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はじまりの奇蹟
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警察庁長官室には、藤崎と樹が居た。
「藤崎長官、レオン王子先程帰国しました。」
「そうか、ご苦労だったな。まさか、軍に狙われていたとはな。」
「ええ。」
「所で、現場で怪我をした女性が居たそうだな?もう大丈夫なのか?」
「・・・はい。今日一緒にレオン王子の見送りをしました。」
「そうか・・。報告は以上だな?」
「はい。・・・藤崎長官、その女性の事は聞かないんですか?」
「ああ。無事ならそれで良い。」
「・・・そうですか。それでは、失礼します。」
長官室を後にする。
(珍しく歯切れが悪いな・・。葵は一体何者なんだ?)
司が警察庁に帰ると樹が待っていた。
「よぅ!どうだった?」
「見事撃沈したよ。」
「だろうな。」
「・・・お前。」
「で、諦めるのか?」
「まさか、諦める気なんて無いな。」
「ははっ!そうか。・・・前途多難だな?」
「解ってる。」
「今日は久々に飲みにでも行くか?」
「ああ。そうだな。」
司と樹は警察庁の中へ消えていった。
********
半年後。
葵は都内のマンションに居た。
日本に残る事を決めた葵は一人で裏社会の仕事をしていた。
藤堂やHARBORのマスターの協力もあり、女一人食べるには困らない程度には仕事がある。
季節も巡り秋めいてきたある日、リビングのテレビをつける。
テレビでは、アナウンサーがニュースを読んでいた。
「本日、アルミナ国で王位継承の儀式である戴冠式がありました。」
画面が切り替わり、アルミナ国の戴冠式の様子が映し出された。
画面には、法王から王冠を授かるレオンの姿があった。
「・・・・。」
「ほんとに、国王になるとはねぇ~。半年前とは顔つきも変わったよな?」
「樹。そうだね、立派になったね。」
「でも、これからが大変だ。王族の闇は深そうだしな。」
「司。レオンならきっと大丈夫だよ。皆が付いてるから。」
葵は目を細めてテレビを見つめた。レオンの側には瑞希やマークレガーの姿があった。
「葵。レオン国王がほんとに迎えに来たらどうするんだ?」
樹が司をチラリと見ながら聞いてきた。
「・・・。」
「ふふっ、どうかなぁ・・・。それより、二人共こんな所で油売ってていいわけ?」
「いいの。いいの。たまには俺も司も息抜きが必要なんだよぉ~。あおいちゃん!」
何故二人が葵の家に居るのか?
一重に司の粘り勝ちだ。
頑なな態度だった葵も徐々に態度が変わり、二人を下の名前で呼ぶようになり家に出入りする様になっていった。
実際、急に一人ぼっちになってしまった寂しさも少しはあったのかもしれない。
司の誠意が伝わった事が樹は嬉しかった。
何かと理由を付けては司と葵の家を訪れていた。
更に季節は巡り、桜が咲き始めた頃珍しく司が樹を飲みに誘っていた。
「お前、本気なのかっ!?」
樹は語気を荒げた。
「本気だ。」
「・・・・。何も辞める必要は無いんじゃないか?」
「俺は、お前みたいに器用に何でも出来る訳じゃない。今のままじゃ、何もかもが中途半端になる。」
「だからって、警察庁を辞めるのか?」
「俺にとって葵はその位大切なんだ。」
「・・・葵は知ってるのか?」
「知らないよ。言えば絶対止められる。事後報告だ。」
「後悔はしないのか?」
「するわけないだろっ!」
司は笑顔だった。
「はぁ、お前の人生だ好きにしろ・・・。ただ、何かあったら何時でも言え。最大限力になる。」
「ありがとう、樹。」
桜が満開になる頃。
司は葵を警察庁近くの公園に呼び出していた。
「司、待った?」
「いや、大丈夫だよ。」
「そっか。今年も桜の季節になったね。」
葵は満開の桜を見上げた。
「葵に話があるんだ。」
「なに?話って?」
「・・・俺は警察庁を辞めた。葵の相棒にしてくれないかな?」
「えっ?やめた?どうしてっ!?」
「俺は器用な人間じゃない。今のままだと全てが中途半端なんだ。だから、警察庁は辞めた。」
「辞めたって!?私の為に?どうしてっ?」
「俺は葵と一緒に居たい。一年前ここで葵に想いを伝えたよな?その時より、もっともっと葵を好きになった。それに、あの時言ったよな俺の選んだ道を進んでって。」
「確かに言ったけど・・・だからって、辞めなくても。今からでも取り消せないの?」
「取り消す気はない。」
「はぁ。キャリア官僚の立場を捨てるなんてどうかしてるよ・・。」
呆れた顔で司を見上げた。
「俺にとっては葵の方が大切なんだ。」
司は葵を抱き締めながら言う。
司の体温がとても心地良い。
「・・・。後で後悔しても知らないからね?」
「後悔なんてする訳ないだろ?」
司は晴れやかな笑顔で桜を見上げた。
葵の瞳から涙が溢れた。
「藤崎長官、レオン王子先程帰国しました。」
「そうか、ご苦労だったな。まさか、軍に狙われていたとはな。」
「ええ。」
「所で、現場で怪我をした女性が居たそうだな?もう大丈夫なのか?」
「・・・はい。今日一緒にレオン王子の見送りをしました。」
「そうか・・。報告は以上だな?」
「はい。・・・藤崎長官、その女性の事は聞かないんですか?」
「ああ。無事ならそれで良い。」
「・・・そうですか。それでは、失礼します。」
長官室を後にする。
(珍しく歯切れが悪いな・・。葵は一体何者なんだ?)
司が警察庁に帰ると樹が待っていた。
「よぅ!どうだった?」
「見事撃沈したよ。」
「だろうな。」
「・・・お前。」
「で、諦めるのか?」
「まさか、諦める気なんて無いな。」
「ははっ!そうか。・・・前途多難だな?」
「解ってる。」
「今日は久々に飲みにでも行くか?」
「ああ。そうだな。」
司と樹は警察庁の中へ消えていった。
********
半年後。
葵は都内のマンションに居た。
日本に残る事を決めた葵は一人で裏社会の仕事をしていた。
藤堂やHARBORのマスターの協力もあり、女一人食べるには困らない程度には仕事がある。
季節も巡り秋めいてきたある日、リビングのテレビをつける。
テレビでは、アナウンサーがニュースを読んでいた。
「本日、アルミナ国で王位継承の儀式である戴冠式がありました。」
画面が切り替わり、アルミナ国の戴冠式の様子が映し出された。
画面には、法王から王冠を授かるレオンの姿があった。
「・・・・。」
「ほんとに、国王になるとはねぇ~。半年前とは顔つきも変わったよな?」
「樹。そうだね、立派になったね。」
「でも、これからが大変だ。王族の闇は深そうだしな。」
「司。レオンならきっと大丈夫だよ。皆が付いてるから。」
葵は目を細めてテレビを見つめた。レオンの側には瑞希やマークレガーの姿があった。
「葵。レオン国王がほんとに迎えに来たらどうするんだ?」
樹が司をチラリと見ながら聞いてきた。
「・・・。」
「ふふっ、どうかなぁ・・・。それより、二人共こんな所で油売ってていいわけ?」
「いいの。いいの。たまには俺も司も息抜きが必要なんだよぉ~。あおいちゃん!」
何故二人が葵の家に居るのか?
一重に司の粘り勝ちだ。
頑なな態度だった葵も徐々に態度が変わり、二人を下の名前で呼ぶようになり家に出入りする様になっていった。
実際、急に一人ぼっちになってしまった寂しさも少しはあったのかもしれない。
司の誠意が伝わった事が樹は嬉しかった。
何かと理由を付けては司と葵の家を訪れていた。
更に季節は巡り、桜が咲き始めた頃珍しく司が樹を飲みに誘っていた。
「お前、本気なのかっ!?」
樹は語気を荒げた。
「本気だ。」
「・・・・。何も辞める必要は無いんじゃないか?」
「俺は、お前みたいに器用に何でも出来る訳じゃない。今のままじゃ、何もかもが中途半端になる。」
「だからって、警察庁を辞めるのか?」
「俺にとって葵はその位大切なんだ。」
「・・・葵は知ってるのか?」
「知らないよ。言えば絶対止められる。事後報告だ。」
「後悔はしないのか?」
「するわけないだろっ!」
司は笑顔だった。
「はぁ、お前の人生だ好きにしろ・・・。ただ、何かあったら何時でも言え。最大限力になる。」
「ありがとう、樹。」
桜が満開になる頃。
司は葵を警察庁近くの公園に呼び出していた。
「司、待った?」
「いや、大丈夫だよ。」
「そっか。今年も桜の季節になったね。」
葵は満開の桜を見上げた。
「葵に話があるんだ。」
「なに?話って?」
「・・・俺は警察庁を辞めた。葵の相棒にしてくれないかな?」
「えっ?やめた?どうしてっ!?」
「俺は器用な人間じゃない。今のままだと全てが中途半端なんだ。だから、警察庁は辞めた。」
「辞めたって!?私の為に?どうしてっ?」
「俺は葵と一緒に居たい。一年前ここで葵に想いを伝えたよな?その時より、もっともっと葵を好きになった。それに、あの時言ったよな俺の選んだ道を進んでって。」
「確かに言ったけど・・・だからって、辞めなくても。今からでも取り消せないの?」
「取り消す気はない。」
「はぁ。キャリア官僚の立場を捨てるなんてどうかしてるよ・・。」
呆れた顔で司を見上げた。
「俺にとっては葵の方が大切なんだ。」
司は葵を抱き締めながら言う。
司の体温がとても心地良い。
「・・・。後で後悔しても知らないからね?」
「後悔なんてする訳ないだろ?」
司は晴れやかな笑顔で桜を見上げた。
葵の瞳から涙が溢れた。
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