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バレた嘘

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「やめてください!」

すぐに私は体を押しラークさんから距離を取り、並べられてテーブルの後ろに逃げ込んだ。

「…いきなり何するんですか!?私達は今日会ったばかりですよね?」

「あなたは本当にブライス=ライオネスの妻では無いんですか?」

「さっきユーリが言いましたよね、私はあの人の妻でもなんでも無いって。
それになんでそんな事ばかり聞くんですか?
ブライスと何か関係でもあるんですか??」

「ブライス…?
この街の一番偉い貴族の人を呼び捨て、ですか。
そう言う風に呼ぶって事はやはりあなたは…」

頭に血が上り、思いのままに口走った私を冷静に分析しているラークさんは薄々感じ取ってしまったのかもしれない。
でも私はそれよりもいきなり抱き締めるラークさんに対しさらに続けて叫んでいた。

「それに、さっきの言葉はなんですか。
ユーリより私を担当出来るのが嬉しい…って、会ったばかりで何が…」

「あなたが好きだからですよ」

「え…」

初対面で抱きしめ、さらに『好き』と告白してくるラークさんに私は言葉を失った…。
その言葉に動揺と何故という疑問ばかり浮かんできた。
そんな風に考え込んでいるとゆっくりとこちら側に近づいてくる。

「初対面だろうが、一目見てあなたを気に入ったからです。
僕はあなたが好き。だから手に入れたいと思ってる」

ブライスと別れたばかりで誰かを好きになるなんて気持ちは私には全く無かった。
これからはマリーとユーリ、三人で平和に暮らすことばかり考えていたのだから。
だからラークさんの言葉は私には響くより拒絶の方が大きかった。

「リーネさん、僕と…」

「おい、ラーク!何してる。少しは教えたのか!?」

厨房からフリックさんが出てきて叫ぶ。
その後ろからユーリも姿を現し私達の事を見ていた。

「…これからですよ。準備が必要ですからね」

「さっさとしろよ。もう少しで店開けるんだからな」

「わかってますよ…」

不貞腐れながら再び厨房に戻っていくフリックさんを睨みつけているラークさんの目は怒りが篭っているように見えた。

「リーネ…」

今の状況を察知したのだろう…ユーリが心配そうな表情で私を見てくる。
少しでも不安を取り除こうと、すぐに首を軽く振り笑顔を見せるが、やはりぎこちなさからか不安も残してしまったみたいだった。

「ユーリ、早く来い!次はこいつを…!」

厨房から飛ぶ檄を聞くとユーリは返事をし、厨房へと戻っていった。
その戻り際、私の事をもう一度だけチラリと見ていってから…。

再び二人だけにされ、不安しか無かったが、逃げ場は無い。
だから…

「時間無いんですよね?
準備が必要と言っていましたから、教えてください」

迫る時間があるのでこれ以上何もされないだろうと開ける準備の手伝いを申し出た。

「そうですね、では…」

唇を軽く噛むと店内の掃除を私に指示してきた。

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