今さらやり直しは出来ません

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「ありがとうございます」

スタッフにお礼を告げると私たちはツリーから離れた。
撮ってくれた写真には二人とも少しぎこちない笑顔を向けており、結局手を繋ぐ事は無かった。

(本当は繋ぐべきだったかな……)

覗き込みながら撮った写真を見てくる健人くんを横目で窺うが、見た感じではいたって普通な感じに見えた。

「これ、俺にも送ってくれるか?」
「えっ、あ、うん」

すぐに送ると嬉しそうな笑いを向けてくるので、それだけで少し気持ちを和らげてくれた。

その後は室内アトラクションを楽しみつつ、お腹が空くと軽食を挟み、気付くと1日はあっという間に過ぎていった。
そして夕方になる頃には雨も上がり、徐々に暗くなっていく園内を照明がポツポツと着き始めていく。

「すっかり夜だな」
「うん、1日はあっという間だね。……今さらだけど楽しかった?」

暗さのため、顔も視認しづらくなってきた中で問う私は恐る恐る見上げていく。

「あぁ、楽しかった。……隣に彩ちゃんがいたからな」

照れる訳でもなくハッキリとした口調で告げるその一言は私の胸中を貫いていき、次の瞬間、私は近付き手を掴んでいた。

「彩ちゃん?」
「……わたし、健人くんが」

しかし言いかけた瞬間、大音量の音楽と共に一斉に園内の照明がパァッと明るくなっていく。
それが合図となり色鮮やかな電飾が飾られたパレードカーが姿を現し、歓声があちこちで上がった。

「……」

タイミングを逸した私は、それ以上言えなくなってしまい掴んでいた手を離しかけた。
しかし…。

「えっ」

離しかけた手を再度握り返されると、グイッと自身の胸の中へと引き入れてきた。

「俺も同じ気持ちだよ。再会してから君が隣にいる人生を願った。
だから、これからの時間を一緒に過ごしたい。……嘘じゃないと心臓が言ってるだろ?」

健人くんの心音がリズム良く、ドクッドクッ…と音を鳴らしているのが耳から伝わり、その言葉が事実だと伝えてくる。

「……うん」
「……あいつと同じ運命を辿らせない。どんな危険が迫っても守る。だから、一緒になって欲しい」

彼なりの告白だった。

周囲はパレードに夢中になっているが、私達の周りだけは分厚い膜に包まれたかのように喧騒から切り離され、静かな時間が流れていた。


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