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王都にて
バーバラ 3
しおりを挟む突然部屋に入ってきた男たちは、私とコリンナさんをどこかへ連れて行こうとします。
もう一人、厳つい男がアーカード様のところへ行きましたが、大丈夫でしょうか。
そして扉の外に出るとフードを目深にかぶった男がもう一人おりました。
その男が私の腕をぐいっと引っ張ります。
コリンナさんは細身の男性に小突かれるようにして先頭を歩かされ、フードの男が私の腕をぎゅっと掴んだままその後に続きました。
アーカード様が心配で、ぐいぐいと引っ張られながらも背後を振り向けば、足のロープを解かれたアーカード様が、厳つい男に腕を後ろ手に掴まれて追ってきています。
ああ、良かった。
見る限りどこにも怪我などはないようで、私はほっとしました。
しかしいったい何があったのでしょう。あの部屋に押し込められてからそこそこの時間が経っております。なのに、今の今までこの男たちは私たちを放って置いたといいますのに。
そう思っても問いただす勇気なんて私にはありませんでした。
だって私の腕を掴んでいるフードを目深にかぶった男は、ただただ無言で。
私たちの前を歩く細身の男は、どこか焦っているようで先頭を歩かせているコリンナさんをやたらと小突いているのです。その上、コリンナさんが何か言うと、すぐに「うるせぇ! 黙って歩け!」と怒鳴りました。
私は大人の怒鳴り声は嫌いです。いえ、嫌いというよりは怖いのです。ですから、どうしてもあの細身の男が怒鳴るたびにびくびくしてしまいます。
私の腕を掴んでいる男もその事に気が付いたのでしょう。
「お前も黙れ、煩いぞ」
そう細身の男に向かって言いました。
細身の男のように大きな声をあげている訳でもないのに、圧がかかる、とでも言えばいいのでしょうか。
やたらと怒鳴り声をあげていた細身の男も黙ってしまいました。
それでもコリンナさんを細身の男は小突いて歩かせます。
廊下の突き当りまで行くと男はまたコリンナさんを小突きました。
すると驚いたことに突き当りの壁の中にコリンナさんが消えてしまいます。
「!」
私が声もなく驚いていると
「……壁を偽装してるのか……」
後ろからアーカード様の声が聞こえました。
その言葉でようやく魔法か魔道具が使われている事に気が付きましたが、私は魔法を使うことは出来ません。ですからその仕組みも何も理解が出来ないのです。
そう言えばアーカード様は、魔道具を研究されていたとニコル兄様が言っておりました。
だとしたらアーカード様には、今目の前で起こった出来事が理解できているのでしょう。
「黙って歩け」
けれどアーカード様もまた後ろにいる厳つい男性に、小突かれたようです。
ふらりとその身体が傾ぎましたが、アーカード様が私をじっと見つめていました。そして音もなく「大丈夫だ」と、口を動かします。
私はそれだけの事で、なんだか安心することが出来ました。何故でしょう。
でもその事を深く考える前に私たちもまた、壁に足を踏み入れていたのです。
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