20 / 58
第二幕
ep.10 試行の肆 -ブラント侯爵令嬢- (1)
しおりを挟む
明るく煌びやかなホールに、美しい旋律が鳴り渡る。
ふと目が合った身なりの良い女性に嬉しそうに微笑まれ、ルイーゼはため息を飲み込み、ふわりと笑い返してみせた。
ルイーゼは今宵、ホーエンベルク公爵夫人の催した舞踏会へと招待されていた。
一介の近衛騎士である自分が、城内の警備もせずに会に参列するなど非常識である。
ルイーゼはそう言って誘いを辞退しようとしたが、一ヶ月前よりも随分とふっくらとした公爵夫人はそれを許さず、果てにはホーエンベルク公爵すらも良いではないかと、ルイーゼの小隊の代わりとして彼の私兵を警護に出した。
夫妻とのやり取りを思い出して一瞬だけ気を逸らしていたルイーゼは、再び音楽が始まったことに意識を目の前へと引き戻す。
王族の一端であるクラウスは、いつも通り黒を基調とした服ではあったが、重厚な鎧は外し、代わりに珍しく装飾の類を身に付けていた。
彼の大きな手に引かれるようにして、ルイーゼはクラウスの肩口へと頬を寄せる。大きく露出した背に硬い手のひらが触れたかと思うと、誘われるがままに足を踏み出した。
「剣だけでなく踊りの方も、随分と上達したものだな」
「此度の会に向け、公爵夫人に指導し直されました」
ルイーゼが作ったような端正な表情の中に、ほんの僅かな苦々しさを滲ませる。
ホーエンベルク公爵夫人の容体は、悪化前に治癒術師に診せられたことで快方に向かっていた。
最近では短時間であれば踊りすらも嗜めるようになり、そのことを公爵はいたく喜んだ。ルイーゼの魔力や魔装具のことについては変わらず伏せておくこととなったが、協力は惜しまないと告げ、その宣言通り幾つかの貴族諸侯に関する情報や弱みを流してくれた。
「ふっ、随分と物思いに耽っている。私が相手では不服か」
「滅相もありません。緊張と恐縮で、頭が白くなっておりました」
「その軽口を叩きながら足が止まらないようであれば、完全に習得したと言っていいな」
始めたばかりの頃は何度足を踏まれたことか、とクラウスが苦笑いを浮かべる。
ルイーゼはクラウスの顔を見ることなく、ただ重ねた手を軽く握り返した。
「あの頃は随分と世話をおかけました。正直なところ、これが何の役に立つのかと思いましたが……こうして殿下のお相手が務められるのであれば、練習した甲斐がありました」
もしステップを誤り、クラウスに恥をかかせるようなことでもあれば、死に戻ってやろうかとも思ったが、そのような無駄な試行はせずに済んでよかったとルイーゼは思った。
◇
少し火照った身体を冷ますため夜風に当たろうと、ルイーゼは大広間から続く中庭に出る。薄青のドレスが微かに風に翻った。
背後の音楽から離れるように少し歩いて、垣根の辺りで花を眺めている様子の令嬢を視界に入れる。
「失礼いたします、夜風が強くなってまいりました。お身体を冷やされませんよう」
「あなたは……」
振り返ったのは十代後半の少女だった。背後の垣根よりも深い緑のドレスに、大きな黒紫の宝石が付いた首飾り、艶やかな金の髪は美しく結い上げられて、白く細い肩首がよく見えた。
ルイーゼはその場で居住まいを正し、裾を引いて一礼する。
「お初にお目にかかります。クラウス・フォン・シュヴァルツ殿下のもとで近衛騎士を務めさせて頂いております、ルイーゼ・ヴァイスと申します。失礼ながら貴女様は、ブラント侯爵令嬢でいらっしゃいますね」
名乗りを聞くや否や、少女の顔に翳りが浮かぶ。少し気まずそうな様子で、ふいと斜め下へと視線が逸らされた。
「……ごめんなさい、クラウス殿下の近衛とはあまり話をしないよう、父から言われているの」
視線を向けないままそう言われ、ルイーゼは静かに頭を上げた。赤い双眸がほんの僅かに細められる。
「承知いたしました。こちらこそ、不躾にお声がけしてしまい、失礼いたしました。しかし……その美しい深緑のドレスは大変良くお似合いでいらっしゃいますが、肩に直接夜風が当たっているようです。宜しければ、お付きの方にストールをお持ち頂きましょうか」
ホールの明かりの方を指し示しながらルイーゼが言うと、侯爵令嬢の肩が微かに揺れ、次いで少し戸惑ったような視線が向けられた。
「……あなたは、このドレスに、何色のストールが似合うと思う?」
唐突なその問いかけに、ルイーゼは少しだけ考える素振りを見せてから、さらに優しく微笑む。
「そうですね、ブラント侯爵の冠する群青もお御髪にもよくお似合いかと存じますが……身に付けられている首飾りと同じく黒紫などはいかがでしょうか」
侯爵令嬢は少し驚いたように目を見開き、それではあなたがそれを持ってきてくれ、と頼んだ。
◇
ブラント侯爵令嬢に仕えているのであろう侍女は、ルイーゼの申し出にありありと嫌な顔をした。宰相派である侯爵と、クラウスとの間柄が良くないことは、侯爵家の使用人に至るまでよく知っていた。
渋る侍女に、ルイーゼは侯爵令嬢本人がそう言ったのだと説明する。それでもと言うのであれば自分で持って行かれるといい、と続けると、恐らくは叱責を嫌ったのだろう、侍女は渋々とストールを差し出した。
深い黒紫の上等な薄布を手に、ルイーゼの足は再び中庭へと向かう。
「色当てゲームとは、また無駄なことに力を使わされたな」
ホールの明かりが少し遠くなってから、ルイーゼの目の前に豆粒が浮かんだ。ルイーゼは声を潜めてロズへと答える。
「貴族令嬢の考えることは分かりませんが、しかし彼女と接する機会があるのはここだけです」
少女の求める答えを見つけ出すまでに、この夜ルイーゼは六回、ドレスを赤に染めることとなった。どうやら好きな色らしい装飾品を身に着けていてくれて助かった、とルイーゼはそのようなことを考えながら足を進めた。
◇
変わらず垣根を眺めている様子のブラント侯爵令嬢にストールを手渡すと、彼女はそれをとても大切そうに肩へと巻いた。少し話がしたいのだという彼女にルイーゼは頷き、二人の足は中庭の更に奥の方へと向かう。
「このドレスも、ストールも、それから宝石も、お母様のものなの」
歩き始めて然程立たないうちに、侯爵令嬢はそう言った。
「ブラント侯爵の奥方様というと、大変失礼ながら、二年前にご逝去されたと」
「ええ、だから、これがわたしに遺された最後の形見なの。残りはみんな、お父様が処分されてしまったから」
顔を曇らせてそう答えてから、少女はふと何かを思い出したようにルイーゼを振り返った。細く柔らかな手が、ルイーゼの手を包むように握る。
「ごめんなさい、名乗るのが遅くなったわ。わたしはカタリーナ、良ければそう呼んで貰えるかしら、ルイーゼ」
「承知いたしました、カタリーナ様」
ルイーゼはカタリーナの手を払わないまま、そう言って軽く腰を曲げた。
ふと目が合った身なりの良い女性に嬉しそうに微笑まれ、ルイーゼはため息を飲み込み、ふわりと笑い返してみせた。
ルイーゼは今宵、ホーエンベルク公爵夫人の催した舞踏会へと招待されていた。
一介の近衛騎士である自分が、城内の警備もせずに会に参列するなど非常識である。
ルイーゼはそう言って誘いを辞退しようとしたが、一ヶ月前よりも随分とふっくらとした公爵夫人はそれを許さず、果てにはホーエンベルク公爵すらも良いではないかと、ルイーゼの小隊の代わりとして彼の私兵を警護に出した。
夫妻とのやり取りを思い出して一瞬だけ気を逸らしていたルイーゼは、再び音楽が始まったことに意識を目の前へと引き戻す。
王族の一端であるクラウスは、いつも通り黒を基調とした服ではあったが、重厚な鎧は外し、代わりに珍しく装飾の類を身に付けていた。
彼の大きな手に引かれるようにして、ルイーゼはクラウスの肩口へと頬を寄せる。大きく露出した背に硬い手のひらが触れたかと思うと、誘われるがままに足を踏み出した。
「剣だけでなく踊りの方も、随分と上達したものだな」
「此度の会に向け、公爵夫人に指導し直されました」
ルイーゼが作ったような端正な表情の中に、ほんの僅かな苦々しさを滲ませる。
ホーエンベルク公爵夫人の容体は、悪化前に治癒術師に診せられたことで快方に向かっていた。
最近では短時間であれば踊りすらも嗜めるようになり、そのことを公爵はいたく喜んだ。ルイーゼの魔力や魔装具のことについては変わらず伏せておくこととなったが、協力は惜しまないと告げ、その宣言通り幾つかの貴族諸侯に関する情報や弱みを流してくれた。
「ふっ、随分と物思いに耽っている。私が相手では不服か」
「滅相もありません。緊張と恐縮で、頭が白くなっておりました」
「その軽口を叩きながら足が止まらないようであれば、完全に習得したと言っていいな」
始めたばかりの頃は何度足を踏まれたことか、とクラウスが苦笑いを浮かべる。
ルイーゼはクラウスの顔を見ることなく、ただ重ねた手を軽く握り返した。
「あの頃は随分と世話をおかけました。正直なところ、これが何の役に立つのかと思いましたが……こうして殿下のお相手が務められるのであれば、練習した甲斐がありました」
もしステップを誤り、クラウスに恥をかかせるようなことでもあれば、死に戻ってやろうかとも思ったが、そのような無駄な試行はせずに済んでよかったとルイーゼは思った。
◇
少し火照った身体を冷ますため夜風に当たろうと、ルイーゼは大広間から続く中庭に出る。薄青のドレスが微かに風に翻った。
背後の音楽から離れるように少し歩いて、垣根の辺りで花を眺めている様子の令嬢を視界に入れる。
「失礼いたします、夜風が強くなってまいりました。お身体を冷やされませんよう」
「あなたは……」
振り返ったのは十代後半の少女だった。背後の垣根よりも深い緑のドレスに、大きな黒紫の宝石が付いた首飾り、艶やかな金の髪は美しく結い上げられて、白く細い肩首がよく見えた。
ルイーゼはその場で居住まいを正し、裾を引いて一礼する。
「お初にお目にかかります。クラウス・フォン・シュヴァルツ殿下のもとで近衛騎士を務めさせて頂いております、ルイーゼ・ヴァイスと申します。失礼ながら貴女様は、ブラント侯爵令嬢でいらっしゃいますね」
名乗りを聞くや否や、少女の顔に翳りが浮かぶ。少し気まずそうな様子で、ふいと斜め下へと視線が逸らされた。
「……ごめんなさい、クラウス殿下の近衛とはあまり話をしないよう、父から言われているの」
視線を向けないままそう言われ、ルイーゼは静かに頭を上げた。赤い双眸がほんの僅かに細められる。
「承知いたしました。こちらこそ、不躾にお声がけしてしまい、失礼いたしました。しかし……その美しい深緑のドレスは大変良くお似合いでいらっしゃいますが、肩に直接夜風が当たっているようです。宜しければ、お付きの方にストールをお持ち頂きましょうか」
ホールの明かりの方を指し示しながらルイーゼが言うと、侯爵令嬢の肩が微かに揺れ、次いで少し戸惑ったような視線が向けられた。
「……あなたは、このドレスに、何色のストールが似合うと思う?」
唐突なその問いかけに、ルイーゼは少しだけ考える素振りを見せてから、さらに優しく微笑む。
「そうですね、ブラント侯爵の冠する群青もお御髪にもよくお似合いかと存じますが……身に付けられている首飾りと同じく黒紫などはいかがでしょうか」
侯爵令嬢は少し驚いたように目を見開き、それではあなたがそれを持ってきてくれ、と頼んだ。
◇
ブラント侯爵令嬢に仕えているのであろう侍女は、ルイーゼの申し出にありありと嫌な顔をした。宰相派である侯爵と、クラウスとの間柄が良くないことは、侯爵家の使用人に至るまでよく知っていた。
渋る侍女に、ルイーゼは侯爵令嬢本人がそう言ったのだと説明する。それでもと言うのであれば自分で持って行かれるといい、と続けると、恐らくは叱責を嫌ったのだろう、侍女は渋々とストールを差し出した。
深い黒紫の上等な薄布を手に、ルイーゼの足は再び中庭へと向かう。
「色当てゲームとは、また無駄なことに力を使わされたな」
ホールの明かりが少し遠くなってから、ルイーゼの目の前に豆粒が浮かんだ。ルイーゼは声を潜めてロズへと答える。
「貴族令嬢の考えることは分かりませんが、しかし彼女と接する機会があるのはここだけです」
少女の求める答えを見つけ出すまでに、この夜ルイーゼは六回、ドレスを赤に染めることとなった。どうやら好きな色らしい装飾品を身に着けていてくれて助かった、とルイーゼはそのようなことを考えながら足を進めた。
◇
変わらず垣根を眺めている様子のブラント侯爵令嬢にストールを手渡すと、彼女はそれをとても大切そうに肩へと巻いた。少し話がしたいのだという彼女にルイーゼは頷き、二人の足は中庭の更に奥の方へと向かう。
「このドレスも、ストールも、それから宝石も、お母様のものなの」
歩き始めて然程立たないうちに、侯爵令嬢はそう言った。
「ブラント侯爵の奥方様というと、大変失礼ながら、二年前にご逝去されたと」
「ええ、だから、これがわたしに遺された最後の形見なの。残りはみんな、お父様が処分されてしまったから」
顔を曇らせてそう答えてから、少女はふと何かを思い出したようにルイーゼを振り返った。細く柔らかな手が、ルイーゼの手を包むように握る。
「ごめんなさい、名乗るのが遅くなったわ。わたしはカタリーナ、良ければそう呼んで貰えるかしら、ルイーゼ」
「承知いたしました、カタリーナ様」
ルイーゼはカタリーナの手を払わないまま、そう言って軽く腰を曲げた。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる