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16章 噂に踊らされる妃
①
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それは何て事のない出来事だった。
ブラリと散歩に出かけた先の、ガラスの温室。
いつも挨拶をする庭師が、何故かその日、アリムの事を呼び止めた。
『妃殿下、花の苗は順調ですか?』
『え?あ、はい。おかげさまで。』
アルバシウムの世話の際に世話にはなったが、庭師が世間話をしてくる事は滅多にない。
珍しい事だったが、アリムは話しかけられた事を喜んだ。
『少し前ですが、リアナにプランターを渡したんです。とても喜んでいましたよ。』
『それはようございました。』
庭師は頷きながら、チラリと温室の中を覗き込んだ。
アリムの後ろでノイが、視線につられて中を見遣る。
数人の影がチラリと動いた気がした。
『先客か?』
『中にどなたかいるんでしたら、また出直しますよ?』
『いえ、そういう訳では……。』
ガヤガヤと騒がしい話し声が聞こえてくる。
声の賑やかさからして、使用人のようだった。
彼らは周りに誰もいないと思っているのか、気軽な調子で話をしている。
『なんだ、使用人じゃないか。』
誰かの遣いで、花を摘みに来たのか。
ノイはそう言いながら、扉を開けようと手を伸ばした。
庭師が目を丸くして、ノイとドアの間に体を滑り込ませようとする。
そしてブンブンと首を横に振った。
『おい、なんだ……。』
『……が参加したばかりに、気の毒な事になったな……。』
『全く軽率だよな。平民が貴族のパーティに行こうとするから、こんな事になるんだよ。』
庭師の顔色が真っ青になった。
どうやら彼は、これを聞かせたくなかったようだ。使用人と言えど、彼らは下位貴族だ。これが庭師の精一杯だったのだろう。
薄らと漏れ聞こえてきた話し声に、アリムは目を丸くした。
あの日のことを思い出して、アリムは肩を強張らせる。
「……。」
どう説明しようか。
言葉を探しながら、指の先を弄る。
「……最近、噂が歯止め知らずなんだよ。」
「噂……でございますか?」
アリムの後ろで、ノイが小さな舌打ちをした。
アリムは突然聞こえてきた無言の悪態を、チラリと眇める。
ノイはあの時大層怒り狂った。今にもガラスの温室を蹴破りそうな勢いに、アリムは慌ててその場を去らなければいけなかったのだ。
しばらく社交から遠ざかっていたイーサンは、僅かに鼻に皺を寄せた。
「どのような噂かお聞きしても?」
「はぁ……。」
アリムはポリポリと頬をかき、バツが悪そうに言い淀む。
「それは……。」
アリムはツンっとグラスをつつく。
「まぁ……色々だよ。傾国の男娼、ラシードを唆して王太后と公爵を謹慎させた不孝者、エタンの騎士生命を奪った策謀家……。」
「……お待ちください。私の……なんですか?」
「騎士生命を奪った策謀家だよ。」
イーサンの笑みの横、こめかみが痙攣した。
背後にゆらりと怒気が立ち上ったのは、気のせいではないだろう。
同じ顔の中で浮かんだ2つの表情に、アリムはギョッとたじろぐ。
「き、騎士生命が絶たれたなんて、酷い噂だよね。エタンはこうして復帰したのに……。」
「問題はそこじゃないっす。」
またノイが呆れたように口を挟む。先程から騎士とアリムの間に、微妙なズレがあるようだ。
アリムは「どう言う事?」とノイを振り返る。
ノイが何かを言おうと口を開きかけた。
「妃殿下。」
イーサンがトントンッとテーブルを叩いた。
大きな音ではなかったが、ノイが思わずといった様子で口を噤んだ。
「……口さがない愚か者がいるのですね。」
「まぁ、全部が嘘って訳じゃないからね……。」
イーサンに視線を戻したアリムは、困ったように笑って目を伏せた。
「噂の出所はおわかりなのですか?」
「わからないな。特にベルンハルの謹慎の詳細は、一部の人しか知らないはずなんだけど……。」
公爵領といえど、王都からは離れた土地だ。
解雇された使用人が噂を流しているのかもしれないが、それを広める人間もいるはずである。
アリムは思い当たるところもなくて、首を傾げる。
「なるほど。」
イーサンはくるりとグラスをマドラーでかき混ぜた。
カランッと氷が崩れる。
「悪い噂を払拭しようと思って開始した社交も、何というか……ほら、少し失敗しちゃっただろ?」
当事者にこんな事を言うのも気が引けて、アリムは笑って誤魔化す。
だがトマス家のパーティの事を言っているのは明らかだろう。
イーサンがはっきりと首を横に振った。
「妃殿下に落ち度はございませんでした。」
頑ななまでに強張った声だった。
アリムを見つめてくるイーサンの瞳は、真っ直ぐにアリムの言葉を否定している。
それを見つめ返す事ができず、思わず膝に視線を落としてしまう。
「どうかな……。」
ポツリと、自信なさげに震える声が、こぼれ落ちた。
シンッと部屋に不自然な空白の間ができる。
アリムはチラリとイーサンを見遣ると、首を傾げた。
「……そういえばシェリーは元気?」
「はい。毎日いただいたドールセットを嬉しそうに眺めております。」
「そう。なら良かった。近いうちにシェリーを連れて、遊びにきてね。」
「はい、必ず。」
イーサンの力強い返事に、アリムはホッとして笑った。
「まぁ……とにかく。今そういう噂が出回ってるんだけど、少し都合が悪いんだよ。」
アリムはテーブルの上に置かれた小さなクッキーを摘んだ。アーモンドの粉で作られたクッキーは、あっという間に口の中で解けていく。
その甘さをコーヒーで流してから、アリムは指でグラスの水滴を拭った。
「一ヶ月後にユージンさんと準備してる店がオープンするんだ。それで、これなんだけど。」
アリムはバサっと何通もの封筒をテーブルの上に放り投げた。
家紋のシーリングスタンプを一瞥しただけで、イーサンは大体理解したらしい。
「中身を拝見しても?」
「読んでみて。」
イーサンは一番上の手紙にサッと目を通す。
中身はアリムの事業に対する抗議だった。
王族が身につけた布を平民に販売する事は、貴族階級を軽んじていると言う事。そして噂に触れて、しばらく大人しくしているべきだ、ということが丁寧な文章で書かれていた。
イーサンは口の端を吊り上げる。
「なんと……まぁ。」
「無視してもいいのかもしれないけど、お客様に被害が向かっても困るし。」
「……マコガレン侯爵と、ドラニア卿は何と?」
「ユージンさんは、事業の結果が出るまで無視しろって。キシュワールは社交を再開しろって言ってる。」
アリムは手紙を視界に入れるのも嫌で、サッとまとめると隅に寄せた。
「どっちの意見も正しいと思うんだけど……。」
「妃殿下はどうなさりたいのですか?」
その問いに、アリムは目を丸くした。
ブラリと散歩に出かけた先の、ガラスの温室。
いつも挨拶をする庭師が、何故かその日、アリムの事を呼び止めた。
『妃殿下、花の苗は順調ですか?』
『え?あ、はい。おかげさまで。』
アルバシウムの世話の際に世話にはなったが、庭師が世間話をしてくる事は滅多にない。
珍しい事だったが、アリムは話しかけられた事を喜んだ。
『少し前ですが、リアナにプランターを渡したんです。とても喜んでいましたよ。』
『それはようございました。』
庭師は頷きながら、チラリと温室の中を覗き込んだ。
アリムの後ろでノイが、視線につられて中を見遣る。
数人の影がチラリと動いた気がした。
『先客か?』
『中にどなたかいるんでしたら、また出直しますよ?』
『いえ、そういう訳では……。』
ガヤガヤと騒がしい話し声が聞こえてくる。
声の賑やかさからして、使用人のようだった。
彼らは周りに誰もいないと思っているのか、気軽な調子で話をしている。
『なんだ、使用人じゃないか。』
誰かの遣いで、花を摘みに来たのか。
ノイはそう言いながら、扉を開けようと手を伸ばした。
庭師が目を丸くして、ノイとドアの間に体を滑り込ませようとする。
そしてブンブンと首を横に振った。
『おい、なんだ……。』
『……が参加したばかりに、気の毒な事になったな……。』
『全く軽率だよな。平民が貴族のパーティに行こうとするから、こんな事になるんだよ。』
庭師の顔色が真っ青になった。
どうやら彼は、これを聞かせたくなかったようだ。使用人と言えど、彼らは下位貴族だ。これが庭師の精一杯だったのだろう。
薄らと漏れ聞こえてきた話し声に、アリムは目を丸くした。
あの日のことを思い出して、アリムは肩を強張らせる。
「……。」
どう説明しようか。
言葉を探しながら、指の先を弄る。
「……最近、噂が歯止め知らずなんだよ。」
「噂……でございますか?」
アリムの後ろで、ノイが小さな舌打ちをした。
アリムは突然聞こえてきた無言の悪態を、チラリと眇める。
ノイはあの時大層怒り狂った。今にもガラスの温室を蹴破りそうな勢いに、アリムは慌ててその場を去らなければいけなかったのだ。
しばらく社交から遠ざかっていたイーサンは、僅かに鼻に皺を寄せた。
「どのような噂かお聞きしても?」
「はぁ……。」
アリムはポリポリと頬をかき、バツが悪そうに言い淀む。
「それは……。」
アリムはツンっとグラスをつつく。
「まぁ……色々だよ。傾国の男娼、ラシードを唆して王太后と公爵を謹慎させた不孝者、エタンの騎士生命を奪った策謀家……。」
「……お待ちください。私の……なんですか?」
「騎士生命を奪った策謀家だよ。」
イーサンの笑みの横、こめかみが痙攣した。
背後にゆらりと怒気が立ち上ったのは、気のせいではないだろう。
同じ顔の中で浮かんだ2つの表情に、アリムはギョッとたじろぐ。
「き、騎士生命が絶たれたなんて、酷い噂だよね。エタンはこうして復帰したのに……。」
「問題はそこじゃないっす。」
またノイが呆れたように口を挟む。先程から騎士とアリムの間に、微妙なズレがあるようだ。
アリムは「どう言う事?」とノイを振り返る。
ノイが何かを言おうと口を開きかけた。
「妃殿下。」
イーサンがトントンッとテーブルを叩いた。
大きな音ではなかったが、ノイが思わずといった様子で口を噤んだ。
「……口さがない愚か者がいるのですね。」
「まぁ、全部が嘘って訳じゃないからね……。」
イーサンに視線を戻したアリムは、困ったように笑って目を伏せた。
「噂の出所はおわかりなのですか?」
「わからないな。特にベルンハルの謹慎の詳細は、一部の人しか知らないはずなんだけど……。」
公爵領といえど、王都からは離れた土地だ。
解雇された使用人が噂を流しているのかもしれないが、それを広める人間もいるはずである。
アリムは思い当たるところもなくて、首を傾げる。
「なるほど。」
イーサンはくるりとグラスをマドラーでかき混ぜた。
カランッと氷が崩れる。
「悪い噂を払拭しようと思って開始した社交も、何というか……ほら、少し失敗しちゃっただろ?」
当事者にこんな事を言うのも気が引けて、アリムは笑って誤魔化す。
だがトマス家のパーティの事を言っているのは明らかだろう。
イーサンがはっきりと首を横に振った。
「妃殿下に落ち度はございませんでした。」
頑ななまでに強張った声だった。
アリムを見つめてくるイーサンの瞳は、真っ直ぐにアリムの言葉を否定している。
それを見つめ返す事ができず、思わず膝に視線を落としてしまう。
「どうかな……。」
ポツリと、自信なさげに震える声が、こぼれ落ちた。
シンッと部屋に不自然な空白の間ができる。
アリムはチラリとイーサンを見遣ると、首を傾げた。
「……そういえばシェリーは元気?」
「はい。毎日いただいたドールセットを嬉しそうに眺めております。」
「そう。なら良かった。近いうちにシェリーを連れて、遊びにきてね。」
「はい、必ず。」
イーサンの力強い返事に、アリムはホッとして笑った。
「まぁ……とにかく。今そういう噂が出回ってるんだけど、少し都合が悪いんだよ。」
アリムはテーブルの上に置かれた小さなクッキーを摘んだ。アーモンドの粉で作られたクッキーは、あっという間に口の中で解けていく。
その甘さをコーヒーで流してから、アリムは指でグラスの水滴を拭った。
「一ヶ月後にユージンさんと準備してる店がオープンするんだ。それで、これなんだけど。」
アリムはバサっと何通もの封筒をテーブルの上に放り投げた。
家紋のシーリングスタンプを一瞥しただけで、イーサンは大体理解したらしい。
「中身を拝見しても?」
「読んでみて。」
イーサンは一番上の手紙にサッと目を通す。
中身はアリムの事業に対する抗議だった。
王族が身につけた布を平民に販売する事は、貴族階級を軽んじていると言う事。そして噂に触れて、しばらく大人しくしているべきだ、ということが丁寧な文章で書かれていた。
イーサンは口の端を吊り上げる。
「なんと……まぁ。」
「無視してもいいのかもしれないけど、お客様に被害が向かっても困るし。」
「……マコガレン侯爵と、ドラニア卿は何と?」
「ユージンさんは、事業の結果が出るまで無視しろって。キシュワールは社交を再開しろって言ってる。」
アリムは手紙を視界に入れるのも嫌で、サッとまとめると隅に寄せた。
「どっちの意見も正しいと思うんだけど……。」
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彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
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騎士×妖精
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