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求婚

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エリスさんを置いてさっさと部屋を出ると私は扉の向かいにある壁に寄り添っていた。
俯き、ダメだろうな…と思いながら。

そんな時、扉を開け部屋から出てくるエリスさんは私を見るなり笑顔を見せてきた。
でも評価が良い事は一切言わず『さて、次は…』と
何をしてもらおうかと考えていた。

沈んだ顔をしている私はエリスさんの方を見ず床ばかり見ていた。

「自信を持ちなさい。あなたなら大丈夫よ」

突然励ますエリスさんにビックリして顔を上げると再び笑顔を見せてきた。
そして近づき、沈んだ顔をしている私の顔を触り、無理やり口角を上げて笑顔にさせてきた。

「なんですか?」

何も答えず触った手を離し、今度は頭を撫でてきた。
とっつきにくいと思っていたエリスさんの行動に驚くばかりだった。



その後…



3年に一度あると言われた祝宴に私達は出て、
その都度ブライスは『要らない』と判断していき…
残ったのは私とユーリだけだった。
その時私達は19歳になっていた。


だが今回行われた祝宴の終わりに私達は呼ばれ
どちらかを自分の嫁にするかを決めようとしていた。
今まさにその時だった…。

「おまえら良くやってきたな。礼を言う。
だが、どちらかに俺は決めようと思う。
俺は…」


「待ってください!」

ブライスが言う直前ユーリが声を上げ遮った。
そして私の方を見たと思ったら、抱きついてきた。
『ユーリ?』と驚いていると、背中をポンポンと叩きながら『私はあなたのサポートに回りたい』と言ってきた。

でもその言葉はブライスには届いておらず、私達の間だけだった。

「何をしている。俺が言うところなんだぞ?」

「…私は辞退します。どうかリーネを選んでください」

私から離れ、ブライスと向き合うとすぐ頭を下げて
お願いしているユーリがいた。
『どうして…』と困惑している私だったが、ユーリは深く頭を下げたまま何度も何度もブライスにお願いしていた。

「言われなくてもそうするつもりだ」

「えっ…」

私とユーリは同時に声を出した。
そしてゆっくりとブライスは私に近づいてきて目の前で膝まついて私に求婚してきた。
『俺と結婚して欲しい』と。

まさか私を選ぶとは思っていなかった。
だから求婚し、頭を下げているブライスを見下ろしていた。
良いのか悪いのかを言わない私にイライラしたのか膝をつくのを止め、すくっと立ったら逆に私を見下ろしてきた。
19になったブライスの背は私より高く、2人の背の違いは頭ひとつ分くらいある。

「俺の求婚を受けるつもりはないのか?リーネ」

ドスが効いた声で喋りながら返事をしない私の頭を掴んでくる。

「やめてください!受けます、受けますから!?」

中ば強引なようだが、私はブライスと歩む事に決めた。
その隣では『良かった…』といいながらユーリが微笑んでいた。

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