君から届く声を、僕は守りたい

mock

文字の大きさ
29 / 49

29

しおりを挟む
台風が去った後の街は物が散乱し、その後片付けに追われつつあったある日の夜。
机に向かい勉強をする僕の元に1通のメッセージが届いた。

僕の携帯に登録されている人物はかなり少ない。
母や彼女、そして祐介。
高校生にしては少なすぎる!と言われかねないが、あまり人付き合いが得意ではない僕はその事を変に思ったこともないし、なにより勉強する上で好都合と思ってしまうくらいだ。

そんな数少ない中から送ってきたのは祐介だった。

【よう!久しぶりだな。お前のことだから勉強ばかりしているんだろ?来年には受験もあるし、出かけるなら今しかない!と思って連絡した】

正直、鳴った瞬間は彼女からだと思い、すぐに椅子を引き、手に取ったくらいだ。
でも来たメッセージを見て、スッと感情を引き戻してしまった。

【こちらこそ久しぶり。
言われなくても勉強してるよ。そっちは高校生活はどう?】

祐介は自身が望んだ(?)高校へ進学したようで、そこで出来た友人との写真を送ってきてくれた。

その中には女性とのツーショット写真もあり、彼女だ!と強調してくる。
ショートボブで少し茶髪がかった女性。
その容姿を見た時、少しだけドキッとした。
中学の時に見た彼女に似ていたから…。
それと同時に一緒に帰ったあの日、急に話題に上げたことに合点がいった。
そうか…彼のタイプだったんだ、と。

頭をくっつけ笑い合うその光景は、とてもお似合いで幸せそうだ。

【おめでとう、君ならいつかそんな日が来ると思っていたよ】

祝福のメッセージを送ると、すぐに返信があった。
そこには『三原と上手くやれよ』とあったので、返信を渋っていると今度は通話をしてきた。

「もしもし?」
「よう。……返ってこないってことは図星だな。
俺はあいつがいま何してるか知らないが、お前なら知ってるだろ?
それに、お前。三原のこと目で追ってるぞ」
「そんな事ない」
「いいや、嘘だ。俺を舐めるなよ。
これでも友達になった奴のことはしっかり見てるつもりだ。
翔吾、お前も男を見せる時は必ずある。……それが今じゃないか??」
「……」
「遊びに誘うのは止めだ。三原をデートにでも誘え!じゃあな」

通話を切られた後も僕は携帯から流れるツーツー…という機械音を聞いていた。


言葉は違えど、母と祐介から同じ事を言われた。
僕だって彼女を嫌いなわけじゃない。
それに彼女は言ったんだ、返事はしなくて良い、と。
僕らはいま、夢に向かって歩んでいるから妨げになる事を選ぶべきじゃないし、望む道はこちらではない。

それなのに頭の中では両者の言葉が繰り返される。

そんな中、メッセージが届く。

【結果、出たよ】

短い一文の通知を目にした瞬間すぐに開いた。
そこには合否に関する事は一切書かれておらず、その代わりに会って話したいとだけ書かれており、僕はそれが意味する事を直感的に察してしまった。
良い結果ではないんだろうな、と。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

処理中です...