123 / 174
第123回『四天王 宝箱 積む』
しおりを挟む
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第123回『四天王 宝箱 積む』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約52分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=h59AD-xFM8Y
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
荒廃した村にガラガラガラといかにも重そうな音を立てながら馬車がやってきた。
こんな村に一体誰が何の用事があるのだろうと思い、村人たちが馬車の周りに集まってきた。
すると馬車の中から4人の人間が降りてきた。
彼らが携えていたのは光り輝く剣、身にまとっていたのは魔力を帯びたローブなど。
村人たちはその姿を一目見てわかった。
「おお、あなたたちは近頃多くの魔物を倒して各地の村を救っているという勇者様ご一行ですねっ?」
先頭に立っていた勇者はうなずいた。
「そうです。あなた方の村が魔物に襲われているという噂を聞きつけて来ました。その魔物、我々が成敗しましょう。」
村人たちはその一言を聞くや、抱き合って喜んだ。
「ありがとうございます。毎日のように襲われ、食料も減っていき、この村も限界に近かったのです!」
涙ながらに語る村人をよそに、勇者たちは冷静に聞いた。
「それで、その魔物とは?」
「あ、はい。魔王に仕える四天王の一人、地獄のテンです。」
地獄のテンとはその名の通り、テンの姿をしていた。
しかし体長は5メートルもあり、鋭い牙は岩をも砕き、滑らかな体毛は魔法を受け流した。
四天王と聞き、勇者たちは顔を見合わせ笑みを浮かべた。
戦士は剣の柄を撫で、魔法使いは杖の先から少しだけ魔力を放出した。
すでに戦闘モードに入った勇者たちを見て村人たちは、恐怖すら覚えた。
「四天王の一人、か。これまで多くの魔物を倒してきたが、四天王は初めてだ。ふふ、楽しみだ。みんな、今日にも奴を倒しに行くぞ!」
勇者の掛け声に残りの3人は力強くうなずいた。
その心強さに村人たちに笑顔が戻りつつあった。
「さすが勇者様! 地獄のテンはこの先にある山に根城を持っています。今まで何人もの若い者が挑んできましたが、奴は強く、命からがら逃げてくるのが精いっぱいでした。」
勇者はぱっと振り向いた。
「なんと! 地獄のテンと対峙した人たちがいたのか? それで? それでどうでした?」
急に食い気味になったのを見て、村人たちはさすがの勇者も地獄のテンの情報は喉から手が出るほど欲しいのだなと思った。
すると一人の若い村人が口を開いた。
彼の顔には大きな傷跡があった。
地獄のテンと戦った男だった。
「は、はい。素早く間合いを詰められたかと思うと、上空から爪を振り落としてきて鎧ごと……。」
「戦い方なんてどうでもいい! 宝箱! 奴の後ろに宝箱はありませんでしたか?」
「え? 宝箱?」
「そうです! 強い魔物の後ろにはたいていいい物が入った宝箱が大事そうにおかれてあるでしょうっ。」
地獄のテンには目もくれず、宝箱について聞く勇者に村人たちは目を丸くした。
「宝箱……。確か地獄のテンは身一つあれば生きていけると言ってましたし、そういうのはなかったと思います……。」
それを聞いて誰の目にも勇者たちの肩ががっくりと落ちたのがわかった。
「そうか~。宝箱ないのか~。」
「まあ、こういうこともあるさ。」
「そうよ。とっととやっつけて次へ行きましょ。」
「その分他の四天王はきっとすごい宝箱を持ってるさ。」
仲間たちに慰められながら、勇者たちは山に向かって歩き出した。
村人が覗き込むと、馬車には宝箱が山と積まれていた。
荒廃した村からガラガラガラといかにも重そうな音を立てながら馬車が去っていった。
~・~・~・~・~
~感想~
とりあえず宝箱なので、RPGのような話にしました。
冒頭の文章を書いたときには馬車の中に宝箱がたくさん積んであるのは決まっていたのですが、オチにも同じような文章を持ってくることを思いついたのは序盤くらいです。
勇者たちが悪者に見えないように描くのは意識しました。
地獄のテンは四天王の持国天から取りました。
かわいくてセンスがなくてちょっと気に入ってます。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第123回『四天王 宝箱 積む』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約52分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=h59AD-xFM8Y
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
荒廃した村にガラガラガラといかにも重そうな音を立てながら馬車がやってきた。
こんな村に一体誰が何の用事があるのだろうと思い、村人たちが馬車の周りに集まってきた。
すると馬車の中から4人の人間が降りてきた。
彼らが携えていたのは光り輝く剣、身にまとっていたのは魔力を帯びたローブなど。
村人たちはその姿を一目見てわかった。
「おお、あなたたちは近頃多くの魔物を倒して各地の村を救っているという勇者様ご一行ですねっ?」
先頭に立っていた勇者はうなずいた。
「そうです。あなた方の村が魔物に襲われているという噂を聞きつけて来ました。その魔物、我々が成敗しましょう。」
村人たちはその一言を聞くや、抱き合って喜んだ。
「ありがとうございます。毎日のように襲われ、食料も減っていき、この村も限界に近かったのです!」
涙ながらに語る村人をよそに、勇者たちは冷静に聞いた。
「それで、その魔物とは?」
「あ、はい。魔王に仕える四天王の一人、地獄のテンです。」
地獄のテンとはその名の通り、テンの姿をしていた。
しかし体長は5メートルもあり、鋭い牙は岩をも砕き、滑らかな体毛は魔法を受け流した。
四天王と聞き、勇者たちは顔を見合わせ笑みを浮かべた。
戦士は剣の柄を撫で、魔法使いは杖の先から少しだけ魔力を放出した。
すでに戦闘モードに入った勇者たちを見て村人たちは、恐怖すら覚えた。
「四天王の一人、か。これまで多くの魔物を倒してきたが、四天王は初めてだ。ふふ、楽しみだ。みんな、今日にも奴を倒しに行くぞ!」
勇者の掛け声に残りの3人は力強くうなずいた。
その心強さに村人たちに笑顔が戻りつつあった。
「さすが勇者様! 地獄のテンはこの先にある山に根城を持っています。今まで何人もの若い者が挑んできましたが、奴は強く、命からがら逃げてくるのが精いっぱいでした。」
勇者はぱっと振り向いた。
「なんと! 地獄のテンと対峙した人たちがいたのか? それで? それでどうでした?」
急に食い気味になったのを見て、村人たちはさすがの勇者も地獄のテンの情報は喉から手が出るほど欲しいのだなと思った。
すると一人の若い村人が口を開いた。
彼の顔には大きな傷跡があった。
地獄のテンと戦った男だった。
「は、はい。素早く間合いを詰められたかと思うと、上空から爪を振り落としてきて鎧ごと……。」
「戦い方なんてどうでもいい! 宝箱! 奴の後ろに宝箱はありませんでしたか?」
「え? 宝箱?」
「そうです! 強い魔物の後ろにはたいていいい物が入った宝箱が大事そうにおかれてあるでしょうっ。」
地獄のテンには目もくれず、宝箱について聞く勇者に村人たちは目を丸くした。
「宝箱……。確か地獄のテンは身一つあれば生きていけると言ってましたし、そういうのはなかったと思います……。」
それを聞いて誰の目にも勇者たちの肩ががっくりと落ちたのがわかった。
「そうか~。宝箱ないのか~。」
「まあ、こういうこともあるさ。」
「そうよ。とっととやっつけて次へ行きましょ。」
「その分他の四天王はきっとすごい宝箱を持ってるさ。」
仲間たちに慰められながら、勇者たちは山に向かって歩き出した。
村人が覗き込むと、馬車には宝箱が山と積まれていた。
荒廃した村からガラガラガラといかにも重そうな音を立てながら馬車が去っていった。
~・~・~・~・~
~感想~
とりあえず宝箱なので、RPGのような話にしました。
冒頭の文章を書いたときには馬車の中に宝箱がたくさん積んであるのは決まっていたのですが、オチにも同じような文章を持ってくることを思いついたのは序盤くらいです。
勇者たちが悪者に見えないように描くのは意識しました。
地獄のテンは四天王の持国天から取りました。
かわいくてセンスがなくてちょっと気に入ってます。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
24hポイントが0だった作品を削除し再投稿したらHOTランキング3位以内に入った話
アミ100
エッセイ・ノンフィクション
私の作品「乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる」がHOTランキング入り(最高で2位)しました、ありがとうございますm(_ _)m
この作品は2年ほど前に投稿したものを1度削除し、色々投稿の仕方を見直して再投稿したものです。
そこで、前回と投稿の仕方をどう変えたらどの程度変わったのかを記録しておこうと思います。
「投稿時、作品内容以外でどこに気を配るべきなのか」の参考になればと思いますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる