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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!
#38 サモンをチャンチャン
しおりを挟む「こ、こりゃあ…」
バンズゥがガツガツと俺の作った料理を食べている。
「なんてこった!客人、お前さんは凄い魔法の使い手であり料理人でもあるんだな!」
「うおおおッ!うめえ、うめえぜ!」
「魚だ、魚だあ!!」
「美味しいニャあ!」
バンズゥだけではない、若い衆もミニャも喜んで食べている。俺も一口食べてみた、なかなか美味い。
「うん、上手くいった」
「肉も良いけど魚もなかなか…」
俺の感想に肉食大好きなロゼが応じる。そこにバンズゥが問いかけてくる。
「な、なあ、お前さん!?こりゃ何て料理だ?」
「チャンチャン焼きだ」
「ちゃんちゃんやき?」
「ああ、俺も作ったのは初めてだが…、上手くいって良かった」
チャンチャン焼き…、いつだったか日本酒のCMで北海道の漁港かどこかを背景にしたものがあった。その時にチャンチャン焼きを作っている風景が映っていて食ってみたいと思ったのを思い出して作ってみたのだ。鮭を…、いや狼の獣人達の集落近くを遡上してきたサモンを使って…。
「サモンを切り開いて…、芋や人参を細かく切ってか…。んで、上から鍋蓋を被せて蒸し焼きに似たような感じにする…か」
「サモンはしっかり火を通さないと腹を下すからね」
鮭には寄生虫がいるらしいからな。狼の獣人達も腹を壊したことがあると言ってたし。
「確かに一目で材料も作り方も分かるんだが…」
横に座るバンズゥが腕組みしながら呟く。
「それじゃ説明つかねェよ、この美味さはな。この白い…トロッと溶けてるタレみてえなヤツ、美味いったらありゃしねえ」
白い…?ああ、仕上げにかけたマヨネーズか…。火の通ったサモンの上でトロリと溶けてさながらフランス料理のソースのようだ。大商人とか金持ちはどうだか知らないが、この街では味付けに使われるのはほとんどが塩だそうだ。そうなればマヨネーズを生まれて初めて食べたのだろう、その味わいに驚いているのだろう。
日が暮れたが来客は次から次へとやってくる。老いも若きも男も女も皆がバンズゥの回復を喜んでいた。労働者もいれば主婦みたいな人もいる。革鎧に武器を身につけた者もいる、もしかすると冒険者とか傭兵とかといったものなのかも知れない。
「なあ、客人。今日はウチに泊まっていってくんな、目ン玉を治してくれた恩人をこのまま夜道歩かして帰したとあっちゃ俺の男がすたる」
バンズゥが酒を飲みながら言った。
「それなら庭を貸してくれないか?」
「ん、どういう事でい?」
バンズゥが怪訝な顔をする。
「ロゼは足が不自由でな、だから親分さんの家に泊まろうとすれば色々と手間をかける事になる」
「そんな遠慮は…」
バンズゥはそう言うがバリアフリーとは程遠いのがこの世界、むしろ日本だってそういう設備が整っていない所はまだまだ多い。
「大丈夫だ、俺は商人だ。その為の準備はしてあるから」
「うーむ…、だけど客人を庭先に野宿させるってのはなァ…」
「大丈夫だ、この集まりがお開きになったら野宿じゃないってトコを見せるから」
「むう…、そうかい?」
それからしばらくして酒もなくなり集まってきた人々が帰っていくと後にはガランとした裏庭だけが残った。
「それじゃ…、よいしょっ…と」
俺はストレージからドームハウスを出して裏庭に設置した。
「こ、こ、これはァッ!?」
バンズゥが、そして周りの獣人達も驚いている。
「よし、それじゃあ親分さん。ありがたく庭をお借りするぜ」
そう言って俺はロゼの車椅子を押してドームハウスに入る事にした。
「ボクは久々にじっちゃんの家に泊まりたいのニャ!」
「お、おう…。それは構わねえが…」
ミニャを迎えるバンズゥだが俺が家を出した事に驚きを隠せないようであった。
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