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「ただいま」
「おかえり、彩っ!……えっ」
私の後ろに立つ健人くんを見て、母は少し目を見開き立ち尽くしていた。
そんな行動をする母を見て、改めて親子だなぁっと感じる。
「あ、……あなた、彩がっ!!」
玄関からリビングへと逃げるように消えた母に私は笑うが、健人くんは複雑そうな表情を浮かべていた。
「……まぁ、分かっていたが」
「ごめんね、最初だけだから」
居間に通され、向かい合って座る父は健人くんの顔をジッと見るが、その目は連れてきた男が普通じゃない風貌をしており戸惑いを感じているようで…。
「あ、あの、お父さん」
「言わなくても分かってる。今日がどんな日くらいな」
ピリッと張り詰めた空気と言葉に私は口を紡ぎ黙ると、健人くんがゆっくりと口を開いていく。
「……突然押しかけて申し訳ありません。彩さんと交際させて頂いてる高木健人と申します」
敷かれた座布団の上で正座し、背筋をピンッと正した姿勢で話す様に私を目を向けた。
その後、私達の出会った経緯やそこで起こった出来事等を淡々と述べていく様子に、父は腕を組み遮る事なく聞いていた。
その際、私は一度だけ父と目が合った。
「色々と思う所はあるかと思いますが、私は彩さんをこれからも大切にしていきたいと思ってます。
どうか彩さんの事を私に任せて頂けませんか?」
テーブルに額がくっつくくらいに頭を下げ、父に願い出た。
「……弁護士か、人は見た目じゃ分からんものだな。最初は厄介者を連れてきた彩を怒鳴りつけようかと思ったが、君を見る目は心底信頼しているようだ」
「じゃ、じゃあ……」
「断れんよ。お前のそんな目を見ていたらな」
「……ありがとう、お父さん」
その後、父と健人くんは共にお酒を酌み交わしているようで、テーブルの上には何本ものビール瓶が並んでいた。
一方で私はキッチンで母と並び、二人のツマミとなる物を作っていた。
「……本当にビックリしたんだから。あなたが悪い道に足を踏み入れたんじゃないかと」
「そんな事しないよ、……健人くんはまっすぐ私を見てくれる。誰かと違って」
「誰かって?」
「ううん、なんでもない」
「おーい!母さん、もう一本だ。彼と飲むんだからな!」
「……もう仲良しみたいね」
「そうだね」
父と健人くんの宴会はその後もしばらく続き、酔い潰れた父が眠った事でようやく終わりを迎えた。
「大丈夫?」
私達は客間の一室を借り、泊めさせて貰うことにした。
「……あぁ、でも少し酔ったな」
「待ってて、水持ってくる」
健人くんの顔は今まで見た中で1番赤くなっており、相当飲まされた事が窺えた。
「はい、ゆっくり飲んでね」
私はコップから溢れそうなくらい注いだ水を手渡すと、溢さないよう淵に口を付け少しずつその量が減らしていく。
「あんなに飲むんなら彩ちゃんも飲めるのでは?普段飲んでる所、俺は見た事ないが……」
「いや、私は本当に飲めないから!」
不意にすずと飲んだ際の記憶が呼び戻され、全力で首を振った。
あんな姿をこの人には見せたくないという一心で…。
「……いい親父さんだな」
「そうかな?」
「あぁ。……俺にはいなかったから」
「……」
不意に客間の外に広がる庭へと目を向け、もの寂しげな表情を見せてくる。
家に帰ればいるのが当たり前だったし、それを疑った事もない。
でも、目の前にいるこの人はそんな当たり前を享受出来ずに今日まで生きてきた。
いくら年齢を重ねようとも、その時にしか得られない日常を知らないのだ。
そんな気持ちを改めて痛感させられると、私は健人くんを抱きしめていた。
「彩ちゃん?」
「……私はここにいる、これから先もずっと。
どんな時でも側にいるから。
だから、あなたも側にいて」
「あぁ……。俺はあいつとは違う。
君を裏切ったり悲しませたりしない。
それだけは誓える」
「うん。信じてる」
その日、私達は横に並び眠りについた。
「おかえり、彩っ!……えっ」
私の後ろに立つ健人くんを見て、母は少し目を見開き立ち尽くしていた。
そんな行動をする母を見て、改めて親子だなぁっと感じる。
「あ、……あなた、彩がっ!!」
玄関からリビングへと逃げるように消えた母に私は笑うが、健人くんは複雑そうな表情を浮かべていた。
「……まぁ、分かっていたが」
「ごめんね、最初だけだから」
居間に通され、向かい合って座る父は健人くんの顔をジッと見るが、その目は連れてきた男が普通じゃない風貌をしており戸惑いを感じているようで…。
「あ、あの、お父さん」
「言わなくても分かってる。今日がどんな日くらいな」
ピリッと張り詰めた空気と言葉に私は口を紡ぎ黙ると、健人くんがゆっくりと口を開いていく。
「……突然押しかけて申し訳ありません。彩さんと交際させて頂いてる高木健人と申します」
敷かれた座布団の上で正座し、背筋をピンッと正した姿勢で話す様に私を目を向けた。
その後、私達の出会った経緯やそこで起こった出来事等を淡々と述べていく様子に、父は腕を組み遮る事なく聞いていた。
その際、私は一度だけ父と目が合った。
「色々と思う所はあるかと思いますが、私は彩さんをこれからも大切にしていきたいと思ってます。
どうか彩さんの事を私に任せて頂けませんか?」
テーブルに額がくっつくくらいに頭を下げ、父に願い出た。
「……弁護士か、人は見た目じゃ分からんものだな。最初は厄介者を連れてきた彩を怒鳴りつけようかと思ったが、君を見る目は心底信頼しているようだ」
「じゃ、じゃあ……」
「断れんよ。お前のそんな目を見ていたらな」
「……ありがとう、お父さん」
その後、父と健人くんは共にお酒を酌み交わしているようで、テーブルの上には何本ものビール瓶が並んでいた。
一方で私はキッチンで母と並び、二人のツマミとなる物を作っていた。
「……本当にビックリしたんだから。あなたが悪い道に足を踏み入れたんじゃないかと」
「そんな事しないよ、……健人くんはまっすぐ私を見てくれる。誰かと違って」
「誰かって?」
「ううん、なんでもない」
「おーい!母さん、もう一本だ。彼と飲むんだからな!」
「……もう仲良しみたいね」
「そうだね」
父と健人くんの宴会はその後もしばらく続き、酔い潰れた父が眠った事でようやく終わりを迎えた。
「大丈夫?」
私達は客間の一室を借り、泊めさせて貰うことにした。
「……あぁ、でも少し酔ったな」
「待ってて、水持ってくる」
健人くんの顔は今まで見た中で1番赤くなっており、相当飲まされた事が窺えた。
「はい、ゆっくり飲んでね」
私はコップから溢れそうなくらい注いだ水を手渡すと、溢さないよう淵に口を付け少しずつその量が減らしていく。
「あんなに飲むんなら彩ちゃんも飲めるのでは?普段飲んでる所、俺は見た事ないが……」
「いや、私は本当に飲めないから!」
不意にすずと飲んだ際の記憶が呼び戻され、全力で首を振った。
あんな姿をこの人には見せたくないという一心で…。
「……いい親父さんだな」
「そうかな?」
「あぁ。……俺にはいなかったから」
「……」
不意に客間の外に広がる庭へと目を向け、もの寂しげな表情を見せてくる。
家に帰ればいるのが当たり前だったし、それを疑った事もない。
でも、目の前にいるこの人はそんな当たり前を享受出来ずに今日まで生きてきた。
いくら年齢を重ねようとも、その時にしか得られない日常を知らないのだ。
そんな気持ちを改めて痛感させられると、私は健人くんを抱きしめていた。
「彩ちゃん?」
「……私はここにいる、これから先もずっと。
どんな時でも側にいるから。
だから、あなたも側にいて」
「あぁ……。俺はあいつとは違う。
君を裏切ったり悲しませたりしない。
それだけは誓える」
「うん。信じてる」
その日、私達は横に並び眠りについた。
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