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第三章 人神代理戦争 勃発
三十九話 五大王国会議 其の伍
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「先代ヴォルガ、師匠が打った中でも最高の一振りとされる六天崩剣が一つ、不死王行進曲」
メタリカが唐突に喋り出すと吟千代はそれに反応した。
「メタリカ殿がバンコクで探していた物だな。結局、一本だけ確保出来ただけだった」
「そうだな。先代ヴォルガは自身の武器達に優劣をつけることは無かった。だが、涅槃静寂、救世真愛の二振り、そして、六天崩剣だけは違った。先代ヴォルガがハッキリとこの剣達は自身の到達点であると言い切ったその一振り、不死王行進曲。静謐の運命を拡張させ、持つ者を不死とさせると言われた物」
その言葉が終わると同時、バサラとヴィクターの戦いは加速する。巨大な大鎌、刃は蒼く、落ち着きのある一方で、それが纏う氣は狂気に満ちる様に感じる物であった。それをヴィクターは振り回しながらバサラとの距離を詰め、彼を傷つけようとした。
適当に振り回すだけで地面を抉るとその威力を物語っており、バサラはそれを手に握る涅槃寂静と涅焔を交互に打つける。
(一撃一撃が重い。それに加えてヴィクターの氣が読めないと言うよりも全く見えないな。氣を極限まで消すことは出来る、ただ、完全に消すのは無理だ。どんな人間でも氣には起こりが見えるはずなのに、それがどうした? ヴィクターはそれが全くない。どうやってるんだ?)
不死王行進曲を振り回し、それだけでも十分武器であったがヴィクターの武器はそれだけでは無かった。自身の肉体が限界を迎え、振り回す度に腕が折れていながらも静謐の運命が彼の動きに合わせて一瞬にして修復して行く。
ヴィクター・V・ハルペー、彼は自身に静謐の運命を付与出来る唯一の人間。本来であれば他者を癒すことのみに特化している静謐の運命の治癒能力を自身にも使うことが出来、それは他者を治すをも上回る。故に、ヴィクターは大鎌を振り回すだけで壊れる肉体であっても休む間もなく振るい続けた。
肉体を壊すまでの限界を超えた身体能力と壊れる肉体を一瞬にして治す治癒、これら二つが合わせ、不死王行進曲の大きな刃から放たれるのはバサラ同様の斬撃である。
鎌は振り回すだけでヴィクターもバサラも同時に傷つけるもそれを持ち主は気にしない。大振りでありながらも早く、バサラを攻撃に転じさせず、防御に徹させるほど威力の一撃は彼を徐々に追い詰めた。
「バサラ殿! そんな物ではないだろう! 俺が見たいのはそんなんじゃない!」
振りいながら笑顔でヴィクターが口を開くとバサラも同様に笑みを浮かべ応えた。
「そうだな。だが、これでも同じことを言えるか?」
言い終えた瞬間、バサラは涅槃寂静を投げつけた。ヴィクターが防ぐよりも早く、彼の胸を貫くと肉体の壁があったにしても威力を抑えることが出来ず、両足が宙に浮いた。壁際まで吹き飛ばされ、胸を涅槃静寂により、貫かれたヴィクターはなんとか立ちあがろうとするものの傷口の再生が普段よりも遅いことに気付く。
(がは、ぐっ、あ、い、い、く。き、もぢいい!)
だが、ヴィクター・V・ハルペーには関係ない。壁に打ち付けられながらも涅槃静寂を抜かず、自らの足で無理矢理離すと最短距離である直線を選び走り出した。
胸元から血は溢れ、先ほどよりも再生が遅れようともヴィクターはバサラにその手に握る大鎌の刃を向ける。そんな彼に対してバサラは楽しそうに涅焔を腰に差し、構えを取っていた。
「我流、五月雨」
抜刀と共に放たれるのは幾つもの斬撃。それの直撃をヴィクターは避けることなく、全身で真正面から受けることになる。
メタリカが唐突に喋り出すと吟千代はそれに反応した。
「メタリカ殿がバンコクで探していた物だな。結局、一本だけ確保出来ただけだった」
「そうだな。先代ヴォルガは自身の武器達に優劣をつけることは無かった。だが、涅槃静寂、救世真愛の二振り、そして、六天崩剣だけは違った。先代ヴォルガがハッキリとこの剣達は自身の到達点であると言い切ったその一振り、不死王行進曲。静謐の運命を拡張させ、持つ者を不死とさせると言われた物」
その言葉が終わると同時、バサラとヴィクターの戦いは加速する。巨大な大鎌、刃は蒼く、落ち着きのある一方で、それが纏う氣は狂気に満ちる様に感じる物であった。それをヴィクターは振り回しながらバサラとの距離を詰め、彼を傷つけようとした。
適当に振り回すだけで地面を抉るとその威力を物語っており、バサラはそれを手に握る涅槃寂静と涅焔を交互に打つける。
(一撃一撃が重い。それに加えてヴィクターの氣が読めないと言うよりも全く見えないな。氣を極限まで消すことは出来る、ただ、完全に消すのは無理だ。どんな人間でも氣には起こりが見えるはずなのに、それがどうした? ヴィクターはそれが全くない。どうやってるんだ?)
不死王行進曲を振り回し、それだけでも十分武器であったがヴィクターの武器はそれだけでは無かった。自身の肉体が限界を迎え、振り回す度に腕が折れていながらも静謐の運命が彼の動きに合わせて一瞬にして修復して行く。
ヴィクター・V・ハルペー、彼は自身に静謐の運命を付与出来る唯一の人間。本来であれば他者を癒すことのみに特化している静謐の運命の治癒能力を自身にも使うことが出来、それは他者を治すをも上回る。故に、ヴィクターは大鎌を振り回すだけで壊れる肉体であっても休む間もなく振るい続けた。
肉体を壊すまでの限界を超えた身体能力と壊れる肉体を一瞬にして治す治癒、これら二つが合わせ、不死王行進曲の大きな刃から放たれるのはバサラ同様の斬撃である。
鎌は振り回すだけでヴィクターもバサラも同時に傷つけるもそれを持ち主は気にしない。大振りでありながらも早く、バサラを攻撃に転じさせず、防御に徹させるほど威力の一撃は彼を徐々に追い詰めた。
「バサラ殿! そんな物ではないだろう! 俺が見たいのはそんなんじゃない!」
振りいながら笑顔でヴィクターが口を開くとバサラも同様に笑みを浮かべ応えた。
「そうだな。だが、これでも同じことを言えるか?」
言い終えた瞬間、バサラは涅槃寂静を投げつけた。ヴィクターが防ぐよりも早く、彼の胸を貫くと肉体の壁があったにしても威力を抑えることが出来ず、両足が宙に浮いた。壁際まで吹き飛ばされ、胸を涅槃静寂により、貫かれたヴィクターはなんとか立ちあがろうとするものの傷口の再生が普段よりも遅いことに気付く。
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胸元から血は溢れ、先ほどよりも再生が遅れようともヴィクターはバサラにその手に握る大鎌の刃を向ける。そんな彼に対してバサラは楽しそうに涅焔を腰に差し、構えを取っていた。
「我流、五月雨」
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