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警告

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「葵~?司~?居るか?」

樹が葵の部屋に入ってきた。

「・・・。お前ら何してんだ?」

「お前っ!突然入ってくるなよ!」

「突然って、突然入ってこられたらマズイ事でもしてたのか?」

樹はニヤニヤしながら司の顔を覗きこんだ。

「別にしてないよ。で?どうしたんだ?」

「ああ。お前らに聞きたい事があってな?」

樹は葵と司の肩に手を回してニッコリ微笑んだ。

「お前ら、昨日の朝何処に居た?」

「昨日の朝?」

司が考え込む。

「東都プリンスホテルの近くに居なかったか?」

「!」

葵と司は視線を合わせた。

「・・・。」

「東都プリンスホテル近くの工事現場で事故があったんだけど、お前らまさか現場に居なかったよな?」

笑顔を浮かべているが、目は笑っていなかった。

「どうなんだ?葵ちゃん?司ちゃん?」

「いや・・。さぁ、どうだろうなぁ~?」

司がとぼけるが、葵と司に樹のゲンコツが落ちる。

「「いたっ!!」」

「何すんだっ!?」

「何すんだじゃないだろっ?現場にお前らに良く似た男女が居たって目撃者が言ってんだよっ!何で逃げた?」

「別に逃げてないわよ?面倒事に巻き込まれたくなかっただけ。」

「それを逃げたって言うんだろ?」

「・・・。あれは事故だろ?何で警察庁の樹が関わってるんだ?」

「あれは事故じゃない。足場の繋ぎ目を狙撃されてたんだ。現場から銃弾も見付かってる。」

「・・・。」

「二人共驚かないんだな?何か思い当たる事があるのか?」

心配そうに葵の顔を見た。

「葵が狙われてる。」

「司!!」

「狙われてる?どういう事だ?詳しく話してくれ?」

「良いだろ?葵?」




三人でソファーに座り、今までの事の経緯を話した。

「どうして直ぐに知らせなかったんだ!」

樹が言葉強めに言った。

「言えないよ。命を狙われるなんて時々あることだし。それに・・。」

「それに?」

「難しいけど、今回私を狙ってる人にはまだ迷いがあるんだと思う。今までの事は全て警告だったんじゃないかな?狙おうと思えばいくらでもチャンスはあったはずだから・・。」

「だけど実際、狙撃されてるんだろ?たまたま弾道が反れただけかもしれないだろ?」

「・・・うん。」

「葵には警備を付ける。いいな?」

「何て言って?」

「それは・・、何とでも言いようがあるだろっ!?」

「樹?無理に警備を付ける必要はないよ。ホントに。」

「でも・・。」

「今回の事は全て私に任せてくれない?」

「何言ってる?」

「お願い・・。」

葵の必死さに樹も司もそれ以上何も言えなかった。

「とにかく、何かあったら連絡しろ!いいな?」

それだけ言うと樹は帰っていった。

「葵?」

「樹にまで心配掛けちゃったね?」

葵は申し訳なさそうな顔をした。

「あいつなりに葵の事心配してるんだ。」

「うん。わかってる。」




同じ頃。
エリックはスマホの画面を眺めていた。

「・・・。」

その表情は愛しさの中に切なさが混じっていた。
不意にスマホが鳴る。

「もしもし。・・・。解った、行くよ。」

電話を切ると部屋を出ていった。
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