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第3話 鷲と蛇

連結刃

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 「はっはっ! この戦い、俺様の勝利だ! 湖に沈んだ剣を貰い受けるとしよう」

 イルザの攻撃を押し切ったホルグ。煙る空中で水中へ沈んでいく“妖精の輝剣アロンダイト”を魔眼“鷹の目ホークアイ”で見つめる。

 すると、月光に照らさた赤黒い湖が蒼白に輝きだす。

 「ふん。 存外しぶといな」

 魔眼でイルザの異変を察知したホルグは湖から距離をとるため陸へ後退する。

 「うおおおおぉぉぉぉっっっっっ!」

 イルザの叫び声が湖を割った。いや、“妖精の輝剣アロンダイト”が湖を呑み込んだのだ。

 真っ直ぐに伸びる”妖精の輝剣アロンダイト“は陸にある一本の魔界樹に巻き付いた。自由自在に伸縮するゴムの様に”妖精の輝剣アロンダイト“が縮みだし、イルザを湖から引き上げた。

 縮み切ったその刀身は元の長剣の形に戻ったが、一定の間隔で裂け目がある。まるで蛇の腹の様な刀身は連結刃(れんけつじん)となり、鞭と剣が一体化した武器となっていた。

 「なんだ!? その武器は!?」

 強い光で見えなかったが、蒼白に輝く刀身は“妖精の輝剣アロンダイト”と同じものだった。

 「さあね? あんたを墜とす武器なんじゃない?」

 不敵な笑みを浮かべるイルザ。気迫に満ちたその笑みは、恐怖さえ覚える。

 有無を言わさずイルザは剣を構え、上から下へ大きく振り下ろした。その剣は、裂け目から蒼白の光が次々と伸び、上空にいるホルグへ地上にいながらも刃を届かせた。

 「なんて攻撃範囲だ!?」

 上から下への攻撃。避けるのは容易であった。しかし、剣形態の時と違うのはそれが一度きりでは無いことであった。 

 イルザは右から左へ、左上から右下へ、自在に連結刃(れんけつじん)を操り怒涛(どとう)の連続攻撃を振るう。

 それをくぐり抜けるように舞い飛ぶホルグ。絶え間なく襲ってくる連続攻撃に避けることしか出来ないが、左手の“極光の月弓”に魔力を注いでいた。

 「反撃させてもらう!」

 魔力を注ぎ終えた“極光の月弓アルテミス”を軽く爪(つま)弾(び)く。

 射出された矢は小石ほどの大きさの魔力光弾となり、無数の光弾がイルザへ降り注ぐ。

 しかしイルザは連結刃を蛇のようにしならせ、ホルグの魔力光弾を一発残さず薙ぎ払った。

 「なんてやつだ! あの数を薙ぎ払うだと!?」

 「そろそろ捕まってくれないかしら?」

 低く冷たい声で、イルザは連結刃を振るう。

 しかし、当たらない。空中戦では翼のあるホルグが一枚上手であった。

 「はっはっ! どんな形状になろうと当たらなければ意味がない!」

 ホルグは次々と攻撃をくぐり抜けながら高笑いする。それを可能としてたのは魔眼“鷹の目ホークアイ”の筋肉の動きすら見抜く、恐ろしいまでの視力のおかげだった。

 「・・・ボルティック・フォトン」

 ホルグの目の前に魔法陣が現れ、稲妻の様な激しい閃光が炸裂した。


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