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二十五 妹背のさざめき。
しおりを挟むこれは、とある街にある小さな神社に祀られている龍神様とお友達のお話。ここには龍之介と太郎という神様が住んでいる。二人は仙人や精霊や人間の子供、もちろん神様たちが気軽に遊びに来られるようにお食事処を始めてみた。そんな小さな神社のたくさんの、おはなし。
夕空が、ぽったりと熟れた色を段々に蒼ひ変化させて夜の帳をそろそろ下ろそうという頃、百入茶色(ももしおちゃいろ)の地に柿が三つコロコロ描かれており裾に二枚の黒鉄色(くろがねいろ)の葉っぱをお引きずりにして赤朽葉色に金糸銀糸で雲の模様を刺繍した前帯を心に結び、髪も伊達兵庫に結い上げ美しいかんざしを差している。襟元を大きく抜いていかにも艶やかな歩き方でゆるりゆるりと、一人の精霊がやってきた。柿の精霊である。彼女はこの時期だけは華やかな着物を着て歩いているが他の季節は黒鉄色の地に白い小花の散った小紋で居るのである。
「龍之介さーん、太郎さーん、ちょっときいてくださいなぁ。」
ほんの少しの苛立ちを含んだ声で床几で酒を飲もうとしていた二人に声をかけた。
「おお、華炎(かえん)どうしたのじゃ、もう一つ床几を持ってくるゆえさ、太郎さんのところにでも座りなされ。太郎さん、皿と箸とぐい呑みもの。」
龍之介はちょうど真ん中に来るように華炎を座らせにこりと笑った。
太郎は急いで床几や箸やぐい呑や皿を持ってくると、「まずは一杯」と酒を注いだ。今日の肴は舞茸がたくさん採れたので舞茸とにんじんとオオタニシのかき揚げと油揚げと舞茸の炊き合わせ、そして栗の素揚げと柿と大根と蒟蒻の白和えを用意していた。
「まぁ、美味しそう。まいたけの季節ですものね。それに、この白和え!美味しい。」
華炎はしばらくお酒と肴を楽しみ和気藹々と話し、先ほどの苛立ちなど忘れたかのようだった。ところが、遠いどこかからふわりとそよいできた風に乗ってきた金木犀の香りを鼻先で感じた途端に、ああ!っと空を睨み
「聞いてくださいよ!あの金木犀の犀玄(さいげん)が!私よりも華やかで香りがいいとか言って、私の柿の実なんて落ちれば腐るだけとか、彼は実がならないから美しいだとか言いたい放題なんですよ!ちょっと大陸から来たからって、唐衣の羽織ものなんか着て偉そうに!私が何したって言うんです、毎年毎年喧嘩売って!」
毎年のことながら、この時期の華炎は忙しさに振り回されて気が立っているのだろう。そして、そんな時に優雅に香りを振り撒き華やいでいる犀玄がいれてくるチャチャが気に入らないのだ。
この二人、長い間隣同士でいるのだが精霊になったのも同じ時期だったせいか仲がいいのか悪いのが何かと喧嘩をしては周りの精霊を巻き込む。
「困ったものじゃな。そろそろ仲違いもやめにしたらどうじゃ?わしらが仲裁に入ってしまっては大事になるじゃろ?お前さんも犀玄も別の美しさがあって、別の役割がある。二人の喧嘩に巻き込まれた鳥たちなど毎回ぼやきにくるのじゃぞ?華炎の美味い実を皆楽しみにしておるじゃろ?犀玄は、それはそれで人々を楽しませておる。まぁ、今日は大いに呑んで、日頃のうさを晴らそうぞ。」
次の日は空が、まるで水面を写したかのような深い青で雲一つない晴天であった。土曜だったのもあり子供達が嬉しそうに走り込んできた。
「こんにちはー!たくみとこうきと坊です。龍之介さん今日はお母さんから菊の花をもらったから持ってきました~。」
「おお!よう来たの、熱い豆茶がある。今日の菓子は豆大福じゃよ。ささ、太郎さんのところに行って足を清めてきなされ。」
龍之介はいつもの席にお茶とお菓子を用意して、足湯を済ませた三人を迎えた。
太郎は花鉢を持ってくると菊を生け座敷の床間にかざりつけた。
たくみとこうきが、今日学校で見つけた棗の実をこっそりたくさん拾ってきたと話していた。
棗は給食袋二つ分と、もう少しある。龍之介が砂糖煮にするのと、少しだけ焼酎に漬けてもいいか?と聞いていると、入口からまた呼ばる声が聞こえた。
「龍之介さん太郎さーん、聞いてくださいよ!あの犀玄のやつ!もう花も終わったって言うのに私になんの恨みがあるんだか。昨日突然『お前なんか枯れちまえ!』って、口もきいてくれなくなっちまったんですよ。どうしたらいいのやら。おや、お客さま、初めまして人の子さんたち。私は柿の木の精霊で華炎と申します。お見知り置きのほどを。」
そう挨拶をすると足湯を使いタバコ鉢のある座敷に座った。
豆茶と豆大福を置かれ、お茶で喉を潤すと大きなため息をついた。
「ねえ、その犀玄さんって何の精霊さんなん?それに華炎さんなんか悲しそう。」
たくみはそっと華炎そばに座った。
「あのね、背中撫でてもいい?触るのとか嫌やったら向こうに戻るからね。」
「坊ちゃんはお優しいのね。撫でてくださる?でもお優しくしていただいたらなぜか涙が出てきてしまいましたわ。お恥ずかしい。」
「涙が止まるまで僕らが居るから、だから安心してな。」
たくみが背中をそっと撫でているとこうきと坊が綺麗な手ぬぐいを持ってきてくれた。たくみもこうきも坊も、華炎がこぼしている涙がとても心に痛くて、友達と喧嘩をした時にどうやったら仲直りができるんだろうと必死で考えていた。
「犀玄さん、華炎さんがこんなに泣いてはるの知ってるんかなぁ。龍之介さん、なんで喧嘩してはるの?僕柿は大好きや。最初はシャリってしてて甘くていい香りやけど、熟れてきたらスプーンですくって食べるの。とろとろで、でも種の周りだけぷるんてしててそっと種をお皿に並べながら食べるねん。お父さんはチーズと一緒にオリーブオイルと塩胡椒してビールと食べたりしてはった。あれも美味しいねんで。お母さんが作る白和も好き。あとね、んー。たくみくんはどんなふうにして食べる?」
こうきは華炎が笑ってくれるようにと頑張って考えていた。すると龍之介が
「旨そうじゃな。今度そのチーズのを作ってみようかの。ところで犀玄は金木犀の精霊じゃ。花の精霊じゃが男の精霊じゃよ。金木犀というのはな、江戸時代くらいに中国から渡ってきた。この木は雄木と雌木があるんじゃが香りも花も雄木が段違いに華やかじゃったからか雌木は入ってこんかった。そこから色々と香りや花の競い合いで作られたりして、今の中国にある金木犀とは少し違うらしい。じゃから実はならんのよ。それをなんというか自慢するんじゃな。しかも華炎の前では特段にな。」
そんな話を黙って聞いていたこうきは
「え?柿のお花も可愛いやん。白くて甘いいい香りがするで。それに柿ってすごく昔から渋も葉っぱも使われてるってお父さんが言うてはった。葉っぱはお寿司包んだりするやんね?傷みにくくてご飯やお魚が乾かへんから昔の人はお弁当に持って行ったんかな?柿が凄くて金木犀が凄くないってわけじゃないねんよ。金木犀もお花がお酒になったりジャムになったりしてるし。どっちもいいところがたくさんあるのに。勝ち負けじゃないやんなぁ。」
こうきのお父さんは植物学者さんなのだ。だからこうきは歳の割に植物に詳しい。
「あの、僕はお花のこととか詳しくないし、柿のお花も見てるかも知らんけどあんまりわからへん。華炎さんごめんね。でもさ、犀玄さんと華炎さんの喧嘩ってうちのお父さんとお母さんみたい。うちはお父さん大工さんでさ。たまに僕のおもちゃとかも作ってくれる。で、お母さんがお料理上手やねん。それで時々僕挟んでどっちが凄いかって喧嘩するねん。それで僕にどっちが凄い?とか聞くねん。僕は『二人とも凄いです。』っていうて話を終わらせるねん。だって、そんなんどっちも凄いに決まってるやん。どっちもがんばってるから。華炎さんも犀玄さんもめちゃ綺麗で、めちゃたくさんの人を感動させてて、凄いんちゃう?それではあかんの?」
はらはらとこぼしていた涙が引っ込んでしまうほど華炎は驚いてたくみを見つめた。お父さんとお母さんの喧嘩。夫婦喧嘩ということか。私と犀玄が?
確かに一年のうち犀玄が喧嘩を振ってくるのは秋のこの短い時期だけである。それ以外はいつも何も言わず優しく見守ってくれているのに。
私が実をつけることに嫉妬しているというのだろうか?
そんなことを思い巡らせていると、入り口から龍之介を呼ぶ声がして精霊が入ってきた。象牙色の地に柑子色(こうじいろ)に金糸銀糸で刺繍をした縁のついた唐衣を着て先の尖った靴を履いた背の高い男性だった。
「華炎がここにいるのではないかと思いまして。華炎の実がひと枝忘れて置いてありまして。これを持ってきたかったのではないかと思いまして。」
少し熟れて柔らかくなっていたからと、ちょうど二人の間にある大きな石に置いてきた枝を持った犀玄は
「華炎!泣いているのか?どうした?華炎に軽口を叩いていいのは私だけだ。そこの子供達、お前ら一体何をした!」
たくみとこうきと坊はビクッと体を固くして、慌てて離れた。
「ごめんなさい。華炎さんが泣いてはったからさすってあげてたねん。」
たくみがそう言ってこうきと坊を庇うように前に出た。
華炎は袖で涙をぐっと拭うと
「あんた!この子たちは私を慰めてくれていたのよ。それをそんなに大きな声で怒るなんて!それでも大人なの!」
「あ、いや。華炎がこの柿を龍之介さんに持っていくと昨日言っていただろう。それなのに置いてあったから持ってきたのだよ。なぜ泣いているんだ。いつもはもっと威勢がいいではないか。お前が涙などと、調子が狂ってしまう。」
「まったく、お前たちは子供達の前でまでそんなにも睦まじいとは、少しはわきまえぬか。子供たちが困っておるわ!まるで長々連れ添った夫婦喧嘩じゃ。たくみもこうきも坊もこっちに来なされ。そ奴らは放っておいての。この柿でも食べようかの。」
龍之介はヘタのところをくり抜くと深皿に匙を添えて出してくれた。ひんやりとした柿はとろりとして甘く、種の周りはプリッとしていてなんとも優しい甘さでほっぺたが落ちそうだった。
「華炎さん、犀玄さん、この柿めちゃくちゃ美味しいで。ケンカは僕らでもすることあるけど、仲良しなんやったらちゃんと仲直りしなかったら自分が一番悲しくなると思う。だから、ちゃんと仲直りしたほうがいいと思うねん。子供やのにこんなこと言うたらあかんのかも知れへんけど。」
たくみは口の中から出した種を見ながらそう言った。
「うちのお父さんとお母さんはよく喧嘩もするけど、次の日の朝にはもう笑って仲直りしてる。次の日には持ち越さへんねんて。どんなに仲良しの夫婦でも絶対意見が一緒ってことはないねんて。もしか全部一緒の意見ですって言うのは、どこかで嘘をついてるって。友達でもそうやもん。大人の友達でも一緒と思う。全部の意見がおんなじって言うのは、どちらかが自分の気持ちに嘘をついてるんやと思う。そんなん嫌やん。僕とたくみくんと坊はよく喧嘩するけど、ちゃんと心は繋がってるから最後は笑って仲直りするよ。華炎さんも犀玄さんもほんまはわかってるんやから仲直りちゃんとしよう。僕な、柿のお花も大好きやし、金木犀のお花も大好きや。どっちもいい匂いで。みんな違うから、みんなが素敵に見えるんちゃうかな。子供の意見ではダメ?手と手を重ねて握手をしたら仲直り、やで。」
三人は柿の皿の上で手を重ねきゅっと握り合って握手をした。
龍之介は三人を愛おしそうに見たあと華炎と犀玄をじっと見た。
「子供に諭されることもあるんじゃよ。まっすぐな心がわしらに刺さることもある。お前たちは気づいてもおらなんだじゃろうが歳を重ねた夫婦のように長らく隣に暮らしておったわけじゃからの。仲の良い時もあればケンカの時もあるじゃろう。犀玄は、華炎の実がなる頃にはたくさんの鳥たちが遊びに来るのがつまらんのじゃろ?まったくヤキモチなど焼くものではないぞ。このように多くの者に毎年毎年秋にケンカをすると、疲れてしまうぞ。まあ、風物詩になりつつあるがの。」
陽が西の山に一筋の残火のように茜の筋を残して冥色の空に変わり東の空から十四夜の月が上るまでのほんの少しの間、星々が誰に気兼ねすることもなく瞬いている。
龍之介は入り口の床机に腰を下ろしタバコを燻らせていた。星々の間を煙がふわりふわりと登っていく。
ごぼうと生姜を賽の目に切り厚揚げとを炒り煮にして小さなおにぎりにして、小さな火鉢で焼きおにぎりにしていた。モロコや里芋と一緒に網で焼いて味噌を塗りながら田楽にしている。
太郎は徳利とぐい呑を二つ持つと外にやってきた。
「わしらもケンカなどしたことはないが我慢もしてはおらぬな。ありがたいことじゃ。言いたいことは、言い合うようにしようの。」
東の山の端が明るい筋を帯びてきた。
今日は酒が沁みると思いながら。
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