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「よし、じゃあ始めるか」
私からの正式な依頼を受けると、健人くんは両手の指をポキポキと鳴らしていく。
「じゃあ彩ちゃんが復讐したい奴の事、教えてくれ」
私は元カレである斉藤翔平と名字は知らない香澄、そして二人が同じ会社で働いている事を告げた。
「なるほどね。一応の素性はわかるのか」
「うん、でも私は乗り込むとかは出来そうにないから」
「じゃあ、まずはどっちをターゲットに絞るかだな」
「えっ。……二人じゃないの?」
すると、人差し指を立て、左右に振りつつ語ってくる。
「まぁまぁ、うちにはうちのやり方があるってこと。『キリ』!」
健人くんは応接椅子の背に仰反るように体を傾けるとあの長髪の女性へと声を掛けた。
「きり?」
「んっ?あぁ、そうか。まだ教えてなかったな。あいつは霧島恵、下の名を呼ぶと怒るから上で呼んでいるんだ。……ふっ、まぁ、『恵』って名前の面構えじゃないけどな」
一人笑う健人くんだったが、私はとても一緒に笑えそうになかった。
そんな笑い声を掻き消すかのように、机をバンッと強めに叩く音が響き、お互いビクッと反応を示すところにキリさんがやってきた。
無表情の顔で見てくるその顔はとても怖く、前髪の間から見える両眼は、いままさに私達に手を下す事さえ厭わないと思えるほどだった。
「なんだよ?」
「でた」
「……そうか」
短い会話を私は聞いているが、さっぱり分からず二人を交互に見るだけになっていた。
その際、キリさんと目が合うとその怖さから私はすぐに目をパーテーションへと逃げた。
「あまり俺の親友を怖がらすな。……さっきのは悪かったよ」
「それでいい」
「悪いな、彩ちゃん」
「う、ううん……」
「出たっていうのは……。口で言うより見た方が早いか。いいよな、キリ?」
「早くして、やりたい事あるから」
キリさんは私達から去ると元の場所へと戻ったようで、私は健人くんについていき、キリさんのパソコンの前へと移動した。
すると、そこに映っていたのは個人情報と所属する部署が列挙されたExcel画面だった。
よく目にする会社のホームページとは一線を画し、無言でそれを見つめる私にキリさんはカーソルをある人物の元へと移動させていく。
そこには『伊藤香澄、女性、25歳、営業部』とあった。
「他に、『香澄』なんて女はいないから、こいつがあなたが知りたい人。……これでいい?」
軽く顔を向け確認をとってくるので、瞬時に首を縦に振った。
と、同時にその画面は最小化され代わりに映り出されたのは、とあるMMOオンラインゲームのログイン画面だった。
「……人のパスワードを見る気?」
「ご、ごめんなさい!」
すぐに健人くんの後ろに逃げる様に移動した。
「悪いね、それにどっぷりはまっていて1分も無駄にしたくないんだと。……まぁ、でも知れたでしょ、女の事」
「あの……」
「んっ?」
「話して10分も経ってないよね?それでなんで分かるの?」
尋ねる私を軽く振り返りつつ、ある事を逆に尋ねてきた。
「……彩ちゃんはさ、ニュースとかで聞いた事ない?情報漏洩とかハッキングされましたとか」
「それは、うん、あるけど……。それがなに?」
すると健人くんは真剣な眼差しでゲームに集中するキリさんを指差し、こう告げてきた。
「こいつ、その一人だよ。言っちゃえばハッカー」
「……………………はい?」
なにを言ってるんだと思った。
でも告げ終わった健人くんの目は冗談を言ってるようには見えなかった。
私からの正式な依頼を受けると、健人くんは両手の指をポキポキと鳴らしていく。
「じゃあ彩ちゃんが復讐したい奴の事、教えてくれ」
私は元カレである斉藤翔平と名字は知らない香澄、そして二人が同じ会社で働いている事を告げた。
「なるほどね。一応の素性はわかるのか」
「うん、でも私は乗り込むとかは出来そうにないから」
「じゃあ、まずはどっちをターゲットに絞るかだな」
「えっ。……二人じゃないの?」
すると、人差し指を立て、左右に振りつつ語ってくる。
「まぁまぁ、うちにはうちのやり方があるってこと。『キリ』!」
健人くんは応接椅子の背に仰反るように体を傾けるとあの長髪の女性へと声を掛けた。
「きり?」
「んっ?あぁ、そうか。まだ教えてなかったな。あいつは霧島恵、下の名を呼ぶと怒るから上で呼んでいるんだ。……ふっ、まぁ、『恵』って名前の面構えじゃないけどな」
一人笑う健人くんだったが、私はとても一緒に笑えそうになかった。
そんな笑い声を掻き消すかのように、机をバンッと強めに叩く音が響き、お互いビクッと反応を示すところにキリさんがやってきた。
無表情の顔で見てくるその顔はとても怖く、前髪の間から見える両眼は、いままさに私達に手を下す事さえ厭わないと思えるほどだった。
「なんだよ?」
「でた」
「……そうか」
短い会話を私は聞いているが、さっぱり分からず二人を交互に見るだけになっていた。
その際、キリさんと目が合うとその怖さから私はすぐに目をパーテーションへと逃げた。
「あまり俺の親友を怖がらすな。……さっきのは悪かったよ」
「それでいい」
「悪いな、彩ちゃん」
「う、ううん……」
「出たっていうのは……。口で言うより見た方が早いか。いいよな、キリ?」
「早くして、やりたい事あるから」
キリさんは私達から去ると元の場所へと戻ったようで、私は健人くんについていき、キリさんのパソコンの前へと移動した。
すると、そこに映っていたのは個人情報と所属する部署が列挙されたExcel画面だった。
よく目にする会社のホームページとは一線を画し、無言でそれを見つめる私にキリさんはカーソルをある人物の元へと移動させていく。
そこには『伊藤香澄、女性、25歳、営業部』とあった。
「他に、『香澄』なんて女はいないから、こいつがあなたが知りたい人。……これでいい?」
軽く顔を向け確認をとってくるので、瞬時に首を縦に振った。
と、同時にその画面は最小化され代わりに映り出されたのは、とあるMMOオンラインゲームのログイン画面だった。
「……人のパスワードを見る気?」
「ご、ごめんなさい!」
すぐに健人くんの後ろに逃げる様に移動した。
「悪いね、それにどっぷりはまっていて1分も無駄にしたくないんだと。……まぁ、でも知れたでしょ、女の事」
「あの……」
「んっ?」
「話して10分も経ってないよね?それでなんで分かるの?」
尋ねる私を軽く振り返りつつ、ある事を逆に尋ねてきた。
「……彩ちゃんはさ、ニュースとかで聞いた事ない?情報漏洩とかハッキングされましたとか」
「それは、うん、あるけど……。それがなに?」
すると健人くんは真剣な眼差しでゲームに集中するキリさんを指差し、こう告げてきた。
「こいつ、その一人だよ。言っちゃえばハッカー」
「……………………はい?」
なにを言ってるんだと思った。
でも告げ終わった健人くんの目は冗談を言ってるようには見えなかった。
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