君から届く声を、僕は守りたい

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以前の山登りの反省を生かすかのように彼女は黙々と登っていき、その後ろを重い鞄を手に僕はついて行った。
だけど、この重さは異常だ。
何が入っているんだ?
思わず鞄を下ろし中身を見てしまいたくなる衝動に駆られるが、それを感じ取ったのか、彼女が足を止め振り返ってくる。

「もう少しだよ。早くー!」
「待ってよ……これ、何が入ってるの?重過ぎてキツいよ」
「まぁまぁ。それはもう少しでわかるから」
「……」

正解を言わず、また登り始めていく彼女に軽くため息を吐き、その背を追うしかなかった。
そして山の頂上付近で足を止める彼女に追いつくとそこには木々が生い茂る中にぽっかりと広い空間が現れ、そこには木目が印象的なログハウスがひとつ建っていた。

「もしかしてここに泊まるの?」

問いかけにこくりと頷くとログハウスの中へと入っていった。
ログハウスの中はとても綺麗でトイレやキッチン、冷蔵庫が完備されており窓際にはダブルサイズのベッドがひとつ置かれていた。

「重かったでしょ。とりあえずそこに置いて」

キッチン前に置かれたテーブルに置くと、ファスナーを開き重かった中の正体を明かしていく。
そこにはにんじんやじゃがいも、玉ねぎといった食材が次々と出てくるほか、米や鶏肉、調味料までもその姿を見せてくる。
それらを見ていると一つの料理が浮かんだ。

「……カレー?」
「正解っ!今日はここで作って食べるんだよ。もちろん君も手伝ってね」
「僕は料理なんてした事ない」
「まぁまぁ、一緒に何か作るのも楽しいよ。教えるからさ」

正直、彼女の料理は期待出来るとは思わなかった。
だって、図書館で課題を手伝った際にその腕前はすでに経験済みだからだ。
時刻は夕方には早いが、今日という日を長く楽しむためと言い料理を開始する事になった。
隣に並び、食材を指示された形へと切るが慣れない包丁に苦戦し、歪な形へと変貌していく。
そしてそれを彼女は笑った。
一方で鼻歌混じりでフライパンを操り鶏肉を焼きつつも、隙間時間で付け合わせのサラダなんかも作り出していく。

「……手際、いいんだね」
「んっ?あー、もしかして味の心配してる?私をあの時と同じだと思わない方がいいよ!」
「……だといいけど」
「胃袋掴まれても知らないぞー!」

彼女の言葉を今ひとつ信じれきない僕はテーブルにお皿を用意していく事にした。


「さぁ、召し上がれ!」

目の前に出されたカレーの見た目はちょっとオシャレだ。
楕円形の皿に盛られたご飯は山型になっており、その隣ではダムのように広がりつつかけられたルウ、そして僕が乱雑に切った野菜が浮かんでいた。
まじまじとその姿を見ている僕にスプーンを差し出してくる。

「毒なんて入ってないよ、早く食べてよ」
「……うん」

スプーンにご飯とルウ、そして人参を掬い口へと運ぶ。
……あれ、意外にも。

「美味しいよ」

今回の僕はあの時のようにお世辞ではなく、本当に美味しいと思い笑みを浮かべた。

「だから言ったでしょ?前とは違うって。これでも一人で暮らしているんだし!」
「そっか」

僕の不安は消え去り、その後は談笑しつつカレーを食べ終えると、片付けを済ましログハウスの外へと向かった。
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