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来日
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寒さが深まる12月。
都内は、イルミネーションが至る所で点灯しはじめた。
煌びやかな街中を、葵と司は二人で眺めながら歩いていた。
「今年ももう終わりだね?」
「そうだな。もうすぐ、クリスマスか・・。そうだ!ツリーでも飾るか?」
「家に?」
「うん。」
「・・・。まぁ、良いんじゃない?たまには。クリスマスなんて殆ど祝ったこと無いけど。」
「そうなのか?子供の頃も無いのか?」
「うん。ない・・かな。」
「じゃあ、尚更やろう!思い出に残るクリスマスにするんだ!」
「ふふっ、司の方がはしゃいでる様に見えるよ?」
「良いだろ?葵と過ごす初めてのクリスマスなんだ。旨い料理作るよ?」
「それは、魅力的だね。」
「だろ?」
葵と司がそんな話をしている頃、成田空港に一人の男性が降り立った。
少しクセのある綺麗な金髪にグリーンの瞳。甘い顔立ちにモデルのようなスラリとした身体つきだ。
『・・・・。日本に来るのは久しぶりだな。』
男性はサングラスをかけると、タクシーに乗り込み行き先を告げた。
「東都プリンスホテルまで。」
タクシーは男性を乗せ夜の闇に消えていった。
********
翌日。
葵の家のインターフォンが鳴る。
ドアを開けると、昨日の男性がにこやかな笑顔で立っていた。
「エリック?」
「アオイ。久しぶりだね?」
「・・・。いつ、日本に?」
「昨日だよ。」
「そう・・。どうぞ、入って?」
「ありがとう。」
ソファーに座ると部屋を見回した。
「相変わらずだな?」
「何が?」
「必要最低限の物しかない。日本に長居する気は無いのか?」
「・・・。そんな事よりどうしたの?急に来日するなんて。」
「ああ・・・。」
その時玄関のドアが開き、司が入ってきた。
「葵?居るか?」
リビングのドアを開ける。
「司・・。」
「っと、ごめん。来客中だったか?」
「大丈夫だよ。こちら、エリック。アメリカに居た時の友人・・かな?」
「そこ何で疑問系なんだ?」
司がエリックの顔をまじまじと見つめる。
「貴方、もしかしてバイオリン奏者のエリック・ブライト・・さんですか?」
「ええ、そうですよ。俺の事知っててくれるなんて嬉しいな。」
「いや、こちらこそ世界的に有名なバイオリン奏者のエリックさんに会えるなんてっ!光栄です!」
「ありがとう・・・。貴方は?」
「こちらは、桜葉司。私の友人よ。」
「友人・・ね」
エリックは葵をちらりと見て言った。
「俺の事はエリックって呼んでくれ。俺もツカサで良いかな?」
「勿論です。よろしく、エリック。」
「それにしても、随分と大荷物だね?」
「あ、ええクリスマスツリーを飾ろうと思って。買ってきたんだ。」
「へぇー?クリスマスツリー?」
「ええ。葵はクリスマスを祝った事が無いって言ってたから。」
「そう・・。」
「それより、エリックはどうして葵と?」
「葵に助けてもらった事があってね。それから、色々と付き合いがあるんだ。」
「・・・・。」
葵は二人のやり取りを黙って聞いていた。
「そうなんですか?今回は?コンサートか何かで?」
「いや、ただの観光だよ。アオイに日本を案内してもらおうと思ってね。」
「そうなんですか?」
「エリック。案内っていっても、私もそんなに詳しい訳じゃないんだけど?」
「それでも、俺よりは詳しいだろ?暫く滞在する予定だから頼むよ?」
「・・・。まぁ、良いけど。」
「そうか?ありがとう。じゃあ、俺はそろそろ帰るよ。アオイの顔も見れたしな。」
「そう?じゃあ、下まで送ってく。」
「ありがとう。」
マンションのエントランスに二人で出る。
「ここでいいよ。また、連絡する。」
「・・・。わかった。」
葵はエリックの背中を見送った。
部屋に戻ると、司が不思議そうな顔をしていた。
「どうしたの?」
「いや。エリックなんだけど、葵に雰囲気が似てるなって思って。」
「・・・。そう?」
「ああ。なんて言ったらいいか解んないんだけど。何となく・・・。」
司が考え込んでいると、葵はツリーの箱を開けた。
「これ、飾ろうか?」
「ん?ああ、そうだな。」
二人で、クリスマスツリーの飾り付けをした。
夕方には、立派なクリスマスツリーが葵の部屋に出来上がっていた。
都内は、イルミネーションが至る所で点灯しはじめた。
煌びやかな街中を、葵と司は二人で眺めながら歩いていた。
「今年ももう終わりだね?」
「そうだな。もうすぐ、クリスマスか・・。そうだ!ツリーでも飾るか?」
「家に?」
「うん。」
「・・・。まぁ、良いんじゃない?たまには。クリスマスなんて殆ど祝ったこと無いけど。」
「そうなのか?子供の頃も無いのか?」
「うん。ない・・かな。」
「じゃあ、尚更やろう!思い出に残るクリスマスにするんだ!」
「ふふっ、司の方がはしゃいでる様に見えるよ?」
「良いだろ?葵と過ごす初めてのクリスマスなんだ。旨い料理作るよ?」
「それは、魅力的だね。」
「だろ?」
葵と司がそんな話をしている頃、成田空港に一人の男性が降り立った。
少しクセのある綺麗な金髪にグリーンの瞳。甘い顔立ちにモデルのようなスラリとした身体つきだ。
『・・・・。日本に来るのは久しぶりだな。』
男性はサングラスをかけると、タクシーに乗り込み行き先を告げた。
「東都プリンスホテルまで。」
タクシーは男性を乗せ夜の闇に消えていった。
********
翌日。
葵の家のインターフォンが鳴る。
ドアを開けると、昨日の男性がにこやかな笑顔で立っていた。
「エリック?」
「アオイ。久しぶりだね?」
「・・・。いつ、日本に?」
「昨日だよ。」
「そう・・。どうぞ、入って?」
「ありがとう。」
ソファーに座ると部屋を見回した。
「相変わらずだな?」
「何が?」
「必要最低限の物しかない。日本に長居する気は無いのか?」
「・・・。そんな事よりどうしたの?急に来日するなんて。」
「ああ・・・。」
その時玄関のドアが開き、司が入ってきた。
「葵?居るか?」
リビングのドアを開ける。
「司・・。」
「っと、ごめん。来客中だったか?」
「大丈夫だよ。こちら、エリック。アメリカに居た時の友人・・かな?」
「そこ何で疑問系なんだ?」
司がエリックの顔をまじまじと見つめる。
「貴方、もしかしてバイオリン奏者のエリック・ブライト・・さんですか?」
「ええ、そうですよ。俺の事知っててくれるなんて嬉しいな。」
「いや、こちらこそ世界的に有名なバイオリン奏者のエリックさんに会えるなんてっ!光栄です!」
「ありがとう・・・。貴方は?」
「こちらは、桜葉司。私の友人よ。」
「友人・・ね」
エリックは葵をちらりと見て言った。
「俺の事はエリックって呼んでくれ。俺もツカサで良いかな?」
「勿論です。よろしく、エリック。」
「それにしても、随分と大荷物だね?」
「あ、ええクリスマスツリーを飾ろうと思って。買ってきたんだ。」
「へぇー?クリスマスツリー?」
「ええ。葵はクリスマスを祝った事が無いって言ってたから。」
「そう・・。」
「それより、エリックはどうして葵と?」
「葵に助けてもらった事があってね。それから、色々と付き合いがあるんだ。」
「・・・・。」
葵は二人のやり取りを黙って聞いていた。
「そうなんですか?今回は?コンサートか何かで?」
「いや、ただの観光だよ。アオイに日本を案内してもらおうと思ってね。」
「そうなんですか?」
「エリック。案内っていっても、私もそんなに詳しい訳じゃないんだけど?」
「それでも、俺よりは詳しいだろ?暫く滞在する予定だから頼むよ?」
「・・・。まぁ、良いけど。」
「そうか?ありがとう。じゃあ、俺はそろそろ帰るよ。アオイの顔も見れたしな。」
「そう?じゃあ、下まで送ってく。」
「ありがとう。」
マンションのエントランスに二人で出る。
「ここでいいよ。また、連絡する。」
「・・・。わかった。」
葵はエリックの背中を見送った。
部屋に戻ると、司が不思議そうな顔をしていた。
「どうしたの?」
「いや。エリックなんだけど、葵に雰囲気が似てるなって思って。」
「・・・。そう?」
「ああ。なんて言ったらいいか解んないんだけど。何となく・・・。」
司が考え込んでいると、葵はツリーの箱を開けた。
「これ、飾ろうか?」
「ん?ああ、そうだな。」
二人で、クリスマスツリーの飾り付けをした。
夕方には、立派なクリスマスツリーが葵の部屋に出来上がっていた。
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