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第四章 人神代理戦争 霹靂
四十八話 人神代理戦争 其の参拾壱 戦鬼召使④
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エイブラハムの天空行進曲は空間を喰らう能力を持つ。喰らった空間の認知を歪ませ、それにより召使は六波羅蜜・勅線を別方向へと向けた。
途中放った六波羅蜜《パラミータ》・勅線はエイブラハムが弾いたのもあるが召使は無意識のうちに別方向へと放っていた。
そして、その空間の認知を歪ませる効果は天空行進曲を振るう際に空間捕食を使用時のみに発揮する。
だが、今空間捕食を使った数は3回、その3回空間を喰らった分、空間の認知を歪ませる能力を空間捕食を使わずに使用可能である。
エイブラハムは防御の構えを取った形で召使の認知を歪め、身を隠すと彼が自分が偽物と気付いた瞬間、姿を現した。
空間捕食IV、四度目の空間を喰らう一撃が召使を襲った。召使の体は六波羅蜜が防いでいたものの彼の体をその場から吹き飛ばすには十分な威力であった。
壁にめり込むほどの威力で打ち付けられた召使はほんの少しだけ意識が飛びかけていた。防御に使った六波羅蜜は空間捕食を防ぐのに全て使っており、自身の水の認知が歪み、ぐにゃりぐにゃりとなってる。
しかし、全ての防御をその一撃を防ぐために使っており、召使の体は壁に強く打ち付けられ、彼は強く頭を打ってしまった。
(くっ、そ。頭、回らん。こんなになったのはいつぶりだろ。あー、くそ。意識が、とぶ)
***
銃口を向けた先、そこには威風堂々と座る少女が居た。真っ黒なチャイナ服に身を包み、黒く染まり、長く伸ばした綺麗な髪を彼女はクルクルと弄りながら数多の死体と自身に向けられた銃口を見つめた。
「のう、ヴェルト。妾は主の嫁よな?」
そんな言葉を言わずとも、ヴェルト・デッドは知っていた。知っているからこそ、今、自分が彼女に銃口を向けているという現実を消し飛ばしたかった。
「そうだ、よ、タオ。君は僕の奥さんで、今は、僕のターゲットだ」
「くふふ、そうか。意外と長く保った方かのう? 三年の付き合いだが、仕方ない。ちゃんと眉間を撃ち抜くんじゃぞ。妾は痛いのは嫌だからな」
タオと呼ばれた少女は自身に向けられた銃口に恐れず、自身の額にピタリとくっつけ早く撃てとばかりにヴェルトに迫った。そんな彼女に向けて、ヴェルトは引き金を、引けなかった。
いや、引けるはずがなかった。
「なんで、なんでそんなに潔いんだよ。死にたくないって一言でも懇願してくれよ。それだけでも僕は、君を殺す決心なんて簡単に揺らぐのに、それだけで僕はこの仕事を投げ捨てるなに」
ヴェルトは銃を下げはしなかったが、彼の頬は濡れていた。
ヴェルト・デッド、彼は自分の仕事を必ずやり切ることが信念であり、自身の強みである。それ故に、依頼された仕事は断らないし、必ず自身が死ぬ目に遭おうともやってのけた。
そして、それが自身の愛する人であっても心を殺し、やり切るつもりであった。
だが、彼女を、自身の愛する妻であるタオ・ウェイを前にして、揺らいだ。
タオがマフィアの親玉であったにも関わらず、彼女はヴェルトを飼い慣らそうとはせず、どんな仕事でもやり切れと言った。
それが自身を殺す依頼が来ようとも必ずやり切れと約束していた。それにも関わらず、ヴェルトは初めて手に握る銃が震える。
「のう、ヴェルト。愛を知らぬ獣よ。その涙は妾を愛していたから物か? なら、見れただけで妾は十分だ。そうだな、主に最後の依頼だ。好きに生きろ。依頼を受けてではなく、やりたいことをやれ」
タオは一切余裕を崩さず、笑いかけるとヴェルトは泣きながら銃引き金を引いた。
途中放った六波羅蜜《パラミータ》・勅線はエイブラハムが弾いたのもあるが召使は無意識のうちに別方向へと放っていた。
そして、その空間の認知を歪ませる効果は天空行進曲を振るう際に空間捕食を使用時のみに発揮する。
だが、今空間捕食を使った数は3回、その3回空間を喰らった分、空間の認知を歪ませる能力を空間捕食を使わずに使用可能である。
エイブラハムは防御の構えを取った形で召使の認知を歪め、身を隠すと彼が自分が偽物と気付いた瞬間、姿を現した。
空間捕食IV、四度目の空間を喰らう一撃が召使を襲った。召使の体は六波羅蜜が防いでいたものの彼の体をその場から吹き飛ばすには十分な威力であった。
壁にめり込むほどの威力で打ち付けられた召使はほんの少しだけ意識が飛びかけていた。防御に使った六波羅蜜は空間捕食を防ぐのに全て使っており、自身の水の認知が歪み、ぐにゃりぐにゃりとなってる。
しかし、全ての防御をその一撃を防ぐために使っており、召使の体は壁に強く打ち付けられ、彼は強く頭を打ってしまった。
(くっ、そ。頭、回らん。こんなになったのはいつぶりだろ。あー、くそ。意識が、とぶ)
***
銃口を向けた先、そこには威風堂々と座る少女が居た。真っ黒なチャイナ服に身を包み、黒く染まり、長く伸ばした綺麗な髪を彼女はクルクルと弄りながら数多の死体と自身に向けられた銃口を見つめた。
「のう、ヴェルト。妾は主の嫁よな?」
そんな言葉を言わずとも、ヴェルト・デッドは知っていた。知っているからこそ、今、自分が彼女に銃口を向けているという現実を消し飛ばしたかった。
「そうだ、よ、タオ。君は僕の奥さんで、今は、僕のターゲットだ」
「くふふ、そうか。意外と長く保った方かのう? 三年の付き合いだが、仕方ない。ちゃんと眉間を撃ち抜くんじゃぞ。妾は痛いのは嫌だからな」
タオと呼ばれた少女は自身に向けられた銃口に恐れず、自身の額にピタリとくっつけ早く撃てとばかりにヴェルトに迫った。そんな彼女に向けて、ヴェルトは引き金を、引けなかった。
いや、引けるはずがなかった。
「なんで、なんでそんなに潔いんだよ。死にたくないって一言でも懇願してくれよ。それだけでも僕は、君を殺す決心なんて簡単に揺らぐのに、それだけで僕はこの仕事を投げ捨てるなに」
ヴェルトは銃を下げはしなかったが、彼の頬は濡れていた。
ヴェルト・デッド、彼は自分の仕事を必ずやり切ることが信念であり、自身の強みである。それ故に、依頼された仕事は断らないし、必ず自身が死ぬ目に遭おうともやってのけた。
そして、それが自身の愛する人であっても心を殺し、やり切るつもりであった。
だが、彼女を、自身の愛する妻であるタオ・ウェイを前にして、揺らいだ。
タオがマフィアの親玉であったにも関わらず、彼女はヴェルトを飼い慣らそうとはせず、どんな仕事でもやり切れと言った。
それが自身を殺す依頼が来ようとも必ずやり切れと約束していた。それにも関わらず、ヴェルトは初めて手に握る銃が震える。
「のう、ヴェルト。愛を知らぬ獣よ。その涙は妾を愛していたから物か? なら、見れただけで妾は十分だ。そうだな、主に最後の依頼だ。好きに生きろ。依頼を受けてではなく、やりたいことをやれ」
タオは一切余裕を崩さず、笑いかけるとヴェルトは泣きながら銃引き金を引いた。
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