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第三章 人神代理戦争 勃発
五十話 五大王国会議 其の拾陸
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バサラとジータが殿を務め、機械兵達を抑え込む中、各国王とそれを守護する騎士達は城内を駆けていた。
「うちの騎士二人が止めているんだ! とりあえず、逃げ切れば勝ちだろ!」
スカンダがそう言うと遠くから巨大な爆発音が聞こえるとルーヴェンの城を揺らした。それから先頭を走るエイブラハムとローズはかなり不味い状況と判断し、足の回転を早める。体が悪いターニャをシンクが抱え、背後から追ってくるであろう敵に対して、シャルルの騎士とグランが注意をしながら彼らは走っていた。
そんな時、ルーヴェンの城の壁が急に破壊される。真っ先に自身の王を中心に他の王を守るため、各国の騎士達が一斉に声を上げた。
「我、運命は闘士! 猛る闘争、握るは剣! 共鳴器・紅蓮御旗よ、我が運命の導に従い解き放て! その真なる姿を!」
「我、運命は魔導。鎮めるは予兆、握るは杖。共鳴器・魂の器よ、我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を」
「我、運命は豊穣。促すは調和、握るは拳。共鳴器・母なる大地よ、我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を」
「我、運命は狩人! 獲物を屠る矢であり、それを番う弓! 共鳴器・フギン・ムニンよ! 我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を!」
「我が運命は静謐。留める魂、担ぐは棺。共鳴器・不死王行進曲よ、我が運命の導に従い解き放て。その真なる姿を」
「我、運命は豊穣。促すは調和、握るは拳。共鳴器・世界樹輪舞曲よ、我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を」
各々の得物を手に取り、王の頭上に落ちてくる瓦礫を破壊するとその壁の向こうには帰還者が空に立っていた。城の壁は帰還者の片手に握っている赫の剣により破壊されており、もう片方の腕には他の何かが握られている。
「あれは、まさか」
ターニャは帰還者の手に握られている何かを見て呟くと彼は彼女に向けてそれを目の前に投げた。
投げ捨てられた何か、それの正体はヴェープルの騎士であり、ターニャの護衛であった鉄機兵ダラモスの見るも無惨に変えられた姿であった。
「ダラ、モス」
ターニャが呆気に取られる中、彼女に視線を向け、帰還者は喋り出した。
「お前の国の騎士だろう。すぐに気づくあたり、大切にしてたんだろうな。強かった、久々に楽しめたぞ。だが、私の道を阻んだ、それは誰であっても許さん」
帰還者はもう片手に蒼の刀を取り出すとそんな彼に対してエイブラハムが口を開いた。
「おいおい、帰還者さん、だっけか? いきなり、五大王国会議を中断させ、ヴェープルの騎士を壊して、王の命を狙っておいて、流石にお痛が過ぎんじゃねえか?」
「ふむ、そうだな。久々に遊び過ぎてしまった。どうも、こう国落としをする前は昂って仕方ない。それでは単刀直入、速戦即決と行こうか。五大王国、騎士達、そして、各国王に告げる。私達、廃棄孔は一ヶ月後、五大王国に宣戦布告する。五大王国と我々廃棄孔との全面戦争だ。君達は国と人類の存亡を、私達は神々の復権を。それぞれ賭けて戦おうじゃないか!」
帰還者は大声を上げるとそんな彼に対して、エイブラハムとヴィクターが互いの得物を振り下ろした。斧と鎌の一撃を、帰還者は簡単に防ぐと彼らの力を使い、吹き飛ばす。
「ぐっ、は」
「チッ!」
ヴィクターは地面に叩きつけられ、エイブラハムは何とか着地するも自身が思っている以上に体にダメージが来て、それ以上向かう事が出来ず、帰還者を睨みつけた。
(く、っそ。何だ? 軽く返されただけだと思いきや、重い。体に回る痛みが違うな、これ)
エイブラハムとヴィクターを軽くいなした帰還者は彼もまた、強き者たちと認めた上で、用が済んだのか彼らに背を向けた。無防備に晒された背中でありかながら、五大王国の王と騎士達は誰も踏み込もうともせず、その背中を眺めるだけであった。
踏み込めば、こちらが死ぬと思わせるほど、一瞬の立ち合いでありながらも居合わせた騎士達全員が帰還者の実力を認めざるえなくなっていた。
「うちの騎士二人が止めているんだ! とりあえず、逃げ切れば勝ちだろ!」
スカンダがそう言うと遠くから巨大な爆発音が聞こえるとルーヴェンの城を揺らした。それから先頭を走るエイブラハムとローズはかなり不味い状況と判断し、足の回転を早める。体が悪いターニャをシンクが抱え、背後から追ってくるであろう敵に対して、シャルルの騎士とグランが注意をしながら彼らは走っていた。
そんな時、ルーヴェンの城の壁が急に破壊される。真っ先に自身の王を中心に他の王を守るため、各国の騎士達が一斉に声を上げた。
「我、運命は闘士! 猛る闘争、握るは剣! 共鳴器・紅蓮御旗よ、我が運命の導に従い解き放て! その真なる姿を!」
「我、運命は魔導。鎮めるは予兆、握るは杖。共鳴器・魂の器よ、我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を」
「我、運命は豊穣。促すは調和、握るは拳。共鳴器・母なる大地よ、我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を」
「我、運命は狩人! 獲物を屠る矢であり、それを番う弓! 共鳴器・フギン・ムニンよ! 我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を!」
「我が運命は静謐。留める魂、担ぐは棺。共鳴器・不死王行進曲よ、我が運命の導に従い解き放て。その真なる姿を」
「我、運命は豊穣。促すは調和、握るは拳。共鳴器・世界樹輪舞曲よ、我が運命の導に従い解き放て、その真なる姿を」
各々の得物を手に取り、王の頭上に落ちてくる瓦礫を破壊するとその壁の向こうには帰還者が空に立っていた。城の壁は帰還者の片手に握っている赫の剣により破壊されており、もう片方の腕には他の何かが握られている。
「あれは、まさか」
ターニャは帰還者の手に握られている何かを見て呟くと彼は彼女に向けてそれを目の前に投げた。
投げ捨てられた何か、それの正体はヴェープルの騎士であり、ターニャの護衛であった鉄機兵ダラモスの見るも無惨に変えられた姿であった。
「ダラ、モス」
ターニャが呆気に取られる中、彼女に視線を向け、帰還者は喋り出した。
「お前の国の騎士だろう。すぐに気づくあたり、大切にしてたんだろうな。強かった、久々に楽しめたぞ。だが、私の道を阻んだ、それは誰であっても許さん」
帰還者はもう片手に蒼の刀を取り出すとそんな彼に対してエイブラハムが口を開いた。
「おいおい、帰還者さん、だっけか? いきなり、五大王国会議を中断させ、ヴェープルの騎士を壊して、王の命を狙っておいて、流石にお痛が過ぎんじゃねえか?」
「ふむ、そうだな。久々に遊び過ぎてしまった。どうも、こう国落としをする前は昂って仕方ない。それでは単刀直入、速戦即決と行こうか。五大王国、騎士達、そして、各国王に告げる。私達、廃棄孔は一ヶ月後、五大王国に宣戦布告する。五大王国と我々廃棄孔との全面戦争だ。君達は国と人類の存亡を、私達は神々の復権を。それぞれ賭けて戦おうじゃないか!」
帰還者は大声を上げるとそんな彼に対して、エイブラハムとヴィクターが互いの得物を振り下ろした。斧と鎌の一撃を、帰還者は簡単に防ぐと彼らの力を使い、吹き飛ばす。
「ぐっ、は」
「チッ!」
ヴィクターは地面に叩きつけられ、エイブラハムは何とか着地するも自身が思っている以上に体にダメージが来て、それ以上向かう事が出来ず、帰還者を睨みつけた。
(く、っそ。何だ? 軽く返されただけだと思いきや、重い。体に回る痛みが違うな、これ)
エイブラハムとヴィクターを軽くいなした帰還者は彼もまた、強き者たちと認めた上で、用が済んだのか彼らに背を向けた。無防備に晒された背中でありかながら、五大王国の王と騎士達は誰も踏み込もうともせず、その背中を眺めるだけであった。
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