23 / 49
23
しおりを挟む
おもむろにテーブルに置いたボイスレコーダーを手にすると私達にある質問をしてきた。
「この音声、どうやって取ったと思う?」
その質問に頭を悩ましていると、すずが手を挙げ発言していく。
「女の鞄に入れたからです!」
自信満々に答えるが、冷静にその答えに異を唱えてくる。
「アホか!入れてどうやって回収するんだよ?もし見つかって指紋なり調べられたら終わりだろうが。……まぁ、そんな指紋残すヘマはしねぇが」
「……」
「じゃあ、どうやって?」
私は答えが気になるから間髪入れずに問いかけた。
「簡単さ、そのホテルに入るんならそこの従業員を買収すればいい。
そうすれば堂々と設置もでき、回収も楽だろ?」
「言ってる意味はわかるけど、買収ってそんな簡単じゃないと思うんだけど……」
「ふふっ。そう思うだろ?ならもう一つ質問。
彩ちゃん、10万やるから俺と寝てくれない?」
「えっ!!!」
「どう?」
「わ、私をそんな安い女だと見てるの!」
思わず立ち上がって見下ろしていると、『うるさいっ!』とキリさんの怒号が飛んでくる。
「そんな怒らんでよ。例えだって」
「例えでも言って良いことが……」
「そうっすね。今のは捉え方次第で捕まるっすよ」
「わりぃって……座ってくれよ。ちゃんと説明するから」
ストンと座るが、少しモヤッとした気持ちが残り、落ち着かせるためお茶に手を伸ばし、一口含んだ。
「……今のは悪い例えだが、そのホテルで金に困ってる奴を捕まえるんだよ。そういうとこで働く奴はなんらかしらの理由があるからな。多少ふっかけてくるかもしれんが、多めに積めば黙るさ」
「でも……そんなお金、どこから?」
私は興信所の中を改めて見渡すことにした。
あまり依頼が来るような感じでは無いし、店構えだって他の会社みたいに看板を掲げる事もしてないから、むしろ困窮していると思った。
「出所が気になるかい?彩ちゃん」
「ま、まぁ」
「そこは……おいおい話すとする、だな」
語りつつたけるくんの方へと目を向けると『そうっすね』と相槌を打ちつつ頷いていた。
「じゃあどうやってこいつを料理するか、だな」
目の前に広がる写真をトランプを混ぜるように回しつつ、これから始まる復讐の作戦を練ろうとしていた。
すると、ある写真に手を伸ばし、すずが提案をしてくる。
「この女、ジムに行ってるんですね。なら、こうはどうです??」
饒舌に話を進めていくと、健人くんは言う。
「……お前、なかなかだな」
「先輩見ててくださいね。ちゃんと仕事しますから!」
キラキラと輝く目をしながら向けてくるその笑顔に、私は苦笑いを返していた。
ーーーーーー
1週間後…。
「対象はそっちに行ったっすよ」
「了解っ!」
「気負いすぎて最初からとちるんじゃねぇぞ。
……ちゃんと見てるんだからな」
「分かってますって!……先輩そこにいるんですよね?ちゃんと見ててくださいね!」
路上に止めた車の中で健人くんの耳から漏れ聞こえてくる同時通話を、私は隣で聞いていた。
「本当にいいの?すずの作戦なんかで。部外者がべらべらと。……なんか、ごめん」
「彩ちゃんが謝ることないさ。女の相手は男がいきなりやるより、女の方が警戒心を生まなくていいからな。……おっ、来たぞ」
道の向こうからやってくる香澄を、私は初めて目にする事になった。
ボストンバッグを肩に掛け携帯を操作しながらやってくる香澄は、私達の存在など全く気にする素振りもなく、淡々と通り過ぎていく。
(あれが翔平を奪った相手…)
横目で自身にはない魅力的な体型を見るなり、チクリと胸が痛んだ。
(男の人は……その方が……)
「気にするな、彩ちゃんのほうが優ってる」
「えっ」
今の発言はどういう事か尋ねようと思ったが、すぐに耳に手を当て、すずに指示を出していた。
「……おい、中に入るぞ」
「分かってますって!」
軽快な口調が聞こえてくると同時に、小走りでやってきては私達の車に笑顔を向けてくる。
「……本当に大丈夫かな」
やはり不安しかない…。
「この音声、どうやって取ったと思う?」
その質問に頭を悩ましていると、すずが手を挙げ発言していく。
「女の鞄に入れたからです!」
自信満々に答えるが、冷静にその答えに異を唱えてくる。
「アホか!入れてどうやって回収するんだよ?もし見つかって指紋なり調べられたら終わりだろうが。……まぁ、そんな指紋残すヘマはしねぇが」
「……」
「じゃあ、どうやって?」
私は答えが気になるから間髪入れずに問いかけた。
「簡単さ、そのホテルに入るんならそこの従業員を買収すればいい。
そうすれば堂々と設置もでき、回収も楽だろ?」
「言ってる意味はわかるけど、買収ってそんな簡単じゃないと思うんだけど……」
「ふふっ。そう思うだろ?ならもう一つ質問。
彩ちゃん、10万やるから俺と寝てくれない?」
「えっ!!!」
「どう?」
「わ、私をそんな安い女だと見てるの!」
思わず立ち上がって見下ろしていると、『うるさいっ!』とキリさんの怒号が飛んでくる。
「そんな怒らんでよ。例えだって」
「例えでも言って良いことが……」
「そうっすね。今のは捉え方次第で捕まるっすよ」
「わりぃって……座ってくれよ。ちゃんと説明するから」
ストンと座るが、少しモヤッとした気持ちが残り、落ち着かせるためお茶に手を伸ばし、一口含んだ。
「……今のは悪い例えだが、そのホテルで金に困ってる奴を捕まえるんだよ。そういうとこで働く奴はなんらかしらの理由があるからな。多少ふっかけてくるかもしれんが、多めに積めば黙るさ」
「でも……そんなお金、どこから?」
私は興信所の中を改めて見渡すことにした。
あまり依頼が来るような感じでは無いし、店構えだって他の会社みたいに看板を掲げる事もしてないから、むしろ困窮していると思った。
「出所が気になるかい?彩ちゃん」
「ま、まぁ」
「そこは……おいおい話すとする、だな」
語りつつたけるくんの方へと目を向けると『そうっすね』と相槌を打ちつつ頷いていた。
「じゃあどうやってこいつを料理するか、だな」
目の前に広がる写真をトランプを混ぜるように回しつつ、これから始まる復讐の作戦を練ろうとしていた。
すると、ある写真に手を伸ばし、すずが提案をしてくる。
「この女、ジムに行ってるんですね。なら、こうはどうです??」
饒舌に話を進めていくと、健人くんは言う。
「……お前、なかなかだな」
「先輩見ててくださいね。ちゃんと仕事しますから!」
キラキラと輝く目をしながら向けてくるその笑顔に、私は苦笑いを返していた。
ーーーーーー
1週間後…。
「対象はそっちに行ったっすよ」
「了解っ!」
「気負いすぎて最初からとちるんじゃねぇぞ。
……ちゃんと見てるんだからな」
「分かってますって!……先輩そこにいるんですよね?ちゃんと見ててくださいね!」
路上に止めた車の中で健人くんの耳から漏れ聞こえてくる同時通話を、私は隣で聞いていた。
「本当にいいの?すずの作戦なんかで。部外者がべらべらと。……なんか、ごめん」
「彩ちゃんが謝ることないさ。女の相手は男がいきなりやるより、女の方が警戒心を生まなくていいからな。……おっ、来たぞ」
道の向こうからやってくる香澄を、私は初めて目にする事になった。
ボストンバッグを肩に掛け携帯を操作しながらやってくる香澄は、私達の存在など全く気にする素振りもなく、淡々と通り過ぎていく。
(あれが翔平を奪った相手…)
横目で自身にはない魅力的な体型を見るなり、チクリと胸が痛んだ。
(男の人は……その方が……)
「気にするな、彩ちゃんのほうが優ってる」
「えっ」
今の発言はどういう事か尋ねようと思ったが、すぐに耳に手を当て、すずに指示を出していた。
「……おい、中に入るぞ」
「分かってますって!」
軽快な口調が聞こえてくると同時に、小走りでやってきては私達の車に笑顔を向けてくる。
「……本当に大丈夫かな」
やはり不安しかない…。
193
あなたにおすすめの小説
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
氷の貴婦人
羊
恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。
呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。
感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。
毒の強めなお話で、大人向けテイストです。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました!
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる