39 / 41
四十 ため息の向こう側。
しおりを挟むこれは、とある街にある小さな神社に祀られている龍神様とお友達のお話。ここには龍之介と太郎という神様が住んでいる。二人は仙人や精霊や人間の子供、もちろん神様たちが気軽に遊びに来られるようにお食事処を始めてみた。そんな小さな神社のたくさんの、おはなし。
たくみは、熱に浮かされたまま龍之介と太郎の夢を見た。
「もうそろそろ別れの時なのじゃろうか?まだ後二年はいけると思うのじゃがの。あの二人には人間の世界こそを学んでもらわねばならぬ。それにはわしらは少し邪魔な存在かもしれんからのう。あの子達が、わしらを思い出したいと強く願った時にはまたわしらと交流すればいいだけのことじゃ。そのくらいの時間はわしらにしてみれば瞬きの間のようなものよの。」
あれ?まだそんな時と違うと思うよ。龍之介さん?。。。。
月曜の朝、熱はどうにか平熱になり鼻水も治った。やっと学校に行けると思ったのになんだか沈んだ気持ちになる。こうきになんて話そう。夢の話だから心配ないと言ってくれるだろうか。
足取りも重く歩いていると後ろからよく聞き慣れた足音が近づいてきた。
「おはよう!元気になった?たくみくんいいひんかったら学校行ってもなんか面白ないわ。」
こうきはつとめて笑顔で話しかけた。
「おはよう。こうき、学校終わってからでいいから話したいことがあるねん。授業中の間に考えまとめるからそれまで待っててな。」
たくみはため息をつくと2人並んで歩き始めた。朝だというのに何だかどんより曇り空みたいだ。
たくみは授業中龍之介が夢で言っていたことを何度も思い返していた。自分やこうきが学ばなくてはいけないこの「人間世界」の事って、前に仙人様が言うてはった自然を守ることとか、人と人の繋がりをもっと深くすることとか、そんなことやと思う。自然を守るって一言で言うと簡単に思えるけれど、この街だけのことではない。世界中の自然を、海や川や山を護るって、一体どうすればいいんやろう。きっとたくさんの人の意見が要って、そして、たくさん話さんとあかん。それを僕とこうきでできるかな。どうすれば?
たくみは算数のノートにいろんなことをとりとめもなく箇条書きにしていた。
先生が、後ろに立ってそれを読んでいることにも気がつかなかった。
「おい、たくみ。お前何書いてるんや?世界の海や川や山を護る?ふーむ。今は算数の授業やけど、次が社会やし、5時間目と6時間目は道徳やからな。それ、みんなで話し合ってみようか。たくみが何でそんなことを悩んでるんか聞きたいなぁ。朝からずーっとそのことばっかり考えてるやろ?」
先生はみんなに教科書をしまうように言うと、自由帳を出すようにと言った。自由帳を持っていない子供たちには先生が白い紙を配り、足りなければまた渡しますと言い、たくみを黒板のところに呼びました。
「先生まって、これ、こうきと2人で悩んでることやねん。2人で説明させてください。」
そう言うとこうきも前に呼んでノートに書かれたことと、前に仙人様に聞いた話をまとめたノートを2人で相談しながら黒板に書いてみた。
いっぺんに全てを書くと混乱してしまうのでとにかく山のこと、川のこと、海のことに分け、木々や草花、動物たちの役割などを説明し始めた。
クラスメイトは最初ノートに書きながらも
「わからへんー。」
「そんなこと子供ができるわけないやん!」
などと言っていたが、一応の説明を終えて、質問を受けるとまず先生から手が上がった。
「先生な、たまに休みの日にサーフィンしに海に行くねんけど、海岸に流れ着くゴミがすごいんや。どこの国から流れてきたのか分からへんようないろんな文字のゴミがあっちこっちの海岸からきっと流れてきてるねん。だから、あのゴミとかをなんとかしんとあかんの違うかな。海をきれいにするっていうのはそういうことやろ?」
すると教室の隅から女の子も手を挙げた。
「お魚とか、イルカとかがゴミを食べてお腹痛くなるって聞いたことある!」
「俺のお兄ちゃん動画で海底の何千メートルも底でマネキンの首が転がってるの見せてくれたで!潜水艦の人がパニックになりかけて大変やってんて。」
クラスからはそんなふうに声が上がった。
こうきはその意見をノートにまとめていた。するとたくみが、
「うん。それもすごくすごく大事で、海の中のゴミを減らすのは僕らや大人の人や学者の人が考えんとあかんと思うねん。でもな、例えば崖崩れが起きるやん。そうすると、崩れた土は川を通って海に流れ着くねん。そうするとな、海の水が濁って海の中の空気が薄くなるんやって。海の中に空気?って思うやろ?だけど、光合成のとこで習ったやん。光合成って、海藻もしてるねん。それが、海が濁ると太陽の光が入らんくなってできんようなるねん。それで、お魚とかプランクとかが死んでしまうねん。それって、ゴミのこととおんなじぐらいあかんと思うねん。」
たくみは説明がうまくできないことが悔しくて、涙が出そうになった。するとこうきが、
「だからな。海を守ろうとおもうとな、ゴミを片付けたり、出さへんようにするのとおんなじくらいに山を守らんとあかんねん。山って、勝手に木が生えてるって思ってるやん?僕もほんの少し前までそう思ってたねん。でもな、山って、人間が手入れしいひんかったら木が生え過ぎてしまって根っこが浅くなってしまうんやって。根っこが浅くなると、山の土をうまく捕まえていられなくなるから大雨が降ると山崩れが起きやすくなるんやって。全部の山崩れがそうってわけじゃないで。家を作るために山を削ったり、ダムを作るために川を湖に変えたりするやん。それが、山を危なくしてるねん。」
とフォローに回った。
二人は今話さなければならないことは一つだって思っている。
この星のために出来ることは、今子供の僕たちが考え方を変えなくちゃできないんだ。
「面白いこと考えるな。そやけど、人間が住むためには家が必要やで?山削るとか、昔からしてるやんか。それはどうなんや?たくみやこうきはあかんと思ってるんかな?」
先生は少し不満そうだった。自分の家も山を切り開いたところにある。生まれた時からそこに住んでいるが山が崩れたことはまだない。たしかに最近色々な地域で山崩れが起きていてそんな噂があるにはある。この子達は一体どこからこんなことを吹き込まれたのか。大人でもなかなか考え付かないというのに。
「うーんと。あかんとかは思ってないです。だけど、このまま山を削りまくったり、その土で海を埋め立てたりばっかりしてたら海底のゴミ問題とおんなじくらいに海が汚れてしまうって覚えておかんとあかんと思うんです。崩れやすくなった山の土が、川岸に当たって川が氾濫したり、それでも流れていった土が海岸に積もって海藻が息ができんようになったり、酸素が薄くなってプランクトンやお魚が生きにくい海になったら人間も生きるのが難しくなると思う。山の木を手入れして、ちゃんと土を抱えてもらえるようにしたら、少しはその危険が減ると思うんです。海底のヘドロとかも減るかもしらん。」
「ほら、昔話にあるやん。おじいさんは山に柴刈りにって、あれは山の木の間の小さな若木を間引いたり、伸びすぎた枝を揃えたりすることで地面にお日様が落ちるようにしてたねんて。それで山の土が崩れにくくなるようにしてた昔の人の知恵やねんて。山奥ではなかなかできひんけど、それもきこりの人が木を切ったり、炭を作ったりするのに木を切ったりしてちょうどいい数を保ってたねん。竹林も筍を採るために竹を間引いてお日様を浴びられるようにして、しかもあんまり広がらへんようにしてはったねん。でも最近は竹林を守る人が減ってきて近くの家に竹が生えて困ってはるってニュースになってたやん?あれをちゃんと人が世話することで森や林や山が上手く土を抱えてくれるようになるねん。これって、一人ではできひんし、たくさんの人の意見とか思いを知らんとちゃんと仕事にならへんし、仕事にならへんかったら誰もそんな事してくれへんやん。色んな国でおんなじことがおきてるねん。砂漠になる地域もあるし、崩れてしまう地域もある。木が少なくなって光合成する力が弱くなって、温暖化になったりとかさ。みんな繋がってるねん。山も川も街も海も空も、みんな繋がって、一つの星やねん。だけど、僕ら人間が繁栄するために壊してしまうのって違うと思う。だって、これの一つでも壊れたら僕らかてここにはいられへん。この考え方、おかしい?みんなどう思う?」
こうきは出来るだけわかりやすく説明できていると思いながらもみんなの不安そうな顔に心が折れそうになった。
今度はたくみが、
「僕のお父さんはさ、大工やねんな。昔の家ってすごく強くて何百年もそのままのものとかあるやん。あれはその土地に合った木を使って地震とかがきてもうまく壊れずにいられるようにしてあるから残ってるんやって。そのために森の木を使ったねん。でも今は安いからって理由で違う国の木材とかが入ってきてる。自分とこの山の木は放りっぱなしやのにさ。そしたらな。その、違う国の人たちは僕らの国が木を買ってくれるからって切りすぎはるねん。それで砂漠ができたり、洪水になったりする。山削るのとおんなじやん。自分らの住んでるとこだけではなくてな、色んなことを合わせて考えなあかんねん。こんなん、二人ではできひんやん。だから、みんなの考えが知りたいねん。僕らがいつか大人になったときに、この思いをたくさんの人に知ってもらうにはどうしたらいいんやろう?って。一人の考えでは小さくて前に進めんくてもたくさんの人の意見は色んな人の心に響くはずやねん。どう思う?」
と引き継いだ。
教室はしーんと静まりかえってしまった。そして4時間目の終了のベルがなった。
給食の間、みんなはたくみとこうきを遠巻きで見ているように静かにご飯を食べていた。
たくみとこうきは失敗だったのかな、まだ話すべきじゃなかったかなと小さな声でボソボソ話してはため息をついた。今日の給食はホワイトシチューとキャベツと人参のカレー風味サラダ、コッペパンと牛乳で、デザートにプリンが付いていた。たくみの大好物だ。それなのに、今はまるで味を感じない。シチューもパンもなんだか粘土を食べてるみたいで喉をなかなか通らない。
二人はまたため息をついた。
すると、たくみの隣の席の花山さんがしゅっと息を吸い込み、
「たくみくん、ため息ついたら幸せ逃げるねんで、ママが言うてた。きっとみんなも今は考え中やねん。私も難しくてなかなかまとめられへんけど、言うてることの大切さはわかるよ。だから、今日だけじゃなくてたくさん時間使ったらいいんちゃう?今、ため息吸い込んだから幸せは逃げません。大丈夫。ため息ついてる人がいたら吸い込んであげてな。私が吸い込んだ分。誰かに返すねん。私じゃなくていいねん。誰かが不幸にならないように、おまじないなんやって。」
そう言って笑いかけてくれた。
そうか。時間なんて大人になるまでにまだまだたくさんあるんや。色んな人の意見を聞こう。そして、ため息ついた人の吐き出してしまった幸せを吸い込んで救ってあげるみたいに吸い込んだらいいねん。吸い込んだ幸せを今度は誰かと分けたらいいねん。
たくみとこうきは花山さんと三人でふふふっと小さな声で笑って残りの給食かきこんだ。ちょっと冷めたシチューがとても美味しかった。
5時間目は班に分かれて話し合うことになった。先生が4時間目の話をまとめたプリントを配ってくれた。
「これな、急ごしらえやからたくみとこうきの話ほどうまくまとまってないねんけど、箇条書きにしてみた。ごめんな。先生にも難しい問題なんや。これはほんまは大人がもっと考えなあかんことやねん。でもな、君らが大人になるまでにこんなことをたくさんの人に伝える方法がたくさんあります。まずは班で色んな意見を出してください。そして、みんなのプリントに意見を書いてください。」
子供たちはそれぞれに意見を出した。その中にはこんなこと無駄やという子もいたし、人間なんて滅ぶねん、そんなんテレビでやってたことあるで。何万年かしたらビルもみーんな森になるって、という子もいた。
椒太郎さんがそんなことを言っていたのを思い出した。
でも、まだその時じゃないって言ってた。その時じゃないってことはまだやり直せるかもしれないってことと違うかな。
たくみはそれをプリントに書いた。何万年もの間このままいるくらいならもっと考えてなんとかすればいい。
ちょっと気持ちが軽くなった気がした。こうきをみると、こうきはみんなの意見を書き留めては鉛筆で頭をコツコツと叩いていた。
ため息をつくたび花山さんが吸い込んでた。たくみもこうきのため息を吸い込んでみた。こうきの幸せがお腹に入ってきた気がした。
こうきがくすりと笑いありがとうと口を動かした。花山さんもたくみもこうきの考えている時の癖とため息のタイミングを覚えてしまうほど吸い込んではくすりと笑った。
6時間目、みんなの意見を班長がまとめて発表した。子供には無理という意見も多い中、三班の戸田くんが
「動画を撮ったらどうかな。たくさん資料とかを集めんとあかんけど、山にも行って、川とか、海とか、全部みんなで歩いてみるねん。それで動画を撮ろうよ。お兄ちゃんがな、そういうの編集するのができるねん。そしたら、世界に発信できるねんで。僕らはまだ子供やけど、こんなことを考えています。だからみんなの意見が聞きたいですって。」
そんな意見を出してくれた。最初に海底のマネキンの首の話をしたのが戸田くんだった。
すると、先生が
「海かぁ。どないしていくんや?まあ、五年生やし保護者同伴で先生も一緒やったらいけるけど、あんまり遠いところは行けへんぞ?日帰りできて、でも海と川と山のつながりがわかりやすいとこでないとな。」
そう言うと終業のベルが鳴った。
終わりの会の時、
「あのな、とにかく今日の意見をまとめてみるから、来週また話そう。先生もまだようわからへんから色々調べるからな。それでは終わります。」
掃除の時間が終わり、たくみとこうきが帰り支度をしていると、花山さんと戸田くんが、
「一緒に図書館に行かへん?学校の図書室では多分本が少ないと思うねん。僕ももっと知りたい。たくみもこうきもすごいなぁ。なんか、めちゃ感動してん。」
「私もまぜて。吸い込む人いるやろ?」
と話しかけてきた。戸田くんが、
「吸い込む人てなんやねん。何?それなんか秘密の言葉なん?僕混ざったらあかんやつ?」
とからかった。四人でゲラゲラ笑っているとあと何人かが一緒に図書館に行きたいと言った。
今日は龍之介さんには会えないな。でも、今度会いにいくときに僕は僕の意見をこうきはこうきの意見を話してみよう。
たくみは吸い込まれそうな青い空を見上げてふっと息を吐いた。
これはため息なんかじゃない。決意の息だ。だから、誰かがこれを吸い込んだらきっとおんなじ心になる。そんな気がした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる