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「なんで?」
見つめる瞳は大きく見開き、マスクで隠れた口元をそっと触れていた。
「……こうしたら君はちゃんと従うでしょ」
頬を掻きつつ時計へと目を移す僕の顔は少し赤くなっていた。
それはつけたヒーターのせいか、それとも…。
「……うん」
「じゃ、じゃあ、おやすみ」
閉めた扉に背を預けズルズルと下に落ちていき、座り込むと母は作ったお粥を持ってきた。
「そんなところで何してるの?」
「なんでもない……」
逃げるように下へと降りていき、リビングへと向かった。
ソファーで休む僕は、あまり休む事が出来なかった。
たぶんそれは彼女も同じかもしれない。
風邪を治すため家にやってきたのに、取った行動はまるで逆。
その一方で、日々の練習で張り詰めている心を少しでも癒してあげたいという気持ちもあり、ついあんな行動を…。
明日会うのがなんだか恥ずかしい、そう思いつつ夜を過ごした。
「おはよう、ございます」
一晩休んだおかげか、彼女はリビングへと姿を現した。
だけど、フラつくその体は少し壁に寄り添い完全に治っている訳ではなかった。
「大丈夫?梢ちゃん」
「はい、すみません」
「いいのよ、良かったら食べれる?汗もかいたと思うからお風呂も入っていったら?」
「母さん、それはまずいんじゃ」
「いいじゃない。汗かいた体のまま帰る方が良くないと思うけど」
「それでも……」
僕らのやり取りを見ていた彼女は、ふふっと笑った。
「なんで笑うの?」
「いや、そんな風に言い合うんだなぁと思って。もっとツンとしてるというか、そんな感じだと思ってたから」
すると母が同調するかのように笑いだしてくる。
「そうなの!本当この子は不器用でへそ曲がりというか。ごめんね、こんなのが彼氏で」
「ちょっと!なに言ってるの!僕らはそんな……」
否定しつつ彼女を見ると目が合い、同時に逸らしていく。
そんな様子を見て、また母は笑った。
「さぁ、梢ちゃん、こっち座って」
リビングの椅子に促し、僕らは朝食を共に取ることにした。
隣に座る彼女は、母が用意したお粥に何度も息をかけ、ゆっくりと口へと運ぶ。
なんて事のない行動なのに、僕はついそれを見てしまっていた。
「なに?」
「い、いや、別に」
見ていた事に気づかれ慌てて味噌汁を口にするが、気管に入り、むせてしまった。
「梢ちゃんが好きだからつい見ちゃうのよねー」
やっと見られた甘酸っぱい青春に母はにこやかに笑いつつも、その対象である僕らはそんな母の事を見れず各々の食器へと目を落とした。
そして朝食を済ませると、押される形でお風呂に入り、母が運転する車で駅へと送り届けられた。
家まで…と母は提案したが、距離もあるし悪いので、と彼女は丁重に断っていた。
「すみません、送ってもらって」
「いいえー、どういたしまして」
「……」
「なに黙ってるの、翔吾も何か言ったら?」
二人が話す様子を窓の外を見ていた僕は急な事で詰まってしまった。
「あっ。……練習、頑張って」
「……うん、ありがとう」
よそよそしい僕らの光景に母は『青春っていいわね』と呟いた。
見つめる瞳は大きく見開き、マスクで隠れた口元をそっと触れていた。
「……こうしたら君はちゃんと従うでしょ」
頬を掻きつつ時計へと目を移す僕の顔は少し赤くなっていた。
それはつけたヒーターのせいか、それとも…。
「……うん」
「じゃ、じゃあ、おやすみ」
閉めた扉に背を預けズルズルと下に落ちていき、座り込むと母は作ったお粥を持ってきた。
「そんなところで何してるの?」
「なんでもない……」
逃げるように下へと降りていき、リビングへと向かった。
ソファーで休む僕は、あまり休む事が出来なかった。
たぶんそれは彼女も同じかもしれない。
風邪を治すため家にやってきたのに、取った行動はまるで逆。
その一方で、日々の練習で張り詰めている心を少しでも癒してあげたいという気持ちもあり、ついあんな行動を…。
明日会うのがなんだか恥ずかしい、そう思いつつ夜を過ごした。
「おはよう、ございます」
一晩休んだおかげか、彼女はリビングへと姿を現した。
だけど、フラつくその体は少し壁に寄り添い完全に治っている訳ではなかった。
「大丈夫?梢ちゃん」
「はい、すみません」
「いいのよ、良かったら食べれる?汗もかいたと思うからお風呂も入っていったら?」
「母さん、それはまずいんじゃ」
「いいじゃない。汗かいた体のまま帰る方が良くないと思うけど」
「それでも……」
僕らのやり取りを見ていた彼女は、ふふっと笑った。
「なんで笑うの?」
「いや、そんな風に言い合うんだなぁと思って。もっとツンとしてるというか、そんな感じだと思ってたから」
すると母が同調するかのように笑いだしてくる。
「そうなの!本当この子は不器用でへそ曲がりというか。ごめんね、こんなのが彼氏で」
「ちょっと!なに言ってるの!僕らはそんな……」
否定しつつ彼女を見ると目が合い、同時に逸らしていく。
そんな様子を見て、また母は笑った。
「さぁ、梢ちゃん、こっち座って」
リビングの椅子に促し、僕らは朝食を共に取ることにした。
隣に座る彼女は、母が用意したお粥に何度も息をかけ、ゆっくりと口へと運ぶ。
なんて事のない行動なのに、僕はついそれを見てしまっていた。
「なに?」
「い、いや、別に」
見ていた事に気づかれ慌てて味噌汁を口にするが、気管に入り、むせてしまった。
「梢ちゃんが好きだからつい見ちゃうのよねー」
やっと見られた甘酸っぱい青春に母はにこやかに笑いつつも、その対象である僕らはそんな母の事を見れず各々の食器へと目を落とした。
そして朝食を済ませると、押される形でお風呂に入り、母が運転する車で駅へと送り届けられた。
家まで…と母は提案したが、距離もあるし悪いので、と彼女は丁重に断っていた。
「すみません、送ってもらって」
「いいえー、どういたしまして」
「……」
「なに黙ってるの、翔吾も何か言ったら?」
二人が話す様子を窓の外を見ていた僕は急な事で詰まってしまった。
「あっ。……練習、頑張って」
「……うん、ありがとう」
よそよそしい僕らの光景に母は『青春っていいわね』と呟いた。
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