クズ過ぎる仲間に濡れ衣を着せられた上に、獄中でもDQNからいじめられている不遇冒険者ですが、前に助けた美少女から助けて貰えるようです

タダノヒト

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第七話(完)

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 獄中を出て、晴れて冒険者としての生活を再開することが出来る青年には、一つ不安があった。それはギルドが自分を受け入れてくれるのか。ということである。

 無実の罪であるとは言え、ギルド内では青年が犯人であると言うことになっているのだ。周りからきつく当たられること位は覚悟していた青年だったが、この期に及んで「そもそも、冒険者ギルドに本当に戻れるのか?」という疑念をいだき始めたのである。

 そんな訳もあり、ギルドに向かう青年の足取りはどこか重い。しかし、まだ着かないでくれと思うときに限って目的地はすぐに現れる。

 考えれば考える程、青年の頭の中には、ネガティブな想像ばかりが溢れ出す。そんな想像を振り切るように軽く息を吸うと青年はギルドの戸を開けた。

 中に入ると、音のした扉の方を見た数名と、目があった。どういう反応が返ってくるのだろうか。青年の体に緊張が走る。

「おい、お前大変だったな!!」

  反応した数名のうち、青年にとってあまり面識のない一人の男が青年に何かを労うような口調で話しかけた。青年に男の言葉の意味を理解することができなかった青年は、男の次の言葉を待つ。

「いやぁ。アイツがまさかあんなクズ野郎だって思わなかったよ。本当にすまねぇな。俺は正直、あいつの言ったことを鵜呑みにして、お前がやったとばかり思ってたよ」

「……えっ?」

 未だに状況がよく理解できない青年は分かりやすく戸惑いをみせる。そんな青年に対して男はどこか腑に落ちない様子で青年に問いかける。

「なんだ、お前それで帰ってきたんじゃないのか?」

「なんかよく分からないけど、俺は、刑期が昨日までだったから、今日帰ってきただけだよ」

 そんな青年の返答に対して、男はそれなら納得がいくと言わんばかりに、手をぽんと叩いた。

「あーなるほどな。それなら確かに知らなくても無理はねぇ。えっとな。この前、ここにお前のことを探してるっていう女の子が来たんだよ……」



 

「……犯人が分かりました」

 目を開けた少女が言い放ったのは、冗談としか思えない一言だった。当然、その場にいた誰もがざわめき、少女の発言に疑問を抱く。

「おいおい。流石に、ろくに調べもせずに分かったなんて言われても冗談としか思えねぇよ」

 男も当然その中の一人であり、野次馬の意見を代表するかのように少女に不満を呈した。しかし、少女自身もこの反応を予想していたのだろう。特に動じる様子は見受けられない。

「まぁ、そりゃそうですよね。私が普通の探偵なら、今のは質の悪い冗談で話は終わるでしょう。でも私見えるんですよ。特になにも調べなくてもその事件の全貌が。そこの親切なお方。あなたがこの事件の真犯人だってこともね」

 少女が指差した先には、例の男。少女は確かに事件の犯人を的中させたのだ。しかし、あまりにも現実離れした少女の言動を皆がすんなりと受け入れられる訳もなく、男もその雰囲気に乗じて難を逃れようとする。

「無茶苦茶な話だ。どこに証拠があるんだよ!? そんな当てずっぽうで犯人扱いされてたまるか!!」

 男は、あえて声を荒げ、いかにも怒っているかのような様子を見せた。周囲の野次馬もこれに合わせて少女を責め立てる。この、男を擁護するムードは、男が築いてきた偽りの信頼の賜物といえるだろう。しかし、これでも少女は動じない。        

「金貨ニ十ニ枚。ですよね? 受付嬢さん」

 少女が唐突に口にしたのは、あの時、盗まれた金額だった。この数字が何を示すのか。いち早く察したのは男と受付嬢だった。

 受付嬢はあわててメモ帳を取り出し、手慣れた動作で、事件について書かれているページまで遡った。そして、すぐに受付嬢は自身の目を疑うことになる。

「……えっ、嘘? ……はい。盗まれたのは金貨二十二枚です」

 受付嬢の返答に周囲がざわつく。それは、少女が知り得るはずもない情報であり、ましてや、当てずっぽうで当てられるようなものでもなかったからだ。半ば胡散臭かった少女の言動が急に信憑性を持ち始めたことで、当然、男にも動揺が走る。

「ど、どうせたまたま知ってただけだろ!! そんなもん決定的な証拠にはならねぇし、そんなこじつけで勝手に犯人扱いされるなんざたまったもんじゃねぇ」

 確かに場の雰囲気は変わったが、それでも、男の築いたものは相当なものらしい。未だに、男を擁護するような雰囲気の方が多勢を占めている。そんな、男をさらに追い込むべく少女は次の手に出る。

「じゃあ、あなたの犯行の状況でも当ててみましょうか。日付は一月の三十日。時刻は午後の十時。受付嬢さんに頼みごとをして、カウンターががら空きになったタイミングで盗みを働いた。違いますか?」

「へっ。残念ながら違うな。日付は確かにそうだが、時間は午後の十一時、手法はカウンターに誰もいなくなる時間を見計らっt……はっ!?」

 男は、少女の仕掛けた簡単な罠にはまった。あえて、間違った情報を言うことで、口を滑らせる至極簡単な罠。冷静な状態であれば、到底引っ掛かることもないものだが、動揺していれば話は別である。さらに男の場合、少女に対しての一種の敵対心を顕にしていたため、少女はある種の確信を持って、リスクを伴うこの方法を選ぶことができた。

「いや、違う。今のは……」

「詳しく、話して頂けますか?」



 









 青年の冒険者ライフは、再びその色を取り戻した。どちらかと言えば「普通」という部類に入るその生活ぶりだったが、今までのことを考えれば、青年にとってそれは幸せと呼ぶには十分すぎるものだった。

 そして、今日。

「じゃあ、行こうか」

「……あぁ」
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