【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第四章 人神代理戦争 霹靂

二十七話 人神代理戦争 其の拾弍 竜殺帰還⑧

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 互いに譲ることはない。
 彼らが何を譲れないのか?

 それは、
 自身の、己の正義。

 片や亡国の主人、片や竜殺しの英雄。
 お互いに混じり合うことのなかった戦士達が自身の世界では無いところで手を取った。

 最初は自身が失った世界のため、今は自らが見つけた居場所のために。

 帰還者リターナーの倭刀とジークフリートの大剣は敵を殺そうと容赦無く振るわれた。空気を掴み取り、空を舞うジークフリートは常に帰還者リターナーよりも高い位置で攻撃する。

 邪竜失墜混沌大剣バルムンク第二共鳴解放セクンド・レゾナントにより、邪竜の血の覚醒がなされていたジークフリート。

 彼女の目は現在いま、これまで見えていなかったもの全てを視界から知った。

 無量辺処アーカシャが纏う「虚空」、そして、帰還者リターナーの背中にはこれまで溜め込んでいた様々なエネルギーの塊も全て見える。

(あの量を一片に解放されたらたまったもんじゃねえな)

 ジークフリートはこの莫大な量のエネルギーを解放するには隙が生じると踏み、その瞬間を潰すために積極的に大剣を振い続けた。邪竜失墜混沌大剣バルムンクが姿を変えた大剣は圧倒的な重量、そして、空気を纏う。

 ジークフリート本人が大気を膜の様に捉えることで、その剣に空気の壁を作り出すと帰還者リターナーに目掛けて放った。

 大剣であるのにも関わらず、得物を振るう速度は帰還者リターナーと同様。

 帰還者リターナーの「虚空」とジークフリートの空気の壁、得物同士は刃と刃を打つかり合わずに火花を散らした。

 戦況は変わらず、一歩でも引けばそれが致命傷になることをジークフリートも帰還者リターナーも理解しているが戦況それを一変させる何かを全力で探し続けていた。

 だが、それを崩そうとジークフリートは邪竜の血を更に濃くし、自身の境界を曖昧にする。

 ジークフリートの邪竜失墜混沌大剣バルムンク、それはかつて竜殺しを成した物であり、彼女の体と同様に邪竜の血を浴びた呪いの大剣。

 邪竜失墜混沌大剣バルムンクの能力を使えば使うほど、ジークフリートの自身と邪竜の境界線が曖昧となり、彼女が彼女で居れなくなってしまう。

(第二共鳴解放セクンド・レゾナント、これを使ったからか、俺の体の血がほとんど邪竜に変わって来てる。長くは保たない! 保たないからこそ、今、ここで決着を着ける!)

 大剣を握る力は強くなり、ジークフリートは空に浮きながら声を上げた。

「喰らえや、邪竜失墜混沌大剣バルムンク邪竜滅殺ファフニール!」

 溜めもなく、それら動作の起こりは一切ない。帰還者リターナーですら予想外の滅殺の一撃が彼の頭上に襲いかかる。

 邪竜失墜混沌大剣バルムンク ・邪竜滅殺ファフニール、それは竜殺し後にジークフリートが生み出した必殺であった。邪竜ファフニールを一撃で屠るためにジークフリートが生み出した彼女が持つ奥義。

 それは本来であれば痛みを変換させるための溜めが必要であり、それにより彼女が纏う空気に起こりの様なものを感じ取れるはずだった。

 しかし、今のジークフリートが見せたのはそれら全てが無く、帰還者リターナーはその虚を突かれると直撃してしまう。

 自身の得物を何とか挟み、帰還者リターナー邪竜失墜混沌大剣バルムンク ・邪竜滅殺ファフニールを防ごうとした。

 無量辺処アーカシャ、それが持つ、吸収の範囲すら通り越して帰還者リターナーにダメージを与えた。

 焼かれた体、それを吸収した攻撃をエネルギーに変換して再生するも、修復した目が捉えた光景は再び大剣を構えてたジークフリートであった。

邪竜失墜混沌大剣バルムンク ・邪竜滅殺ファフニール!」

 二度目の光の柱が帰還者リターナーを襲い掛かる。
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