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必死
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それから俺は近くの自動車学校に入った。
運転に関してはどうにかなったが、問題は座学だった。
勉強なんて苦手中の苦手だ。
座って本を開くだけで眠さが襲ってくる事だってある。
「そこ、寝ないでください」
「……あっ」
周りは俺と同じような年齢の奴ばかりで、中には女性もおり、怒られる俺を見てクスクスと笑ってくる。
(くそっ……なんでこんなもんがあるんだよ)
運転さえ出来ればいいだろう…と思ってる俺は座学を完全に舐めていた。
だが、なんとか必死に喰らいつき、俺はとりあえず仮免まで受かった。
ーーーーーーー
「ねみぃ」
夜はバイト、そして昼は車校という生活になり、昼間寝る時間は完全になくなり、バイトの暇な時は休憩室で椅子に座り寝る様になった。
以前のように動画を見る元気なんて無い。
ピンポーン!?
ボリュームが高めの機械音。
俺が免許を取るという話を聞いたオーナーがレジに不在の際に押してもらうボタンを設置してくれた。
こういう所は有難い。
「はい、すんません」
対応してはまた少し休む。
だが、まとまった休憩は無く、体はキツイ。
それでも俺は…。
車校もだいぶ消化し、路上研修も終わりに近づきつつあったある日。
「君はなかなかいいね」
「マジっすか」
「うん、ただ……」
「なんすか?」
「すこし抑えようか、スピード」
「早いっすか、俺?」
「道路の表示、見えるよね?」
道路には『40』という表示が見えた。
「今、何キロ出てるか見える?」
「50……くらいっすね」
「だね、ここは狭いからあまり速いと……轢くよ?もし、そうなったら取り返し付かないよ。
一生棒に振るかもしれないし、会いたい人にもう会えなくなるかもしれないよ」
そんな言葉に持っていたハンドルに力が入った。
(会えなくなる……)
いま必死に勉強している小野さんを邪魔しないように控えているが、人を撥ねたら、もう完全に……。
「……すまねぇっす」
俺は踏んでいたアクセルから足を離し、スピードを『40』キロまで落としていった。
ーーーーーーー
「おぉ、浩二、どうだ、免許は?」
「……後少しっす」
「そうかそうか。……で、あの話なんだが」
オーナーは少し気まずそうに右頬を掻きながら横目で俺を見てくる。
「……他の奴らは無理なんすか?」
「あぁ、他にも聞いたが、誰も首を縦に振らねぇ。時給も上げてやるって言ってんだがよ……。なぁ、浩二、上げてやるから頼めねぇか?」
「俺、夜、働いてますよ?」
「わぁってるよ、……入りを遅くして、その分、朝ちょっと配達って感じはどうだ?時給も150上げてやるからさ」
150円のアップは正直魅力的だった。
「な?頼むよ、お前が頼りなんだよ」
オーナーは俺に頭を下げてきた。
しかも結構深々と…。
「……まだ免許取ってねぇんでなんとも言えねぇっすけど、考えときます」
「本当か??」
「……取ったら、っすよ」
「あぁ、取ったらな」
良い様に使われているのかもしれない。
でも中卒の俺なんかを雇ってくれるオーナーには感謝している。
季節は残暑を過ぎ、冷たい風が吹き始めた9月の終わりになっていた。
運転に関してはどうにかなったが、問題は座学だった。
勉強なんて苦手中の苦手だ。
座って本を開くだけで眠さが襲ってくる事だってある。
「そこ、寝ないでください」
「……あっ」
周りは俺と同じような年齢の奴ばかりで、中には女性もおり、怒られる俺を見てクスクスと笑ってくる。
(くそっ……なんでこんなもんがあるんだよ)
運転さえ出来ればいいだろう…と思ってる俺は座学を完全に舐めていた。
だが、なんとか必死に喰らいつき、俺はとりあえず仮免まで受かった。
ーーーーーーー
「ねみぃ」
夜はバイト、そして昼は車校という生活になり、昼間寝る時間は完全になくなり、バイトの暇な時は休憩室で椅子に座り寝る様になった。
以前のように動画を見る元気なんて無い。
ピンポーン!?
ボリュームが高めの機械音。
俺が免許を取るという話を聞いたオーナーがレジに不在の際に押してもらうボタンを設置してくれた。
こういう所は有難い。
「はい、すんません」
対応してはまた少し休む。
だが、まとまった休憩は無く、体はキツイ。
それでも俺は…。
車校もだいぶ消化し、路上研修も終わりに近づきつつあったある日。
「君はなかなかいいね」
「マジっすか」
「うん、ただ……」
「なんすか?」
「すこし抑えようか、スピード」
「早いっすか、俺?」
「道路の表示、見えるよね?」
道路には『40』という表示が見えた。
「今、何キロ出てるか見える?」
「50……くらいっすね」
「だね、ここは狭いからあまり速いと……轢くよ?もし、そうなったら取り返し付かないよ。
一生棒に振るかもしれないし、会いたい人にもう会えなくなるかもしれないよ」
そんな言葉に持っていたハンドルに力が入った。
(会えなくなる……)
いま必死に勉強している小野さんを邪魔しないように控えているが、人を撥ねたら、もう完全に……。
「……すまねぇっす」
俺は踏んでいたアクセルから足を離し、スピードを『40』キロまで落としていった。
ーーーーーーー
「おぉ、浩二、どうだ、免許は?」
「……後少しっす」
「そうかそうか。……で、あの話なんだが」
オーナーは少し気まずそうに右頬を掻きながら横目で俺を見てくる。
「……他の奴らは無理なんすか?」
「あぁ、他にも聞いたが、誰も首を縦に振らねぇ。時給も上げてやるって言ってんだがよ……。なぁ、浩二、上げてやるから頼めねぇか?」
「俺、夜、働いてますよ?」
「わぁってるよ、……入りを遅くして、その分、朝ちょっと配達って感じはどうだ?時給も150上げてやるからさ」
150円のアップは正直魅力的だった。
「な?頼むよ、お前が頼りなんだよ」
オーナーは俺に頭を下げてきた。
しかも結構深々と…。
「……まだ免許取ってねぇんでなんとも言えねぇっすけど、考えときます」
「本当か??」
「……取ったら、っすよ」
「あぁ、取ったらな」
良い様に使われているのかもしれない。
でも中卒の俺なんかを雇ってくれるオーナーには感謝している。
季節は残暑を過ぎ、冷たい風が吹き始めた9月の終わりになっていた。
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