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第1章 巻き込まれ召喚と国外追放
#4 ステータスオープン!災いを呼ぶサファイア
しおりを挟む強い光に思わず目をつぶったのもつかの間、次の瞬間には目を開けた。そこはごく普通の…ややもすれば薄暗い空間であった。石造りの建造物、直感的に神殿みたいな所だろうかと考えた。
すたっ。
ほんの数センチ、床から浮いていたのだろう。わずかな高さから着地する感触が足の裏に伝わった。
「へ、陛下…。もう一人、現れましたぞ!」
声がした方を見ると驚いた表情を浮かべた五十代か六十代の髭面の男。日本で言うなら十二単みたいな重ね着した感のあるローブ、その長袖の装束は目立たないように黒を基調としているが襟や袖口を飾るように刺繍がされている。胸元には首飾りと言うには雰囲気がだいぶ違う物をぶら下げている。
(なんて言うか…、こういう服装見た事あるぞ…。美術の教科書だったか、世界史の教科書だったか…、聖職者とかがこういうの着てなかったっけ?)
「なんと、まことか!?さらにもう一人とは…。祝着じゃ!エピルニン大司教、さっそく鑑定じゃ!」
弾むような声で応じる女性の声がした。
大司教…。どうやら聖職者と感じた俺のカンは間違ってはいなかったらしい。首から下げているのは聖印というやつか。そしてその大司教とやらが陛下と呼んだのは一人の女性…、その呼び方から考えるに王とか皇帝といった位の人物か。…いや、女性だから女王とか女帝と言うべきか?
(ああ…、こりゃまた着膨れしそうな御衣装ですこと…)
俺は内心ため息をついた。
(またまた十二単のおでましか…)
さっきの大司教と違ってこちらは赤や黄色と様々な色使いの服だ。だがそれは蛍光色のようなドぎつい色ではない、深みのある高級感のある色だ。地球で言えばヨーロッパのどこかの国のロイヤルファミリーが身につけていてもおかしくなさそうな雰囲気。大司教と違いキラキラと輝くアクセサリーが首元を飾る。
(銀…、いやプラチナかな?あんなにキラキラしてるんだし、銀なら黒ずむ事もあるし…。どっちだろうな…。…あれっ!?)
◼️プラチナとサファイアの首飾り◼️
・魅力にプラス修正
・強欲になる
千年前に熟練の宝石職人が製作したアクセサリー。付いているサファイアは当時の世界最大サイズであった。
偶然見つけた農夫はこれを欲した領主である男爵に手討ちにされサファイアを奪われた。その男爵はより高位の貴族に殺され同様にこのサファイアを奪われた。以来、このサファイアめぐって様々な争いが起き、持ち主は次々と変わっていった。
今はプラチナと組み合わせグランペクトゥの女王ヨジュアベーテお気に入りの装飾品、同時に国宝として扱われている。今のところこのサファイアはグランペクトゥ女王国、ならびにヨジュアベーテの身に災いをもたらしてはいないが…。
(な、なんだ?この説明文…)
陛下と呼ばれた女性の首飾りを見て材質とかを気にしたら妙な文章が浮かび上がっきたのが見えた。
「ふんぬゥゥ~」
妙な声がする。見れば大司教とやらがあやしげに手をゆらゆらさせながら何やらぶつぶつと言い始めた。
「創造神シルクハットンよ、我に力を与えたまえ~」
あの創造神…、シルクハットンていう名前だったんか…。なんて言うか名前も残念だ、絹8トンみたいでさ…。
「真実を見抜く碧石色の光をこの手に宿しィィィ…」
ぼやあ~。
大司教の右手に緑色の光が浮かび始める。お、おおお、なんか起こるのか?
これが魔法の詠唱ってやつか、だけどなんだかカッコ悪い。だって考えてもみてよ、目の前で新興宗教の教祖みたいな髭面が奇妙な振り付けしながらブツブツ言ってんだよ?電車の中にこんなのいたら俺はすぐに離れるね。なんだったら動画撮影されていてもおかしくないレベルだ。
「この者の能力、我が前に示せえッ!!ぬはあァァッ!!」
ぱあぁぁんッッ!!
大司教は緑色の光が宿る右手を大きく振りかぶっていつの間にか石の床の上に置かれていた一枚の皮のような物に叩きつけた。すると徐々に文字のようなものが浮かび始めた。
「どうじゃあッ!!これがワシの得意魔法人物鑑定じゃ!これで其方の職業や#能力値__パラメーターを詳らかにする事ができるのじゃあッ!#鑑定する度に高価な…金貨一枚する最上級の羊皮紙を使ってしまうのがタマにキズじゃがのうッ!」
得意そうに大司教が叫ぶ。なるほど、職業と能力値ね…。
「ステータス」
ボソッ…、俺は試しに小声で呟いた。異世界モノではステータスが表示できるのはお約束だ。そう思ってやってみると自分の情報が浮かび上がってきた。
◼️加代田敏夫◼️
職業:よろず屋(商人)
LV:--
称号:神殺し
状態:正常
年齢:20
生命力:100
魔力: 0
筋力: 10
敏捷: 10
器用: 10
体力: 10
幸運: 10
技能:創造神の後継(固有)
応援ありがとうございます!
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