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ブライス以外にも…

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翌日…

心がざわざわしながら私は起きた。
いつもなら隣に寝ているはずのマリーも今日はいない。
まだ私に対し怖さがあるのだろうか、いつもみたいに潜り込んでは寝るまで話をする。という行為が無かった。

そのまま私に姿を見せず気付けばさっさとアカデミーへと向かう馬車に乗りこんでいるのを私は部屋から見下ろしていた。

アカデミーはライオネス家の管理下にあるので、妻の私が行って聞き出す事も可能だ。
でもそれをしたら余計にマリーが私に寄らなくなるのでは…と不安になるのでグッと抑えている。

「リーネ」

窓の外を見てマリーが乗った馬車を見ている私にユーリの声が飛び込んでくる。

「どうしたの?ユーリ」

「今日、昨日言っていた『アレ』するつもりだけど、いいんだよね?」

2人で決めたブライスの部屋から気になって仕方ない本に隠された紙。
それを持ち出してくれる手筈のユーリはもう一度私に確認を取りに来る。が、私の気持ちは昨日から一切変わっておらず、すぐに首を縦に振りお願いする事にした。

「見つからないでね…」

「注意はするけど、もし部屋に鍵掛かっていたら諦めてね。扉の前にずっといるのを他のメイドに見られてロータスさんに報告されたら…」

「分かってる、これは私達しか知らない事だから」

密談をする部屋に突然ノックをする音が響き、2人して扉を注視してしまった。

「だ、だれ!?」

驚きつつ大声を出してしまった私に部屋の外からロータスさんの声がしてくる。
私はすぐに対応し開けるべきではあるが、それよりもユーリと顔を合わせていた。
それを見て2人とも『うん』と首を振る。
黙っていようと…。

「どうかされましたか?ロータスさん」

「おはようございます、リーネ様。
いえ…マリー様があなたに会いたくないと言いながらアカデミーに行かれたのでなにかあったのかと…」

「あー…」

「何かありそうですね。…それに」

ロータスさんは部屋にいるユーリに視線を移すが、ユーリはそれに応えようとせず、すぐに部屋を出ていこうと扉に向かっていく。

「ユーリ様」

「…なんでしょう」

「ブライス様が話があるそうです、部屋に行ってもらえますか?」

「わ、私に?何故?」

「それは私にもわかりません、そう伝えろと言われただけですので」

「…分かりました」

一瞬私の方を見て足を止めたが、長居しているべきではないと思い、呼ばれたブライスの部屋へと向かっていった。

(まさか…バレてるなんてないよね?)

多分それはユーリ自身も思ってるのではないかと私は思った…。
そんな風に考えているのが顔に現れてしまっていたのかロータスさんが私を見る目は少し嫌疑的だった。

「リーネ様、今日ブライス様と共にするそうですね」

「なんで知ってるんですか?」

「ブライス様が話してくれましたので、それにライオネス家には男子は必要です。それはあなたにもおわかりでは?」

「もちろんそれは分かってます、私の大事な『仕事』でもありますので」

「そうですか、なら良かったです…。もし出来ないとなると…」

そう言うロータスさんの目は先程私を嫌疑的に見ていた目ではなく、どこか寂しげな雰囲気を醸し出していた。

「私はちゃんと作りますから!」

ついムキになってしまい大声を出してしまった。
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