【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第四章 人神代理戦争 霹靂

五十六話 人神代理戦争 其の参拾玖 英雄迷子①

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「あら、おじ様、そんな簡単に勝ちなんてあげないわよ」

 トオルとユース、ラビの三人が悪魔祓いエクソシストへの勝利を祝おうとした矢先、それは現れた。

 四つの腕と馬の様な足を持った機械に騎乗し、黒いフリフリとした洋服に身を包んだ迷子ノーウェイであった。

「それ、機壊キカイか?」

 機壊キカイ、そう呼ばれた阿頼耶アーラヤは彼の問いに答える。

「ええ、貴方から全てを奪った物ですよ」

 日下部くさかべトオル、彼がいた世界、それは2120年の遠い未来の日本。終末天災エンドディザスターにより、機械との共依存が余儀なくされ、肉体の三割、多くて九割が機械の肉体となった。その過重搭載などを繰り返し、精神を崩壊させ、機械なのか、人なのか、分からなくなった者達、彼らを機壊キカイと呼んだ。

 機壊キカイと聞いた途端、トオルは既に尽きていたはずの倶利伽羅クリカラの画面をタップする。

 叩いた数字は001、すると端末から音がした。

「accept emergency call.start Conversion Pack」

 その音が鳴り終わると同時に、教会の天井からか穴が空く。そこには黑鎧武装コクガイブソウで作られた虎の形を模した兵器が姿を現した。

 トオルは一瞥すると再び端末の画面に映る数字である、0を一度、1を二度叩く。

「Set ready」

 端末から小刻み良い音楽が流れるもそれをすぐ様、ベルトに差し込み、トオルはこれまでにないほどの静かでありながら、明確なまでに感じ取れる殺意を込めて呟いた。

「変、真」

 くろがねの虎が分解され、トオルの体を覆い、真っ黒なスーツに真っ黒な仮面とマント、そして、眼は彼の怒りを露わにするかの様に燈が赤く灯る。

「Our mission is to protect you from enddisasters.」

 ベルトからの音が鳴り止むと同時、トオルは迷子ノーウェイとの距離を詰め、彼女を守護する機械に向けて回し蹴りを放った。

「俺は、」

「勇者王」

「「勇者王レイブンだ!」 でしょ?」

 迷子ノーウェイがそう言うと阿頼耶アーラヤはその蹴りを四つの腕で防いだ。

「何で知ってる?」

「それはもちろん、あなたがおじ様だから」

「俺にゃ、家族は居ねえよ!」

 トオルが押した001の数字、それは緊急用黑鎧武装コクガイブソウ供給装置黑鎧虎ブラック・タイガーの起動合図である。黑鎧武装コクガイブソウの予備として彼が毎日、少量であるが貯めれる様にシンクとターニャの二人と相談しながら作り上げた物。

 トオルが持つ黑鎧武装コクガイブソウの最大値の50%を充填可能であり、先ほど倶利伽羅倶利伽羅限界突破フルバーストを使い、全ての黑鎧武装コクガイブソウを使い切っていため、トオルは今、この供給装置を使うことになった。

 トオルの攻撃に合わせて、ラビが矢を放つも二つの腕で阿頼耶アーラヤは簡単にそれらを弾いた。

(チッ、トオルさんは冷静さを欠けてるし、ユースは動けない。今、一番冷静なのは自分なのに、やれることが殆ど無い。急に出てきたと思いきや、何なんだ、あのダラモス騎士団長の様な奴は! トオルさん、何とか止めるか? いや、それも得策じゃ無い。クソ、どうすれば?!)

 ラビの考えとは裏腹にトオルは全力で阿頼耶アーラヤに向けて攻撃を放つ。蹴りに突き、唐突に黑鎧武装コクガイブソウにより作り出した短剣で切り裂こうとするもそれら全てを知っていたかの様に阿頼耶アーラヤは簡単に四つの腕で対処した。

 そんな中、トオルは飛び跳ねると叫んだ。

 黑鎧武装コクガイブソウ次元加速装置ハイパー・ブースター

 脹脛に当たる鎧のパーツが変形し、加速器となると一気に速度が上がり、阿頼耶アーラヤの体目掛けて蹴りを入れる。

 唐突な速度の代わりに一瞬だけ阿頼耶アーラヤは遅れると腕の一つを挟み込み、何とか直撃を免れるもその腕は使い物にならなくなった。

「ありゃりゃ、やっぱり強いね、おじ様」

 迷子ノーウェイは呑気にそんなことを言うとトオルは自身が思っていたことを彼女に質問した。

「お前、俺のことを知ってるな? 何処の時代かは知らないが、多分、未来の俺のことを知ってるんだろう?」

 迷子ノーウェイはトオルの質問に笑顔で答える。
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