307 / 311
第五章 人神異界最終決戦
二十五話 エピローグ 其の壱
しおりを挟む
昼食を済ませ、ジータとバサラは彼女の屋敷に戻って来ていた。
「それにしてもここに戻ってくるのも久々というか」
「そうですね! とりあえず、吟千代が先に戻ってるはずなので早く行きましょう!」
ジータに手を引かれ、その庭を走りながら屋敷に向かう。初めてここに来た日、その時のバサラでは考えられないほどに体力がついており、息切れすることもなく、扉の前に着いた。
「「ただいま~、吟千代」」
二人は重ねてそう言うと呼ばれて来るはずの吟千代は居らず、二人は顔を合わせて食卓がある部屋に向かった。
食卓には一枚の紙が置かれており、そこには吟千代からの挨拶が綴られていた。
「ジータ、バサラ殿! 結論から言うと世話になったな! 拙者はここから去ることにした! 流石に、二人が共に住む場所には居れぬ。そんな訳で今までありがとう! ダンジョンでバサラ殿と出会えて無ければ、拙者は道を違えていたかも知らん。また、何処かで会えれば拙者との勝負に今度こそは受けて立ってくれ! そして、ジータ! お主には世話になりすぎたな。何の置き土産もなく、出て行ってしまったことを悔やむが、いずれ、ヒョコッと顔を出し、渡しに来るかもしれん。バサラ殿と末永く幸せにな! 子どもは拙者にも見せろ! 今の拙者なら、兄上にも遠ざけられぬ気がするからのう! これ以上は長くなるから割愛。また、何処かで! 馘無侍吟千代より」
手紙に書かれていた文章を読み、ジータはため息を吐くも彼女らしい真っ直ぐとした道を進む意思を感じ取り、バサラに喋りかけた。
「吟千代が出て行きました。全くもって自分勝手で気が早いんですから」
「あはは、そうだね、最後くらい一緒に食事くらいしたかったかな」
「まぁ、また、何処か近い内に会えるでしょう。バサラ様、とりあえず、お茶にしましょう。まだ一日は長いですし、ティータイムくらいゆっくりと」
そう言うとジータはニコリと笑い、彼らはお茶の準備を始めた。
***
城壁の修復作業に追わる機兵の姿を見て、吟千代はミレニアム王国の王都ポリスの中を歩いていた。
(カラカラカラ! 勢いよく飛び出したが、一文なしでござった!)
決戦で左足を切り落とされてしまい、ツツジとシンクが作り出した機械の足をつけたがまだ慣れず、普段よりもぎこちなく吟千代は前に進む。目を瞑りながらこれからを考えているとゴツリと人にぶつかってしまい、吟千代はすぐに謝るために目を開く。
「むむ、すまん。考え事をしていて」
「あ、吟千代じゃん」
「む、グランか! すまんな、ぶつかってしまい」
「気にすんな! そうそう、足はどうだ? シンクが作った義足なら問題ないと思うんだが」
グランが吟千代の足に目を向けると彼女はニッと笑い、その機械の足を袴をグイッと上げ、見せつけた。
「バッチリだ! ただ、拙者が未熟者故に、まだ、使いこなせてない」
「義足になって数日しか経ってないのにそんだけ歩けてるんだ、すげえよ! それより、ジータのところ帰んないのか?」
グランの問いに吟千代は視線を逸らし、ため息を吐いた。
「お、どうした? なんかあったのか?」
「いや、実はな、拙者、ジータの屋敷を飛び出してきてしまった」
「何でだよ?!」
「し、仕方ないであろう! 流石に、二人の仲に割って入るのは申し訳ない」
吟千代は口を尖らせ、黙ってしまうと少ししてグランが再び口を開いた。
「なら、うち来るか?」
「?!」
「いや、家自体一人で暮らすにはデカすぎて困ってたし」
「いや、それは」
「嫌か?」
「むむむむむむ、いや、拙者は嫌ではない。ただ」
「ただ?」
「主は嫌じゃないのか?」
吟千代の心配に対して、グランは笑い返した。
「別に、嫌でもなんでもないよ! 困ってる人を助けるのも四護聖の役目だ! 気にすんな!」
吟千代はその言葉を聞き、戸惑いながらもこれからを考えてグランの案に乗る以外に無いと理解し、申し訳なさそうに声を出した。
「その、なら、少しの間だけ、お暇させて頂く」
「おう! 好きにしな! とりあえず、飯行こうぜ! 今日は久々に外で食っていいって言われてな!」
「カラカラ、そうか。なら、ご一緒させて頂くぞ! グラン!」
二人は同時に歩き出し、夜の街へと消えて行った。
「それにしてもここに戻ってくるのも久々というか」
「そうですね! とりあえず、吟千代が先に戻ってるはずなので早く行きましょう!」
ジータに手を引かれ、その庭を走りながら屋敷に向かう。初めてここに来た日、その時のバサラでは考えられないほどに体力がついており、息切れすることもなく、扉の前に着いた。
「「ただいま~、吟千代」」
二人は重ねてそう言うと呼ばれて来るはずの吟千代は居らず、二人は顔を合わせて食卓がある部屋に向かった。
食卓には一枚の紙が置かれており、そこには吟千代からの挨拶が綴られていた。
「ジータ、バサラ殿! 結論から言うと世話になったな! 拙者はここから去ることにした! 流石に、二人が共に住む場所には居れぬ。そんな訳で今までありがとう! ダンジョンでバサラ殿と出会えて無ければ、拙者は道を違えていたかも知らん。また、何処かで会えれば拙者との勝負に今度こそは受けて立ってくれ! そして、ジータ! お主には世話になりすぎたな。何の置き土産もなく、出て行ってしまったことを悔やむが、いずれ、ヒョコッと顔を出し、渡しに来るかもしれん。バサラ殿と末永く幸せにな! 子どもは拙者にも見せろ! 今の拙者なら、兄上にも遠ざけられぬ気がするからのう! これ以上は長くなるから割愛。また、何処かで! 馘無侍吟千代より」
手紙に書かれていた文章を読み、ジータはため息を吐くも彼女らしい真っ直ぐとした道を進む意思を感じ取り、バサラに喋りかけた。
「吟千代が出て行きました。全くもって自分勝手で気が早いんですから」
「あはは、そうだね、最後くらい一緒に食事くらいしたかったかな」
「まぁ、また、何処か近い内に会えるでしょう。バサラ様、とりあえず、お茶にしましょう。まだ一日は長いですし、ティータイムくらいゆっくりと」
そう言うとジータはニコリと笑い、彼らはお茶の準備を始めた。
***
城壁の修復作業に追わる機兵の姿を見て、吟千代はミレニアム王国の王都ポリスの中を歩いていた。
(カラカラカラ! 勢いよく飛び出したが、一文なしでござった!)
決戦で左足を切り落とされてしまい、ツツジとシンクが作り出した機械の足をつけたがまだ慣れず、普段よりもぎこちなく吟千代は前に進む。目を瞑りながらこれからを考えているとゴツリと人にぶつかってしまい、吟千代はすぐに謝るために目を開く。
「むむ、すまん。考え事をしていて」
「あ、吟千代じゃん」
「む、グランか! すまんな、ぶつかってしまい」
「気にすんな! そうそう、足はどうだ? シンクが作った義足なら問題ないと思うんだが」
グランが吟千代の足に目を向けると彼女はニッと笑い、その機械の足を袴をグイッと上げ、見せつけた。
「バッチリだ! ただ、拙者が未熟者故に、まだ、使いこなせてない」
「義足になって数日しか経ってないのにそんだけ歩けてるんだ、すげえよ! それより、ジータのところ帰んないのか?」
グランの問いに吟千代は視線を逸らし、ため息を吐いた。
「お、どうした? なんかあったのか?」
「いや、実はな、拙者、ジータの屋敷を飛び出してきてしまった」
「何でだよ?!」
「し、仕方ないであろう! 流石に、二人の仲に割って入るのは申し訳ない」
吟千代は口を尖らせ、黙ってしまうと少ししてグランが再び口を開いた。
「なら、うち来るか?」
「?!」
「いや、家自体一人で暮らすにはデカすぎて困ってたし」
「いや、それは」
「嫌か?」
「むむむむむむ、いや、拙者は嫌ではない。ただ」
「ただ?」
「主は嫌じゃないのか?」
吟千代の心配に対して、グランは笑い返した。
「別に、嫌でもなんでもないよ! 困ってる人を助けるのも四護聖の役目だ! 気にすんな!」
吟千代はその言葉を聞き、戸惑いながらもこれからを考えてグランの案に乗る以外に無いと理解し、申し訳なさそうに声を出した。
「その、なら、少しの間だけ、お暇させて頂く」
「おう! 好きにしな! とりあえず、飯行こうぜ! 今日は久々に外で食っていいって言われてな!」
「カラカラ、そうか。なら、ご一緒させて頂くぞ! グラン!」
二人は同時に歩き出し、夜の街へと消えて行った。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる