今さらやり直しは出来ません

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「きゃっ!なにするの!!」

私は残っていた赤ワインを香澄に向け放った。

「……懇切丁寧に言ってくれてありがとう。でも言い過ぎ」
「はぁ!別にあなたの事言ってるわけじゃないでしょ??」
「私は高野なんかじゃない。今、あなたが言った彩は私よ。私の本当の名前は小泉彩」
「えっ……彩、って」

かけられた赤ワインを拭く事を止め、目の前にいる人物が元カノ本人であると告げられても不思議そうな目で私を見るだけだった。

だからより本人である事を知らせる為に私は続けていく。

「私はあなたと翔平が手を繋ぎホテルに入って行く所を見た。でもすんでのところで逃げられ、そして私は捨てられた。
あなたが彼の隣に入り込んだから」
「……なによ、自分がしっかり繋ぎ止めなかったのが悪いだけじゃない。いちゃもんつけるのもいい加減にして欲しいわね。
それを言うために……まさか、すず、あなた」
「あーあ、バレちゃったか。そう、私があなたに近づいたのはこの日のため。
大切な先輩をこんな風にしたあなたを追い詰めるためにね」
「先輩?……共通の友人なんじゃ」
「いいえ、そんなのは嘘。何にも知らず、私と仲良くなるなんてね。
それと自慢気に3人と付き合ってるなんて言ってたけど、その内の二人はもう終わりなんでしょ」
「……すず、あなたがあの二人を?」
「さぁー、何の事いってるのかさっぱり」
「こんな事していいと思ってるの!訴えるわよ!」

その言葉に私達は見合って笑う。

「出来るならね。あなたも近い内に罰を受けると思うけど、耐えれる?」
「なによ、罰って……」

問いかける言葉を私達は無視し、香澄の下を去っていった。

「ちょっと待ちなさいよ!」

追いかける香澄だが、大声を上げる姿にスタッフが止めに入り、それを邪魔する。




「先輩」
「なに?」

地下から上がる階段で、すずは私に笑顔を向け抱きついてきた。

「やっちゃいましたね!」
「そうだね。……なんだかお腹空いたね。食べ行こうか。まだすずには貸しが残ってるはずだし。私が奢るよ」
「やったぁ!」





その後、会社にの封筒が送られ初めは不審がられたが、香澄と既婚者の交際が明るみになると、釈明も聞き入れてもらえず規則違反で会社を去る事になったそうだ。
それと、お互いの妻から莫大な慰謝料を請求され、それを払うために散々貢がせていた高級品を全て処分し、返済に当てこの街を去っていった。




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