたこともあり、疲れて目蓋が閉じかけていた。睡魔と戦いながら、今日の戦利品を広げ、テーブルに並べる。
コーヒー、砂糖、パンに肉、リンゴ。それから、新種の生き物。
新種の生き物に巻いていた布を取り外す。
怪我はしてないようだけど、どうして息絶えて……んん?
「あ、あれ? なんか息してる?」
それに明るい所で見るとまた印象が違って見えた。新種の生き物にはゴツゴツした鱗に強そうな翼、角まである。
「まさか、これって竜の種族じゃ……?」
ごちゃごちゃした棚の中から竜のことを書いた本を探す。ホコリが舞い、ザザザッーと本が雪崩を起こし、紙が床に散らばった。
それでも私の手もホコリも止まることはなかった。
「げほっ、げほほっ! ブフッ!」
少し遅れて棚から本が一冊落下し、顔に直撃した。顔の中で一番高い鼻の頭にぶつかり、手で鼻をさする。鏡を見たけど、怪我はなく、鼻も低くなっていなかった。
トロい私よ、こんにちはって、こんばんはだった。挨拶すら遅れている私。
目的の本を本棚の中から発掘するため、本棚から抜いた本をどんどん床の上に重ねていく。
『コミュニケーションが苦手なあなたへ』
『困った時の会話術』
「そうそう。これですよ……って、ちがうっ!」
買ったのはいいけど読む前に本の山へ埋もれた本達。
まだ読んでなかったのを思いだし、後から読もうと『コミュニケーションが苦手なあなたへ』をテーブルの上にソッと置いた。
「えっと、あった!」
これはロク先生から譲られた本で、染料の材料となる生物が書かれたもの。何度も読んだから本を開かなくても全部覚えているけど、念のため確認する。
「落ち着くのよ、私」
他者からみたら、のんびりしていて落ち着いているように見えるかもしれないけど、心の中では大忙し。ビュンビュン風が吹いている。
それくらい目の前の生物は希少な存在なのだ。
ページをめくる指が震える。
「竜……、竜に間違いないわっ!」
猫くらいの大きさだけど、本の中に描かれている竜の種族とそっくりで、竜の子供である子竜ではないかと思われる。
竜が人の前に姿を現すことは滅多になく、伝説上の生き物として語られることが多い。
黒曜石のような鱗に包まれた体は宝石よりも不思議で綺麗だった。
「鱗の一枚くらい欲しいけど……。生きてるみたいだし、そうはいかないわよね?」
それにずっと眠っている。
いつ目覚めるのか、わからないけど、育ちきった竜になったほうが鱗は大きい。
つまり、育てるほうがお得。
こんこんと眠り続ける子竜を私のベッドに寝かせてあげた。
私の寝心地より、今は竜の鱗……じゃなくて、子竜の成育が優先よ!
「早く大きくなってね。私の鱗ちゃん」
その宝石のような鱗をなでて、うっとりとした。
この鱗で布がどんな色に染まるのか早く知りたい。まるで恋をした乙女のようにドキドキしながらソファーに横になった。
「鱗……私の鱗……」
町に出かけたこともあり、疲れていた私は深く暗い眠りの淵へと落ちて行ったのだった。
荷馬車の荷台に載せられていたリンゴの山が崩れ、赤い実がバラバラと地面に散らばった。
これは人助けの大チャンスっ!
ダッと走りだし、リンゴを拾おうとした瞬間、ガラガラと馬車が横切り、私の目の前を塞いだ。
「馬車の前に飛び出すな!」
「ひえっ! ご、ごめんなさい……」
御者に大声で叱られてしまい、足を止めて謝った。
ぶつかりそうになった馬車は立派な馬車で、馬は二頭立て。美しい毛並みをした茶色の馬達を休みなく走らせて来たのか、馬達は疲れている。
それは馬車に乗っている人も同じらしく、馬車のカーテンは閉められたまま、誰が乗っていたのかわからなかった。
馬車は町で一番高級な宿屋に入って行った。
「お金持ちそう。お忍びの貴族とかかな……って、ああっ! リンゴが拾われてるっ!」
親切な町の人達によって路上に転がったリンゴはすでに拾い終わっていた。
その上、車輪の応急処置までできる人がいて、ものすごく感謝されている。
「人気がある職業は染物師じゃなくて馬車職人だった……?」
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もう帰ろうと、ブーツをはいた足を進めたその時、リンゴが数個、転がっているのが見えた。
これはまさかの大チャンス! 逆転、逆転、大逆転!
嬉々としてリンゴを集め、それを抱えて持って行く。
「リンゴ……リンゴを……どうぞ……」
「ひえっ! 魔女の毒リンゴ!」
魔女だなんて失礼なと思ったけど、噴水の水面に映る私の姿は不気味だった。
白い手を伸ばし、リンゴを差し出す黒マントに黒フードの姿の女。どこからどう見ても魔女そのもの。
物語のヒロインに毒リンゴを渡した悪い魔女とそっくりな私の姿に町の人達は怯えている。
これはもしや好感度を上げるどころか、滝のように急降下している?
町の人達の怯えた様子を見て、これ以上の長居は無用と判断し、受け取ってもらえなかったリンゴを籠に入れると逃げるようにして町を出た。
「毒リンゴだなんて、ひどい……」
一人呟き、力なく森の小道を歩く。
すでに薄暗い森は鬱蒼と生い茂る木々の黒い葉に包まれ、夕日を隠している。弱々しい太陽の残り火は森が作る闇に勝てず、弱々しい光を葉の隙間から覗かせるだけ。
ルチアさんに早く帰るように言われた私だけど、町で用事を済ませていると、いつも遅くなってしまう。
森の中は昼間と同じくらいの風の強さが吹いても暗闇で感じる強さは違う。夜だと強く風が吹いているように感じる。
黒い葉をガサガサと鳴らし、いるはずのない生き物の気配を生む。
そこに獣がいなくてもまるでいるのかのような――ドサッと重い音とともに空から黒い物体が降ってきた。
「ぎゃっー!」
乙女の悲鳴にはほど遠い声。
下手すれば森に魔物がいると町で噂されてしまうかもしれない。
森に住んで半年の私は獣なんて余裕よ、余裕。
なんて、調子に乗っていてすみませんでしたぁっー!
全力でなにかに謝りながら、目をそっと開けた。
目を開けた先には大きな黒い鳥かコウモリか、謎の黒い物体が私の目の前に転がっていた。
「こ、コウモリ?」
背中から翼がはえた鱗つきのトカゲかもしれない。
確認しようにも黒い物体の姿が見えにくく、その生き物がなんなのかわからない。
空を見上げると、この落ちてきた不思議な生き物をエサにしようとカラス達が狙っているのか、暗い空に黒い影達がいくつも旋回し、獲物を探している。
カラスにしては空を飛ぶ影が大きい気がしたけど、私の興味は落ちてきた新種の生き物に向けられていた。
「新種のコウモリかオオトカゲ? この鱗を砕いて粉末にしたら、どんな色になるのかなー?」
私の染物師としての探求心と好奇心が止まらない。
カラス達よ。悪いけど、この獲物は私のものっ!
いそいそと地面に転がる獲物に布を巻きつけ、よいしょっと背中に背負う。
けっこう重いけど、猫くらいの大きさだったから、なんとか背負えた。
「戦利品ゲットっ!」
そして私は重要なことに気づいてしまった。
「背中に生き物の死骸を喜んで背負う女……なんだか魔女っぽい?」
可愛いキャンディ屋のマリエッタはパステルカラーのコットンキャンディを手にして微笑む。
そのいっぽうで、私は生き物の死骸を嬉々として背負い、黒フードとマントを羽織って木の籠にはリンゴ。
「ううっ……。来世はキャンディ屋になるっ!」
来世の誓いを立てたのは、今の私が染物の仕事を絶対に辞められないということを自分でもわかっていたからだった。
トロい私ができる唯一の仕事だったし、それに私が染物を続けていれば、ロク先生が旅から帰って来た時、弟子である私に会いに来てくれる。
捨て子の私を拾って染物の仕事を教えてくれた大恩人。
「ロク先生はどこにいるのかなぁ」
生きていればいいけど――私の住んでいる小さな家が見えてきた。焦げたパンのような色をしたレンガ造り家。
家の外でも作業ができるよう屋根付きの竈があり、大きな鉄鍋がかけられている。
長く住むと物が増えるって本当だ。特に私のような仕事は広い場所が必要になる。
森に住んだのは大正解で、染料の素材をたくさん手に入れることができた。念願だった染料用の畑を作ることができて、今や家の横にある畑では草や虫が大量に育っていた。
畑を横切り、暗い家の中に入るとランプを灯し、薪をくべて火を起こした。そして、お茶を飲むためのお湯を沸かす。
ようやく黒い森の中に淡い光がぼうっと浮かびあがり、家のそばを流れる小川に光が映る。
煙突から昇る白い煙は黒いだけの木々に色を与えた。
森に一軒しかない家だけど、人が住むと森の空気も変化して違うような気がする。
とはいえ、私の家を訪ねる人は誰もいない。
「町まで行ったから疲れちゃった……」
歩くスピードが牛と言われている私が町へでかけると、用事を済ませたり依頼品を届けたりするだけで丸一日かかる。
今日は朝早くから家を出発していたこともあり、疲れて目蓋が閉じかけていた。睡魔と戦いながら、今日の戦利品を広げ、テーブルに並べる。
コーヒー、砂糖、パンに肉、リンゴ。それから、新種の生き物。
新種の生き物に巻いていた布を取り外す。
怪我はしてないようだけど、どうして息絶えて……んん?
「あ、あれ? なんか息してる?」
それに明るい所で見るとまた印象が違って見えた。新種の生き物にはゴツゴツした鱗に強そうな翼、角まである。
「まさか、これって竜の種族じゃ……?」
ごちゃごちゃした棚の中から竜のことを書いた本を探す。ホコリが舞い、ザザザッーと本が雪崩を起こし、紙が床に散らばった。
それでも私の手もホコリも止まることはなかった。
「げほっ、げほほっ! ブフッ!」
少し遅れて棚から本が一冊落下し、顔に直撃した。顔の中で一番高い鼻の頭にぶつかり、手で鼻をさする。鏡を見たけど、怪我はなく、鼻も低くなっていなかった。
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「落ち着くのよ、私」
他者からみたら、のんびりしていて落ち着いているように見えるかもしれないけど、心の中では大忙し。ビュンビュン風が吹いている。
それくらい目の前の生物は希少な存在なのだ。
ページをめくる指が震える。
「竜……、竜に間違いないわっ!」
猫くらいの大きさだけど、本の中に描かれている竜の種族とそっくりで、竜の子供である子竜ではないかと思われる。
竜が人の前に姿を現すことは滅多になく、伝説上の生き物として語られることが多い。
黒曜石のような鱗に包まれた体は宝石よりも不思議で綺麗だった。
「鱗の一枚くらい欲しいけど……。生きてるみたいだし、そうはいかないわよね?」
それにずっと眠っている。
いつ目覚めるのか、わからないけど、育ちきった竜になったほうが鱗は大きい。
つまり、育てるほうがお得。
こんこんと眠り続ける子竜を私のベッドに寝かせてあげた。
私の寝心地より、今は竜の鱗……じゃなくて、子竜の成育が優先よ!
「早く大きくなってね。私の鱗ちゃん」
その宝石のような鱗をなでて、うっとりとした。
この鱗で布がどんな色に染まるのか早く知りたい。まるで恋をした乙女のようにドキドキしながらソファーに横になった。
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