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生まれた子と王・王妃
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ほぎゃあ、ほぎゃあ…
「おっ、生まれたみたいだな」
中から医師達が出てきて、二人に伝える。
「クロウ様、アラン様、お生まれになりましたよ、元気な男の子であります」
「男、か…」
クロウさんは何故か残念そうな顔を見せるが、アランさんは嬉しそうだ。
「これでその子は第五王子だな、クロウ」
「ちっ、女は生まれないのか…この国には…」
二人を見る私はどちらに声を掛けるべきか悩んだ。
いや、今は声を掛けるより二人で話すべきじゃないかなとも思ったので、少し距離を置くことにした。
でも、クロウさんが私を見る。
目が合い、咄嗟に目を逸らし廊下の窓に目を向けた。
「おい、あやか。中に入れ」
「えっ…何故ですか?部外者ですよ、私」
首を横に振り、中に入るのを拒否したが、つかつかと近づき、私の服を掴み、中に連れていった。
続いてアランさんも入る。
中には生まれたばかりの小さな男の子が眠らされている。
それに近くにはこの国の王様と出産を終えたばかりの女性がいた。
椅子に座る王様はアランさんと同じシルクの服を着ており、勲章と見られる装飾を幾つもつけていた。
「おぉ、クロウにアランか。生まれたぞ。お前達の弟だ」
クロウさんが
「父よ、おめでとうございます」と言えば
「父上、また一つ宝が増えましたね」とアランさんは
言う。
私はただ二人の後ろで戸惑いながら立っていた。
「おや、誰だ?そなたは?」
「あっ、あの、私は…」
「俺が連れてきた医者だ。いいだろう、父よ。一人くらい増えても」
クロウさんは許可を得る前に強引に屋敷に置こうとしてきた。
私の気持ちなんてお構いなしに…。
「医者か…構わんが、とりあえず近くで顔を見せてくれないか?」
クロウさんは私の背中をグッと押し、王様の前に行く様に促し、私はゆっくりと前を歩いた。
(髪見せろって言われたらどうしよう…ビックリして部屋の外の兵を呼ばれるんじゃ…)
私は歩きながら両手に握り拳を作ってしまった。
王様の前に立ち、しばらく私の顔をじっくりと見てきた。
(この王様…目が青い…)
私は髪の事を忘れ、ジッと王様の目を見続けてしまっていた。
「そんな固くなるな、医者なんだって?」
「父よ、医者でもあるが、馬の気持ちも分かるらしい。こんな医者を手放すのは惜しいと思うぞ?」
「ほぉ…馬もか。珍しいな、いいだろう。おい、この者に部屋を用意しろ」
王様は部屋に給仕としていたメイドに私の部屋を用意する様に指示していた。
私はホッと息を一つ吐くと同時に髪を見られたりされなくて良かった…と安堵の表情を見せた。
「あなた…お名前は?」
出産を終えた女性…ここでは王様の奥様だろうが私に声を掛けてきた。
とても髪が長く、色はブロンズだ。
顔が小さく、目筋がしっかりとしており、同じ女性だが、見惚れてしまう程だった…。
「あの…」
私は少しボーッとしてしまっていた。
「あっ!すみません、えっと…」
私はフルネームで答えるべきかどうかを迷った。
この世界には無い名前だからクロウさんみたいに聞き取れないのでは無いだろうかと思ったからだ。
「私は…あやか、といいます」
名字は言わずに分かりやすく名前だけを答えた。
「おっ、生まれたみたいだな」
中から医師達が出てきて、二人に伝える。
「クロウ様、アラン様、お生まれになりましたよ、元気な男の子であります」
「男、か…」
クロウさんは何故か残念そうな顔を見せるが、アランさんは嬉しそうだ。
「これでその子は第五王子だな、クロウ」
「ちっ、女は生まれないのか…この国には…」
二人を見る私はどちらに声を掛けるべきか悩んだ。
いや、今は声を掛けるより二人で話すべきじゃないかなとも思ったので、少し距離を置くことにした。
でも、クロウさんが私を見る。
目が合い、咄嗟に目を逸らし廊下の窓に目を向けた。
「おい、あやか。中に入れ」
「えっ…何故ですか?部外者ですよ、私」
首を横に振り、中に入るのを拒否したが、つかつかと近づき、私の服を掴み、中に連れていった。
続いてアランさんも入る。
中には生まれたばかりの小さな男の子が眠らされている。
それに近くにはこの国の王様と出産を終えたばかりの女性がいた。
椅子に座る王様はアランさんと同じシルクの服を着ており、勲章と見られる装飾を幾つもつけていた。
「おぉ、クロウにアランか。生まれたぞ。お前達の弟だ」
クロウさんが
「父よ、おめでとうございます」と言えば
「父上、また一つ宝が増えましたね」とアランさんは
言う。
私はただ二人の後ろで戸惑いながら立っていた。
「おや、誰だ?そなたは?」
「あっ、あの、私は…」
「俺が連れてきた医者だ。いいだろう、父よ。一人くらい増えても」
クロウさんは許可を得る前に強引に屋敷に置こうとしてきた。
私の気持ちなんてお構いなしに…。
「医者か…構わんが、とりあえず近くで顔を見せてくれないか?」
クロウさんは私の背中をグッと押し、王様の前に行く様に促し、私はゆっくりと前を歩いた。
(髪見せろって言われたらどうしよう…ビックリして部屋の外の兵を呼ばれるんじゃ…)
私は歩きながら両手に握り拳を作ってしまった。
王様の前に立ち、しばらく私の顔をじっくりと見てきた。
(この王様…目が青い…)
私は髪の事を忘れ、ジッと王様の目を見続けてしまっていた。
「そんな固くなるな、医者なんだって?」
「父よ、医者でもあるが、馬の気持ちも分かるらしい。こんな医者を手放すのは惜しいと思うぞ?」
「ほぉ…馬もか。珍しいな、いいだろう。おい、この者に部屋を用意しろ」
王様は部屋に給仕としていたメイドに私の部屋を用意する様に指示していた。
私はホッと息を一つ吐くと同時に髪を見られたりされなくて良かった…と安堵の表情を見せた。
「あなた…お名前は?」
出産を終えた女性…ここでは王様の奥様だろうが私に声を掛けてきた。
とても髪が長く、色はブロンズだ。
顔が小さく、目筋がしっかりとしており、同じ女性だが、見惚れてしまう程だった…。
「あの…」
私は少しボーッとしてしまっていた。
「あっ!すみません、えっと…」
私はフルネームで答えるべきかどうかを迷った。
この世界には無い名前だからクロウさんみたいに聞き取れないのでは無いだろうかと思ったからだ。
「私は…あやか、といいます」
名字は言わずに分かりやすく名前だけを答えた。
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