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第1章 気の狂った王子様
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今日は記念すべき悪女断罪の日。王宮の内外には、多くの野次馬が駆けつけた。今まで婚約者の身分に驕り高ぶり、王子を誑かし、周囲をいびり続けた悪女、その顛末を見守る、否、楽しむ為だ。おおよそ流刑が妥当だろうと考えられていた矢先、
『……すみません、ここ、どこっスかね?』
挙動のおかしくなった王子は、急に刑の言い渡しを取りやめた。その噂は宮中どころか国中を駆け巡る。
ある者は、それを婚約者だった魔女の仕業だと言い、ある者は、王子の食事に婚約者が毒物を混入したのではないかと疑い出す始末。もちろん、どれも荒唐無稽な噂話に過ぎないが、『悪女』の言うことを、信じる者は居ないだろう。
「……はあ。」
ひとまず、王子の言葉に嘘がなかったことに、エカチェリーナは安堵した。現在は、自宅の公爵邸にて謹慎しておくよう命を受けた。とは言っても、結局、ただの先延ばし。
「でも、やっぱり誤解は解かなきゃ。」
正直、婚約者がいるにも関わらず他の女に手を出したあの男はこの際どうでもいい。信じていなかったと、好きではなかったと言えば嘘になる。でも、事実は事実。受け止めるしかない。
しかし、
「エカチェリーナ様……良かった……」
「私たち、エカチェリーナ様のこと、ちゃんと、分かってますから……!」
自分のことを慕ってくれる侍女たちーーエシャルとマートルの為にも、何より
「エカチェリーナ、よく無事に帰ってきたわね。」
「今度もう一度、王宮に直訴しに行こう……」
自分をいつまでも守ろうとしてくれる両親のためにも、そこだけは譲れない。
しかし、なぜこんな事になってしまったのか。思い出そうにも、さっぱり分からない。ただ、普通に生活していただけなのに。挙句の果てには魔女呼ばわり。
「はあ。やってらんないわよ……」
しかも、様々な悪名が国中駆け巡ってしまった今、恐らくまともな殿方には、もうとりあって貰えないだろう。
嫌な考えが脳内を占めるが、悪いことだけでもない。今までの20年間、王妃になる為様々なものを我慢し、自分を律してきた。特に、食事制限とコルセットはとてもきつかった。どうせ自分に、失うものは何もない。綺麗に手入れし続けたブロンドの髪も、ドレスが映えるように気にし続けた体型も、磨き上げたこの顔も、殿方にも相手にされず、慕ってくれる者ももう、公爵邸の使用人だけ。ならば、いっそ捨て去ってしまえ。
それから、エカチェリーナは怠惰に過ごした。好きなだけ食べ、眠る。勉学は嫌いではないので続けた。そして、好き放題な食生活を送った結果ーー
ちょっとだけ、太った。
『……すみません、ここ、どこっスかね?』
挙動のおかしくなった王子は、急に刑の言い渡しを取りやめた。その噂は宮中どころか国中を駆け巡る。
ある者は、それを婚約者だった魔女の仕業だと言い、ある者は、王子の食事に婚約者が毒物を混入したのではないかと疑い出す始末。もちろん、どれも荒唐無稽な噂話に過ぎないが、『悪女』の言うことを、信じる者は居ないだろう。
「……はあ。」
ひとまず、王子の言葉に嘘がなかったことに、エカチェリーナは安堵した。現在は、自宅の公爵邸にて謹慎しておくよう命を受けた。とは言っても、結局、ただの先延ばし。
「でも、やっぱり誤解は解かなきゃ。」
正直、婚約者がいるにも関わらず他の女に手を出したあの男はこの際どうでもいい。信じていなかったと、好きではなかったと言えば嘘になる。でも、事実は事実。受け止めるしかない。
しかし、
「エカチェリーナ様……良かった……」
「私たち、エカチェリーナ様のこと、ちゃんと、分かってますから……!」
自分のことを慕ってくれる侍女たちーーエシャルとマートルの為にも、何より
「エカチェリーナ、よく無事に帰ってきたわね。」
「今度もう一度、王宮に直訴しに行こう……」
自分をいつまでも守ろうとしてくれる両親のためにも、そこだけは譲れない。
しかし、なぜこんな事になってしまったのか。思い出そうにも、さっぱり分からない。ただ、普通に生活していただけなのに。挙句の果てには魔女呼ばわり。
「はあ。やってらんないわよ……」
しかも、様々な悪名が国中駆け巡ってしまった今、恐らくまともな殿方には、もうとりあって貰えないだろう。
嫌な考えが脳内を占めるが、悪いことだけでもない。今までの20年間、王妃になる為様々なものを我慢し、自分を律してきた。特に、食事制限とコルセットはとてもきつかった。どうせ自分に、失うものは何もない。綺麗に手入れし続けたブロンドの髪も、ドレスが映えるように気にし続けた体型も、磨き上げたこの顔も、殿方にも相手にされず、慕ってくれる者ももう、公爵邸の使用人だけ。ならば、いっそ捨て去ってしまえ。
それから、エカチェリーナは怠惰に過ごした。好きなだけ食べ、眠る。勉学は嫌いではないので続けた。そして、好き放題な食生活を送った結果ーー
ちょっとだけ、太った。
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