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三十四 中秋の舞と焼き菓子の香り。
しおりを挟むこれは、とある街にある小さな神社に祀られている龍神様とお友達のお話。ここには龍之介と太郎という神様が住んでいる。二人は仙人や精霊や動物、人間の子供、もちろん神様たちが気軽に遊びに来られるようにお食事処を始めてみた。そんな小さな神社のたくさんのお話の中の小さな小さな出来事。
秋晴れの爽やかな風が木々の間を吹き抜けてゆく。紅葉の葉はまだ青々としてはいるが銀杏の実は黄緑色の肌に少しずつ黄を指しはじめて、秋の彩りの準備を始めた、そんな朝。
濡羽色(ぬればいろ)の着物の裾に虫襖(むしあお)の葉に胡粉色(ごふんいろ)の花を散りばめ左袖には紅樺色(べにかばいろ)の種に象牙色(ぞうげいろ)の髭が生えた星のような種を散りばめ、瑠璃紺色(るりこんいろ)の帯には葡萄色(ぶどういろ)の帯締めと暗褐色のめのうの帯留で飾り、髪を緩く一つに縛った精霊がやってきた。透けそうな程の白い肌に陽が当たらぬようにと差していた桑の実色の日傘を閉じて傘立てに置くと柔らかで華やかな声でこちらに挨拶をする。
「こんにちは、龍之介さん、太郎さん。お月見も近いことですし、また七草の舞の時期でございましょう?その頃にお花とお菓子をお届けしようと思いましてね、ご相談に参りましたの。以前少し揉め事がありましたでしょ?精霊たちはお菓子が好きですし揉め事は嫌いですからみなさんの心が休まるようなお菓子は何かしらと思いましてね。」
「おやおや、よく来たの彩糸(あやいと)まずは中に入ってはどうじゃの?ちょうど月見団子と水入れの緑茶を用意したところじゃ。さ、座敷にあがりなされ。」
太郎が足水と手拭いを渡し座椅子を整えた。
「お邪魔いたします。」
彩糸は足を拭い手を洗うと座敷の中程に座った。
「今年はまた、こんな時期だというのに暑うございますね。私たち花々も咲いていいのやらと悩むようになりました。」
そう微笑むと冷たいと茶を一口含み、はぁっと息を吐いた。
三人であれがいいかこれはどうじゃと話していると入り口の方からいつもの声が賑やかに聞こえてきた。
「こんにちはー!たくみとこうきと坊です。一休みしてもいいですか?」
子供達は駆け込んでくると、お客さんを見て自分たちで足水をして手を洗った。
「冷たい麦茶があるぞ。月見団子も持ってこようの。この精霊は牡丹蔓(ぼたんづる)の彩糸じゃ、仲良くの。」
龍之介が子供たちのお茶の用意をしていると彩糸が座敷から声をかけた。
「はじめまして。あなた方が人の子たちね。精霊たちが噂をしていたわ、可愛いのよってね。今日会えるなんて幸運なことだわ。私は彩糸です。今日はね、精霊たちに人気のあるお菓子は何かなって相談に来たのよ。あなた達も相談に乗ってくださる?」
子供達は興味津々である。
「こんにちは!え?お菓子?精霊さん達が好きなんってどんなのがええんかな。僕らが食べるようなお菓子でもええんかな?僕らはポテトチップとかポップコーンとかめちゃ好きやけど食べはるかなぁ。甘いのがいい?スーパーとかのお菓子では口に合わへんかも知らんしなぁ。」
たくみがそういうと、こうきが
「こんにちは!有平糖とかは?あと金平糖とか麦こがしとか。なんの時に食べはるん?お餅とかもいいけど片手間に食べるんやったらあんまり手につかへんほうがいいしなぁ。」
と言った。
坊は
「こんにちは!おいらはパリパリが好き~。あとたくみのお母さんのクッキー!あれは本当に美味しいんだ!いつ食べても心があったかくなる。彩糸さんにも食べさせてあげたいよ。おいらが作るわけじゃないけどさ。」
そう言って笑った。するとたくみがリュックサックから袋を取り出し
「え?今日あるよ。あとで坊にあげようと思ってお母さんに頼んでたの。僕の友達がお母さんのクッキーのファンなんだって言ったらたくさん焼いてくれたよ。」
と龍之介に渡した。龍之介は2枚ずつ皿に取りみんなに配ると残りを袋に戻し
「ほれ、残りは坊に渡してよかろう?坊は幸せ者よの。たくみのお母さんにまで気にかけてもらえて。愛されるということは、いい精霊になるための栄養じゃな。お前はほんにいい精霊の気質を持って生まれてきたのじゃな。」
そう言いながらクッキーを一口かじった。
バターとほんのりバニラの香りのそのクッキーは甘さも程よく心がほんのり温かくなる。たくみとこうきは月見団子を半分に割り口に運んだ。
この月見団子は細長い団子の上に乗せたこし餡で雲をなぞらえたお菓子で、よく絵に描かれている白いものとは違ってその場で食べられる。今食べている団子はこれでとても美味しいものなのだが、あまり知られていないと最近こうきは知ったのだ。
自分たちが毎日普通に食べているからと言って全国の人がみんな食べてるわけではない。お菓子って奥が深い。あの白いお団子はどうやって食べるのかな?飾ったあとはあのまま食べるのかな?
そんなことを考えていると見透かされたように龍之介に
「あの団子気になるか?あれは祭り事の供物じゃからな。白玉粉を練って茹でたものなんじゃよ。味はほぼない。神と月に捧げて、次の日に網で焼いて味噌汁の具にしたり醤油や蜜をつけて食べるんじゃよ。大昔は焼いて塩や醤油で食べたんじゃ。砂糖は貴重品であったからの。ちなみにあの木の入れ物は三方(さんぼう)というんじゃよ。昔は団子もご馳走じゃった。今はなんでも食べられるゆえあの団子を食べることをせぬものもおるらしいし、作り物にして食べる団子と分ける家もあるそうな。わしは美味しく食べてくれるなら神や月には作り物であろうと思いがこもったものであったならいいと思っておるよ。たくみのお母さんは料理がほんにうまいのう。いつかお相伴に預かりたいものよの。」
と教えてもらった。
たくみは母親を褒められたのが嬉しくて誇らしかった。
皆が一様にたくみのクッキーを誉めてくれてなんだかお腹の真ん中あたりがくすぐったい。
お母さんのクッキーは、坊だけじゃなくてたくさんの精霊さんに喜んでもらえるなんてなんだかとっても嬉しくなった。
「ところで、十五夜の舞ってなんなんですか?精霊さんたちのお祭り?夜やし僕らは見にこられへんけど、お菓子を捧げたりするん?それか、夜店みたいにみんなが食べられるように出すんかな?」
こうきは龍之介に聞いてみた。
「うむ。舞の稽古の時の休憩のおやつと、後は月神様にお供えするための菓子じゃな。団子はもちろんなのじゃが、今年は三方に他の菓子を備えてみるのも一興じゃと彩糸が面白いことを考えてな。
今年は空に帰る精霊がおらぬのじゃそれで七草の精霊は踊りづめになってしまう。それでいい菓子がないかと思うての。有平糖や金平糖は甘くてしかも口に放り込むと溶けるのも早い。それはいい案じゃと思うぞ。それと、たくみのお母さんのクッキーを三方に供えることはできまいか?わしらがこんなにも温かな心持ちになるのじゃ。七草の精霊も月神様もきっと温かな気持ちになりいい舞になると思うんじゃよ。」
中秋の名月までまだ少し間のある土曜の朝、たくみはお母さんにクッキーをたくさん焼いて欲しいとお願いしていた。たくさんの友達がお月様を見ながらお母さんのクッキーを食べたいんだと説明したのだ。
「お母さんのクッキー?そらなんぼでも作るけど、袋に小分けにしようか?たくさんって何人くらい来はるん?お母さんの腕の見せ所やんなぁ。」
お母さんはいつも、友達のことを深く聞かずにいてくれる。コロスケの時におじいちゃんのお父さんのノートを見つけてこうきと飛び上がって喜んだのを見て、木の葉の手紙が来たのを見て、それ以来色々聞いてくるのはやめたみたいだ。
だから、「お友達」という時は名前も聞かないし、帰る時間だけ守ったら怒ることもない。
「いつ作ったらいいの?なるべく焼きたて持っていってもらいたいなぁ。お月見やったらいろんな形のお月様とお星様で作らなあかんなぁ。」
にこやかなお母さんにいつも助けられている。
「なんかな、中秋の名月の前の日がいいねんて。」
「あら、今年は今度の金曜日やね。そしたら腕によりをかけるわな。美味しいバター使わなあかんな。それにチョコレートと抹茶味も一緒にしようかな。」
お母さんはそう言うとメモにクッキーの材料を書いて、そのほかトッピングや可愛らしい袋を買って帰ってきてくれた。
お母さんが焼いてくれたたくさんのクッキーを自転車のカゴいっぱいに入れてたくみとこうきは放課後に自転車を走らせた。
龍之介さんのところに着くと神楽殿には秋の七草が左右に活けられ中央の三方の一つにはもう白いお団子が入れられていた。そしてもう一つ空の三方が置いてある。
「おお、よう来たの。三方にクッキーを入れようの。それからお茶にしよう。まずは手足を清めておいで。」
そう言われて足水と手水をするとクッキーを三方に丁寧に乗せていった。
「龍之介さん、お母さんたくさん焼いてくれはったねん。乗らへん分はここに置いてたらいい?」
たくみは三方に入りきらないクッキーを龍之介に見せた。
「そうじゃな。それはこちらで預かろうかの。皆楽しみにしておっての。」
「じゃあ、乗り切らへん分は今みんなで食べる?」
たくみは嬉しそうにそう言ったのだが、龍之介は
「これは月神様への供物じゃからな。夜の舞が終わって、土曜のお昼からみんなで食べることにしようの。神様の供物は神様より先に食べてはいかんからの。」
それを聞いて子供たちは顔を見合わせた。坊は口をへの字に曲げると
「ええー、今食べらないの?こんなにいい匂いしてるのにおいら我慢できないよぉ。」
と泣き言を言う。
「龍之介さん。お母さんに3個ずつ僕らにって違う袋に入れてもらったんは食べてもいい?それもあかんの?」
そう言うと、紙袋に入れたクッキーを見せた。
「うむ、それはお供えとは違うゆえそれだけにするんじゃぞ。」
そう言いながら熱い黒豆茶を出してくれた。
「舞は真夜中ゆえお前たちには見られぬゆえ特別じゃな。」
「舞を踊らはる精霊さんには会えへんの?応援したいなぁ。」
こうきは辺りを見回しながらそう尋ねた。
「秋の七草の精霊たちは今とても集中しておっての。月神様の涙の滴をいただくことはこれから一年の豊作と吉凶を占うためのものじゃ。じゃから体を清めるためにも誰にも会わずにおるのじゃよ。土曜にみんなを紹介しようの。わしらも少しずつ人との繋がりを作っていかなくてはならんゆえにの。」
龍之介は三人の頭を撫でるといつもの席にお茶と小皿を用意して座らせた。
「もともとのこの舞は長い長い間七草の精霊だけのものじゃった。じゃが、その秋に代替わりする精霊たちに舞を教えることで七草の精霊が舞い続けて体力を消耗するのを避けることにも役立つことがわかった。ただ、これはその年の秋に消える精霊がたまたまいればの話じゃ。今年は七草だけの舞で暫くぶりの長丁場でとても緊張しておっての。じゃから、土曜にねぎらってやって欲しいんじゃよ。たくみやこうき、坊がいてくれたらきっとみんな喜んでくれると思うんじゃ。」
「うん!わかった。土曜日はお花も持ってきていい?お母さんが育ててくれたお花。秋の七草やないけどお疲れ様の花束にしたいねん。」
こうきはそう言って微笑みながらクッキーを齧った。
夕闇が冥色から漆黒に変わり空に星が瞬いている。山際からうっすらと月明かりが灯り始めた頃、七草たちは美しい衣装を身につけ舞を始めた。
それはとても静かで、衣擦れの音だけが月の動きに合わせるようにしんとした神楽殿から幽けく響くのみだった。月が山際から覗きゆっくりと神楽殿を通り過ぎて西の山の端に沈み切るまで休みなく舞い続けた精霊たちは陽の光と共に座り込み、龍之介と太郎に肩をかされ、あるいは抱かれて座敷に寝かされ、お蕎麦を少し食べると眠りに落ちた。
お昼すぎ、「こんにちは。」とそっと子供たちは入ってきた。自分たちで手足を清めると目覚め始めた精霊たちをいつもの席で眺めていた。
龍之介は熱い黒豆茶を三人に渡すと
「花を持っていくのじゃろ?ススキの精霊が最初に目覚めたから頭は働いておるじゃろう。」
「うん。」
こうきはそう言うとお母さんが作っていたプランターのお花を綺麗に包んでリボンをかけたものをそっと渡した。
「一晩中の舞お疲れ様でした。僕らは子供で、しかも人やから見ることはできなかったけど、ほんまにお疲れ様でした。」
そう言いながら手渡すと
「このクッキーはあそこで座ってるたくみくんのお母さんが皆さんにって焼いてくれたものです。もうお下がりになってるんやんね?みんなで食べよう?僕、有平糖と金平糖とお干菓子も持ってきたねん。みんなで食べたら元気も戻ってくると思うの。あかん?」
鈴弥はニコニコと笑うと
「お花をありがとう。私は鈴弥、とても嬉しいよ。皆疲れているから甘いものはとても嬉しい。君の名前は?それにあの子の名前も教えてくれるかな?」
「僕はこうき、あのクッキー持ってきたのはたくみくん、それと坊なの。みんな楽しみにしてたねん。七草の精霊さんに会えるって。」
まだ着替えをしていない精霊たちは美しい衣装のままたくみたちの席の近くに座るとクッキーやその他の菓子を食べ、自分たちの咲いているところの話や昨日の舞の話。今年の月神様はいつもより美しく輝いていたことなどつきぬ話を語り合った。
十六夜の月が山の端を明らめたころぬる燗とぐい呑みを入り口の床机に置くと、舞茸の天ぷらと九条ネギと油揚げの炙ったののぬた、銀杏の炒ったのを小鉢に盛って太郎と二人でタバコに火をつけた。
「今年の舞も美しかったのぉ。それに子供達とも仲良くなれた。たくさんの精霊と話すことであの子達がどんな学びを得るかはわからぬがわしらのしていることが間違っていないと、言っていいんじゃよな。」
龍之介は答えを求めるわけもなくそう呟いた。
ぐい呑みの中の酒は胃の腑に染みる温かなものであった。
これからの一年、なるべく災悪の少ない年であることを祈りながら。
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