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第1幕 池のお化け編
11. 殿下は少し狡いのです。
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「幼い頃からの友人で、いつも明るくて、元気で、優しいんです。わたしはいつも、失敗ばかりしてしまうけれど、藤井さんはいつも笑って大丈夫だと言ってくれて。彼女に言われると、大丈夫なのだと、思えてくるんです」
「仲が良いのですね、真壁さんと藤井さんは」
「わたしは、そう思っております」
年上ばかりが集まる、殿下の執務室として利用しているこの部屋は、彼女には少々居心地が悪いのかもしれない。
言葉が途切れとぎれになりながらも、一生懸命に話してくれる真壁さんに、思わず声をかければ、彼女は少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべる。
「ですが、最近……ずっと、塞ぎ込んでいるように、見えるんです。お日様のように笑う笑顔も、ここ数日、ずっと見れないままで……」
「ひとつ、聞いてもいいかな?」
視線がさがっていった真壁さんに、殿下が優しく声をかける。
その殿下の声に、「は、はいっ」と慌てて視線をあげた真壁さんに殿下はにこりと笑顔を浮かべて口を開く。
「君の級友の女子生徒の様子が変わったのは、池に行くと言っていた日以降で間違いはないのかな?」
「はい、間違いありません」
「なるほど。何をしに行くとか、何か聞いているかい?」
殿下の問いかけに、真壁さんの視線が一瞬、戸惑いの色を浮かべる。
その視線を受け、殿下は数回、まばたきを繰り返したあと、生徒会長さんと真壁さんを交互を見やる。
「そこにいる生徒会長殿が、君の友達の憂いを晴らす手助けをしたいと言っているのだけれど、どうだろう?」
「せ、生徒会長さんがですか?!」
「他にいない、あ、他にはいちおう僕も居るね。まあ、でも元々言い出したのは会長のほうなのだけどね」
驚き口をぽかんと開けたままでいる真壁さんを見て、殿下はふふ、と笑う。
「生徒会長殿は、顔は怖いけれど、とても良い奴だよ」
「顔が怖いは余計だ」
殿下と生徒会長さんのやり取りに、今度は真壁さんが小さく笑い声を零したあと、静かに大きく息を吸い込む。
「あの日、藤井さんは、池のお化けにお願い事をしに行くのだ、と言っていたんです。どうしても聞いて欲しい家族のお願い事があるのだ、と」
「家族のお願い事?」
「はい……内容は……教えてもらえなかったんですけど……とても、大事なことなのだと、言っていました」
家族にとっての、大事なお願いごと。
例えば、それは、家族の仲が悪くなってしまった、とか。
例えば、身内の誰かが病にかかっていたり、とか。
例えば、大切な誰かが、自分だけではどうにも出来ないような厄介事に巻き込まれていたり、とか。
彼女の言葉に、そんな事を考え、自然と手のひらに力が籠もった時、ふいに、前のほうからの視線を感じ、そちらを見やる。
はた、と重なった視線の先にいるのは、目尻を少し下げ、ほんの一瞬、柔らかな表情を浮かべた殿下の姿。
何で見られていたのだろうか。
そんな事を考えるのと同時に、殿下の表情が切りかわる。
「まあ、そのあたりはおいおい調べていくとしようか。とりあえず……会長」
「ああ」
カップを手にし、生徒会長さんをちらりとだけ見て声をかけた殿下に、生徒会長さんは短く頷いたあと、真壁さんを見やる。
「ひとまず、この件は生徒会が預かろう。君の友達の憂いは、生徒会が責任をもって晴らすと誓おう」
ジッと真っ直ぐに真壁さんを見ながら言った生徒会長さんに、殿下は静かに満足そうに口角をあげる。
そんな殿下に気がつくことなく、真壁さんは、生徒会長さんを見て「お願いします」と深々と頭を下げた。
「あ、葉山、少し待ってください」
「壱華お嬢様? 廊下を走るのは如何なものかと」
「有澤様?」
部屋を出て、ほんの少し先を歩いていた二人に、声をかけ駆け寄る。
私の足音に気がついていたであろう葉山は、真壁さんより早くこちらを振り向き、少しだけ眉をひそめながら私へと小言をこぼす。
「ここは一般の生徒は入らないのですから別に良いでしょう? それよりも、コレ」
そんなに開いていなかった距離は、駆け寄れば一瞬で縮まり、すぐに二人の元へとたどり着く。
コレ、と言って、手に持ってきた小さな手のひらサイズの包みを二つ、真壁さんの視界にいれる。
「それは……」
「真壁さんに、コレを。藤井さんにも、お渡ししてください」
「有澤様……」
「二つしか無かったので、他の方には内緒ですよ」
ぱちん、と片目を瞑りながら笑いかければ、真壁さんが泣きそうな顔をしたまま、笑顔を見せる。
「ここの焼き菓子は甘くて美味しくて、私も殿下もお気に入りなんです。少しでもお二人の元気が出ますように」
はいどうぞ、と真壁さんの小さな手のひらに、二つの包みを乗せれば、真壁さんは「ありがとうございます」と小さく呟き、包みを大切そうに抱える。
本当に、友人が大好きなんだなあ、と彼女の様子を見ていれば、「壱華お嬢様」と葉山が耳元に口を寄せる。
「真壁様の執事が、心配のしすぎで倒れてしまいそうですので、そろそろ」
そう言った葉山の声に、どういうこと? と少し首を傾げながら葉山を見やれば、彼の視線が廊下の少し先へとうつる。
「ああ、なるほど」
思わずそう呟いてしまうほど、一人の執事服の青年が、遠目で見ても分かるほどに、落ち着きなくハラハラしている。
「すぐに戻ります。こちらでお待ちください、壱華お嬢様」
私にそう言った葉山が、真壁さんを彼女の執事のもとへ送り届け、こちらに戻ってくるまでに、三分もかからないだろう。
わざわざそんな事を言うのだから、何かがあるのかもしれない。
そう思い、葉山の歩いて行った方向を見ながら、葉山の戻りを待った。
「壱華」
「……殿下?」
なんで此処に。
場所柄もあるし、長太郎たちの元にいると思っていたから完全に気を抜いていた私に、殿下はくしゃりと笑う。
「そんなに驚いている壱華を見るのは久しぶりだね」
見ている私まで微笑んでしまうような、そんな笑顔を浮かべる殿下に、「不覚です」とどうにかこうにか答えれば殿下はさらに目元をゆるめて笑う。
「殿下、なぜ此処に」
「なぜって、壱華がお菓子を持って出て行ったから、じゃダメかな?」
「ダメ……ではないですが……」
この場所なら、安全といえば安全だ。
不審者はまず入って来られないし。
けれど、護衛を誰もつけずに出歩くのはどうかと思う。
むむ、と黙ったまま考え始めた私に、殿下は「それよりも壱華」と、私の顔を覗き込みながら名前を呼ぶ。
「何でしょう?」
「二人きりの時は、名前で呼んで欲しいと前から言っているんだけど」
「いや、そもそも今は二人きりではなく、葉山が戻ってくるはずで」
「壱華」
「……うぐ…」
「名前、呼んでくれたら、俺、頑張れる」
「……またそうやって」
時々しか言わない、ちょっとした我儘を言うときの、殿下の「俺」という自身の呼び方。
その呼び方に私が弱いことも、こういう時に、じっ、と見てくるその仕草にも弱いことを、殿下は解っていて、仕掛けてきている気がする。
うぐ……と小さく唸った私に、殿下は何も言わないまま、さらに至近距離で見つめてくる。
やっぱり顔がいい。
睫毛も長いし、髪もさらさらだし。
ああ、でも、少し。
「殿下、眼の下にくまが」
ぴと、と指先で触れれば、殿下の身体が、ぴくりと動く。
あまり休めていないのだろうか。
そんな風に思う私を知ってだか、知らずだか、殿下の手が、私の手を掴む。
握られた手が、殿下の口元あたり下げられ、殿下の息が、手にあたりそうだ。
「壱華」
「殿下、あの、手が」
「名前で」
「でも」
「いいから」
すり、と頬に寄せられた手のひらが、そこだけ発熱でもしているかのように熱い。
離してくれそうにない手に、諦めてくれそうにない視線に、口をパクパクとさせながらも、かろうじて声を捻り出す。
「あの…っ」
「壱華。俺の名前、呼んで」
「…………か、かい」
「殿下、とんでもなく良いところを邪魔して申し訳ありませんが」
「にゃっ?!」
「ッチッ」
突然きこえた明るい声に、心底おどろいて軽く飛び上がれば、殿下が私を引き寄せながら、思い切り舌打ちをしている。
変な声も出たし?!
それに、バクバクバクバクと心臓の早鐘がものすごいことになっている。
ぎゅうと私を抱きしめている殿下の肩に思い切り額をくっつけるものの、頭がぐるぐるするし、頬も耳も熱い。
何これ?! 何これ?!
恥ずかしさと、自分の中の訳のわからない感情に、ただひたすらに戸惑っていれば、くすくす、と殿下の小さな笑い声が耳元に聞こえる。
ちらり、と視線をあげてみれば、私を見ている殿下が、満足そうに笑っている。
「……何ですか」
「いや、何でもないよ?」
くすくすと笑っている笑顔は、いつもと変わらず柔らかなものだけれど、何かが違う。
さっきまでの事も含め、むむ、と少し首をかしげた私を見て、殿下は、へにゃりと柔らかな笑顔を浮かべる。
そんな殿下に驚き、瞬きを繰り返せば、殿下は満足そうな顔をしたまま、口を開く。
「とりあえず……俺以外に、あんな風に触られたりしないでね、壱華」
一歩近づき、また私の顔を覗き込みながら、そう言った殿下に、「は、い?」とよく分からないままに頷けば、「今はそれでいいよ」と殿下が私の頭を撫でながら笑った。
「仲が良いのですね、真壁さんと藤井さんは」
「わたしは、そう思っております」
年上ばかりが集まる、殿下の執務室として利用しているこの部屋は、彼女には少々居心地が悪いのかもしれない。
言葉が途切れとぎれになりながらも、一生懸命に話してくれる真壁さんに、思わず声をかければ、彼女は少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべる。
「ですが、最近……ずっと、塞ぎ込んでいるように、見えるんです。お日様のように笑う笑顔も、ここ数日、ずっと見れないままで……」
「ひとつ、聞いてもいいかな?」
視線がさがっていった真壁さんに、殿下が優しく声をかける。
その殿下の声に、「は、はいっ」と慌てて視線をあげた真壁さんに殿下はにこりと笑顔を浮かべて口を開く。
「君の級友の女子生徒の様子が変わったのは、池に行くと言っていた日以降で間違いはないのかな?」
「はい、間違いありません」
「なるほど。何をしに行くとか、何か聞いているかい?」
殿下の問いかけに、真壁さんの視線が一瞬、戸惑いの色を浮かべる。
その視線を受け、殿下は数回、まばたきを繰り返したあと、生徒会長さんと真壁さんを交互を見やる。
「そこにいる生徒会長殿が、君の友達の憂いを晴らす手助けをしたいと言っているのだけれど、どうだろう?」
「せ、生徒会長さんがですか?!」
「他にいない、あ、他にはいちおう僕も居るね。まあ、でも元々言い出したのは会長のほうなのだけどね」
驚き口をぽかんと開けたままでいる真壁さんを見て、殿下はふふ、と笑う。
「生徒会長殿は、顔は怖いけれど、とても良い奴だよ」
「顔が怖いは余計だ」
殿下と生徒会長さんのやり取りに、今度は真壁さんが小さく笑い声を零したあと、静かに大きく息を吸い込む。
「あの日、藤井さんは、池のお化けにお願い事をしに行くのだ、と言っていたんです。どうしても聞いて欲しい家族のお願い事があるのだ、と」
「家族のお願い事?」
「はい……内容は……教えてもらえなかったんですけど……とても、大事なことなのだと、言っていました」
家族にとっての、大事なお願いごと。
例えば、それは、家族の仲が悪くなってしまった、とか。
例えば、身内の誰かが病にかかっていたり、とか。
例えば、大切な誰かが、自分だけではどうにも出来ないような厄介事に巻き込まれていたり、とか。
彼女の言葉に、そんな事を考え、自然と手のひらに力が籠もった時、ふいに、前のほうからの視線を感じ、そちらを見やる。
はた、と重なった視線の先にいるのは、目尻を少し下げ、ほんの一瞬、柔らかな表情を浮かべた殿下の姿。
何で見られていたのだろうか。
そんな事を考えるのと同時に、殿下の表情が切りかわる。
「まあ、そのあたりはおいおい調べていくとしようか。とりあえず……会長」
「ああ」
カップを手にし、生徒会長さんをちらりとだけ見て声をかけた殿下に、生徒会長さんは短く頷いたあと、真壁さんを見やる。
「ひとまず、この件は生徒会が預かろう。君の友達の憂いは、生徒会が責任をもって晴らすと誓おう」
ジッと真っ直ぐに真壁さんを見ながら言った生徒会長さんに、殿下は静かに満足そうに口角をあげる。
そんな殿下に気がつくことなく、真壁さんは、生徒会長さんを見て「お願いします」と深々と頭を下げた。
「あ、葉山、少し待ってください」
「壱華お嬢様? 廊下を走るのは如何なものかと」
「有澤様?」
部屋を出て、ほんの少し先を歩いていた二人に、声をかけ駆け寄る。
私の足音に気がついていたであろう葉山は、真壁さんより早くこちらを振り向き、少しだけ眉をひそめながら私へと小言をこぼす。
「ここは一般の生徒は入らないのですから別に良いでしょう? それよりも、コレ」
そんなに開いていなかった距離は、駆け寄れば一瞬で縮まり、すぐに二人の元へとたどり着く。
コレ、と言って、手に持ってきた小さな手のひらサイズの包みを二つ、真壁さんの視界にいれる。
「それは……」
「真壁さんに、コレを。藤井さんにも、お渡ししてください」
「有澤様……」
「二つしか無かったので、他の方には内緒ですよ」
ぱちん、と片目を瞑りながら笑いかければ、真壁さんが泣きそうな顔をしたまま、笑顔を見せる。
「ここの焼き菓子は甘くて美味しくて、私も殿下もお気に入りなんです。少しでもお二人の元気が出ますように」
はいどうぞ、と真壁さんの小さな手のひらに、二つの包みを乗せれば、真壁さんは「ありがとうございます」と小さく呟き、包みを大切そうに抱える。
本当に、友人が大好きなんだなあ、と彼女の様子を見ていれば、「壱華お嬢様」と葉山が耳元に口を寄せる。
「真壁様の執事が、心配のしすぎで倒れてしまいそうですので、そろそろ」
そう言った葉山の声に、どういうこと? と少し首を傾げながら葉山を見やれば、彼の視線が廊下の少し先へとうつる。
「ああ、なるほど」
思わずそう呟いてしまうほど、一人の執事服の青年が、遠目で見ても分かるほどに、落ち着きなくハラハラしている。
「すぐに戻ります。こちらでお待ちください、壱華お嬢様」
私にそう言った葉山が、真壁さんを彼女の執事のもとへ送り届け、こちらに戻ってくるまでに、三分もかからないだろう。
わざわざそんな事を言うのだから、何かがあるのかもしれない。
そう思い、葉山の歩いて行った方向を見ながら、葉山の戻りを待った。
「壱華」
「……殿下?」
なんで此処に。
場所柄もあるし、長太郎たちの元にいると思っていたから完全に気を抜いていた私に、殿下はくしゃりと笑う。
「そんなに驚いている壱華を見るのは久しぶりだね」
見ている私まで微笑んでしまうような、そんな笑顔を浮かべる殿下に、「不覚です」とどうにかこうにか答えれば殿下はさらに目元をゆるめて笑う。
「殿下、なぜ此処に」
「なぜって、壱華がお菓子を持って出て行ったから、じゃダメかな?」
「ダメ……ではないですが……」
この場所なら、安全といえば安全だ。
不審者はまず入って来られないし。
けれど、護衛を誰もつけずに出歩くのはどうかと思う。
むむ、と黙ったまま考え始めた私に、殿下は「それよりも壱華」と、私の顔を覗き込みながら名前を呼ぶ。
「何でしょう?」
「二人きりの時は、名前で呼んで欲しいと前から言っているんだけど」
「いや、そもそも今は二人きりではなく、葉山が戻ってくるはずで」
「壱華」
「……うぐ…」
「名前、呼んでくれたら、俺、頑張れる」
「……またそうやって」
時々しか言わない、ちょっとした我儘を言うときの、殿下の「俺」という自身の呼び方。
その呼び方に私が弱いことも、こういう時に、じっ、と見てくるその仕草にも弱いことを、殿下は解っていて、仕掛けてきている気がする。
うぐ……と小さく唸った私に、殿下は何も言わないまま、さらに至近距離で見つめてくる。
やっぱり顔がいい。
睫毛も長いし、髪もさらさらだし。
ああ、でも、少し。
「殿下、眼の下にくまが」
ぴと、と指先で触れれば、殿下の身体が、ぴくりと動く。
あまり休めていないのだろうか。
そんな風に思う私を知ってだか、知らずだか、殿下の手が、私の手を掴む。
握られた手が、殿下の口元あたり下げられ、殿下の息が、手にあたりそうだ。
「壱華」
「殿下、あの、手が」
「名前で」
「でも」
「いいから」
すり、と頬に寄せられた手のひらが、そこだけ発熱でもしているかのように熱い。
離してくれそうにない手に、諦めてくれそうにない視線に、口をパクパクとさせながらも、かろうじて声を捻り出す。
「あの…っ」
「壱華。俺の名前、呼んで」
「…………か、かい」
「殿下、とんでもなく良いところを邪魔して申し訳ありませんが」
「にゃっ?!」
「ッチッ」
突然きこえた明るい声に、心底おどろいて軽く飛び上がれば、殿下が私を引き寄せながら、思い切り舌打ちをしている。
変な声も出たし?!
それに、バクバクバクバクと心臓の早鐘がものすごいことになっている。
ぎゅうと私を抱きしめている殿下の肩に思い切り額をくっつけるものの、頭がぐるぐるするし、頬も耳も熱い。
何これ?! 何これ?!
恥ずかしさと、自分の中の訳のわからない感情に、ただひたすらに戸惑っていれば、くすくす、と殿下の小さな笑い声が耳元に聞こえる。
ちらり、と視線をあげてみれば、私を見ている殿下が、満足そうに笑っている。
「……何ですか」
「いや、何でもないよ?」
くすくすと笑っている笑顔は、いつもと変わらず柔らかなものだけれど、何かが違う。
さっきまでの事も含め、むむ、と少し首をかしげた私を見て、殿下は、へにゃりと柔らかな笑顔を浮かべる。
そんな殿下に驚き、瞬きを繰り返せば、殿下は満足そうな顔をしたまま、口を開く。
「とりあえず……俺以外に、あんな風に触られたりしないでね、壱華」
一歩近づき、また私の顔を覗き込みながら、そう言った殿下に、「は、い?」とよく分からないままに頷けば、「今はそれでいいよ」と殿下が私の頭を撫でながら笑った。
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