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7.帝都アルヴァ
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俺達は国境からまっすぐにアルヴァへ向かった。
途中これと言ったハプニングも無く安全そのものだった。
「広いね。私は帝都初めてなんだ。
アリーシャって街出身だからね。」
アリスが言った。
アリーシャか。
確か王国とは反対方向のはずだ。
随分と遠いところから来たんだな。
「俺も久し振りに来たよ。前来た時は皇帝陛下もまだまだ小さくてね。
もう20年も前になるか。」
俺が言った。
「オズは来たことあるんだ。」
「まぁ、旅人だからね。」
アリスが言った。
アリスとしては観光もしたいのだろう。
「さて、まずは城に向かうよ。」
俺がそう言ってアリスと共に城へと向かう。
城門には黒い鎧を身に纏った兵士が2人、門を警備していた。
「私はオズと言う者だが、皇帝陛下はいらっしゃるかな?」
俺が言った。
確かこの2人は俺が20年前に来た時も門番をしていたはずだ。
「これはこれはオズ様。
お久し振りで御座いますな。
あなた様でしたら自由に出入りしても問題は無いでしょう。
皇帝陛下へはこちらから連絡しておきますのでどうぞ、お通り下さい。」
門番がそう言って微笑む。
覚えていてくれたと言うのは嬉しいものだな。
「オズって顔パスで城に入れる程凄い人だったんだ。」
「まぁ、旅をしながら色んな人と友達になるからね。
この城にも知り合いがいるだけさ。」
俺がそう言ってアリスの手をひいて謁見の間へと向かう。
黒い石レンガの壁に黒い大理石の床で赤い絨毯がしかれた内装でやはり城はどこも石レンガの壁と大理石の床なんだなと思う。
20年前と変わらない景色を懐かしく感じながら奥へ進むとゆっくりと謁見の間の扉が開かれる。
「お久し振りで御座います。ルーギス皇帝陛下。」
「貴方はオズ様っ!?
お久し振りです!」
そう言って立ち上がって俺を迎えたのは黒い衣装に赤いマントを羽織った金髪碧眼の青年だ。
彼こそがアーヴァス帝国皇帝のルーギスだ。
まだまだ若く26歳だったはずだ。
「少し見ない内に随分とご立派になられた様子で。」
「そう言うオズ様はお変わり無いですね。
20年前のままだ。」
「まぁ、たった20年では変わらないでしょう。
私は数百年前からこの姿ですから。」
俺がそう言って微笑むとルーギスが玉座に座る。
「して、そちらのお嬢さんは?」
「王国で出会って共に旅をしている仲間です。
帝国出身でして。」
俺が言うとルーギスが嬉しそうに微笑んだ。
「アリスと申します。アリーシャの街出身です。」
「おぉ、あそこか。
あそこは優秀なクラスタル所持者が護っていた街でな。
彼らこそ死んでしまったが彼らのお陰で戦争に勝てたと父様も喜んでいたよ。」
ルーギスが言った。
恐らくアリスの両親だろう。
「そうですか。
皇帝陛下にお喜び頂けたのでしたら両親も本望だと思います。」
アリスが言った。
その言葉にルーギスが少し驚く。
「君は・・・確かに似ている。
君の母親はセナだね?良く見れば似ているよ。
その艶やかな髪や目付きなんかそっくりだ。
口元は父親のエイガスに似ているね。
そうか、君が。
2人から娘がいるのは聞いていたよ。」
ルーギスが言った。
「アリスとは王国のスラム街で出会ったんだ。
戦争で両親を亡くしてスラム街で暮らすしか手段がないと聞いてね。」
俺が言うと途端にルーギスの顔が曇る。
「そうか。王国に。
大変だったろう。
だが、オズ様と共に旅するのなら安心だろうね。」
「はい。オズはとても優しいです。」
「さすがは王国の大賢者様だね。」
ルーギスが言うとアリスが驚いた表情で俺を見た。
「そう言えば言ってなかったか?」
俺が言うとルーギスが呆れた顔をする。
あれ、でもぽろっと言った気もするが・・・
まぁ、ほんとに話の最中にぽろっと言っただけだった気もするし聞いてなくても仕方ないか。
「オズ様はいつも大切な事を後回しにしますね。」
「昔からの癖でね。
つい忘れてしまうんだ。
それに、今は王国の大賢者様じゃないしね。」
俺が言うとルーギスが更に驚く。
「何かあったのですか?」
「王国には無能だと言われていわれのない罪で国外追放にされてね。
だから今はただの旅人さ。
そう言えばそれを君に伝えに来たんだった。
ルーギス、今王国に大賢者は居ないよ。
例え何処かの国に攻められても助けにも来ないだろうさ。」
俺が言った。
その言葉にルーギスが嬉しそうに俺を見た。
「そうか!これで奴隷制度の撤廃の為に動ける!」
ルーギスは優しい人間だからな。
本当に奴隷制度を何とかしたいと考えているのだ。
なら、俺も力を貸すか。
「それでは、俺から皇帝陛下にプレゼントを。」
俺がそう言って真っ黒いクラスタルをルーギスに渡した。
「これは・・・見たことの無いクラスタルだね、
流通していないものかい?」
察しが良くて助かるな。
「それは『皇帝』のクラスタルだ。
今のところ、世界にその1つだけだよ。
だからこそ、約束して欲しい。
間違えた使い方はしないと。
そして、誰にも渡さないと。
そのクラスタルは強力すぎる。
複製なんてされたら世界がまた混乱に陥る。
俺は今まで強力なクラスタルの複製は破壊してきた。
オリジナルも出来るだけ回収してきた。
そうしないと世界がまた戦乱の世に変わるからだ。
そして、そのクラスタルは1つで世界を戦乱の世に変えるほどの力を持つ。
だからこそ、信頼できる君に預けるんだ。」
俺がそう言って微笑む。
「ありがとうございます。
間違った使い方は決してしないと皇帝ルーギスの名に於いて誓いましょう。
この力で奴隷制度撤廃に尽力するつもりです。」
ルーギスが言った。
ルーギスなら間違えないだろう。
これで俺の目的は果たされた。
が、計画的に出てきたとは言えいわれのない罪位は弁明しておきたい。
もう少しだけ帝国に力を貸すとしようか。
途中これと言ったハプニングも無く安全そのものだった。
「広いね。私は帝都初めてなんだ。
アリーシャって街出身だからね。」
アリスが言った。
アリーシャか。
確か王国とは反対方向のはずだ。
随分と遠いところから来たんだな。
「俺も久し振りに来たよ。前来た時は皇帝陛下もまだまだ小さくてね。
もう20年も前になるか。」
俺が言った。
「オズは来たことあるんだ。」
「まぁ、旅人だからね。」
アリスが言った。
アリスとしては観光もしたいのだろう。
「さて、まずは城に向かうよ。」
俺がそう言ってアリスと共に城へと向かう。
城門には黒い鎧を身に纏った兵士が2人、門を警備していた。
「私はオズと言う者だが、皇帝陛下はいらっしゃるかな?」
俺が言った。
確かこの2人は俺が20年前に来た時も門番をしていたはずだ。
「これはこれはオズ様。
お久し振りで御座いますな。
あなた様でしたら自由に出入りしても問題は無いでしょう。
皇帝陛下へはこちらから連絡しておきますのでどうぞ、お通り下さい。」
門番がそう言って微笑む。
覚えていてくれたと言うのは嬉しいものだな。
「オズって顔パスで城に入れる程凄い人だったんだ。」
「まぁ、旅をしながら色んな人と友達になるからね。
この城にも知り合いがいるだけさ。」
俺がそう言ってアリスの手をひいて謁見の間へと向かう。
黒い石レンガの壁に黒い大理石の床で赤い絨毯がしかれた内装でやはり城はどこも石レンガの壁と大理石の床なんだなと思う。
20年前と変わらない景色を懐かしく感じながら奥へ進むとゆっくりと謁見の間の扉が開かれる。
「お久し振りで御座います。ルーギス皇帝陛下。」
「貴方はオズ様っ!?
お久し振りです!」
そう言って立ち上がって俺を迎えたのは黒い衣装に赤いマントを羽織った金髪碧眼の青年だ。
彼こそがアーヴァス帝国皇帝のルーギスだ。
まだまだ若く26歳だったはずだ。
「少し見ない内に随分とご立派になられた様子で。」
「そう言うオズ様はお変わり無いですね。
20年前のままだ。」
「まぁ、たった20年では変わらないでしょう。
私は数百年前からこの姿ですから。」
俺がそう言って微笑むとルーギスが玉座に座る。
「して、そちらのお嬢さんは?」
「王国で出会って共に旅をしている仲間です。
帝国出身でして。」
俺が言うとルーギスが嬉しそうに微笑んだ。
「アリスと申します。アリーシャの街出身です。」
「おぉ、あそこか。
あそこは優秀なクラスタル所持者が護っていた街でな。
彼らこそ死んでしまったが彼らのお陰で戦争に勝てたと父様も喜んでいたよ。」
ルーギスが言った。
恐らくアリスの両親だろう。
「そうですか。
皇帝陛下にお喜び頂けたのでしたら両親も本望だと思います。」
アリスが言った。
その言葉にルーギスが少し驚く。
「君は・・・確かに似ている。
君の母親はセナだね?良く見れば似ているよ。
その艶やかな髪や目付きなんかそっくりだ。
口元は父親のエイガスに似ているね。
そうか、君が。
2人から娘がいるのは聞いていたよ。」
ルーギスが言った。
「アリスとは王国のスラム街で出会ったんだ。
戦争で両親を亡くしてスラム街で暮らすしか手段がないと聞いてね。」
俺が言うと途端にルーギスの顔が曇る。
「そうか。王国に。
大変だったろう。
だが、オズ様と共に旅するのなら安心だろうね。」
「はい。オズはとても優しいです。」
「さすがは王国の大賢者様だね。」
ルーギスが言うとアリスが驚いた表情で俺を見た。
「そう言えば言ってなかったか?」
俺が言うとルーギスが呆れた顔をする。
あれ、でもぽろっと言った気もするが・・・
まぁ、ほんとに話の最中にぽろっと言っただけだった気もするし聞いてなくても仕方ないか。
「オズ様はいつも大切な事を後回しにしますね。」
「昔からの癖でね。
つい忘れてしまうんだ。
それに、今は王国の大賢者様じゃないしね。」
俺が言うとルーギスが更に驚く。
「何かあったのですか?」
「王国には無能だと言われていわれのない罪で国外追放にされてね。
だから今はただの旅人さ。
そう言えばそれを君に伝えに来たんだった。
ルーギス、今王国に大賢者は居ないよ。
例え何処かの国に攻められても助けにも来ないだろうさ。」
俺が言った。
その言葉にルーギスが嬉しそうに俺を見た。
「そうか!これで奴隷制度の撤廃の為に動ける!」
ルーギスは優しい人間だからな。
本当に奴隷制度を何とかしたいと考えているのだ。
なら、俺も力を貸すか。
「それでは、俺から皇帝陛下にプレゼントを。」
俺がそう言って真っ黒いクラスタルをルーギスに渡した。
「これは・・・見たことの無いクラスタルだね、
流通していないものかい?」
察しが良くて助かるな。
「それは『皇帝』のクラスタルだ。
今のところ、世界にその1つだけだよ。
だからこそ、約束して欲しい。
間違えた使い方はしないと。
そして、誰にも渡さないと。
そのクラスタルは強力すぎる。
複製なんてされたら世界がまた混乱に陥る。
俺は今まで強力なクラスタルの複製は破壊してきた。
オリジナルも出来るだけ回収してきた。
そうしないと世界がまた戦乱の世に変わるからだ。
そして、そのクラスタルは1つで世界を戦乱の世に変えるほどの力を持つ。
だからこそ、信頼できる君に預けるんだ。」
俺がそう言って微笑む。
「ありがとうございます。
間違った使い方は決してしないと皇帝ルーギスの名に於いて誓いましょう。
この力で奴隷制度撤廃に尽力するつもりです。」
ルーギスが言った。
ルーギスなら間違えないだろう。
これで俺の目的は果たされた。
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