転生先が悪役令嬢モノの王子様だった件。

釜借 イサキ

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第3章 疑う王子様

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 また、倒れてしまった。彼女の話を、聞かなきゃいけないのに。嫌疑は晴れない。だから、その顔を晴らしてやることが、今はどうしてもできない。彼女は、とっても似ている。
『一人で無理しないで。一緒に何とかしようよ。』
そう言ってくれた、初恋のあの子に。
 目が覚めると、夜が明けていた。窓から差し込む朝日が、とても眩しい。
「目が覚めたか。」
開いた目に最初に映ったのは、クロードの顔。逆光が、彼の顔の凹凸をよりはっきり浮かび上がらせる。
「……ああ。」
見慣れた天井。ここは、
「城に戻ったのか……」
クロードは小さく首肯する。
「なんで……」
自分で決めたことだった。ちゃんと、エカチェリーナと話そうと。それなのに、何故、肝心な時に限って激しい頭痛が襲うのか。自分の無力さに、思わず毒づく。
 昨晩、フィリップの皮を被った太郎が倒れた後、公爵邸は騒然とした。それでなくても魔女だの毒を盛る女だと、散々街で噂になっているのだ。これ以上何かあっては、エカチェリーナの名誉にかかる。
「……王子は一旦連れて帰ります。この件は、どうかご内密に。」
エドガーは、直ぐに手を打つ。倒れた王子が目に触れる人間は最小限とし、携わった者全員に箝口令を引いたらしい。礼を言おうにも、生憎、エドガーは所用でここにはいない。
 また、ノックもなく寝室のドアが開く。
「フィリップ、大丈夫?」
心配そうな顔を作ってずかずかと部屋に押し入るのは、もちろんセイラ。
「ああ、大丈夫だよ。」
無理に笑顔を作ろうとして碌なことが無いのは実証済みなので、取り敢えずやめておく。
「あの、この前はごめんなさい。あなたがあんなに嫌がるなんて。」
頬を赤らめる目の前の女に、嫌悪感しか持てない。何故だが、瞳まで潤ませている。
「あの夜、あなた、喜んでくれたから……」
何故か、身体中に鳥肌が立つ。腕で、身体を抱く。震えが、止まらない。
「ねえ、今からでも……」
再び顔を近づけようとするセイラを、
「やめろ。王子は体調が悪い。」
クロードはすかさず制止する。
「あら、私は王子を慰めて差し上げようと……」
頭の中に反響する声を、必死に振り払う。やっと掴んだのは、クロードの服の袖だった。
「出ていって……」
それに気付かぬ素振りで、セイラは言葉を繋ごうとするが……
「生憎、王子はそんな気分ではないらしい。出て行ってくれ、。」
クロードは、太郎を庇うようにセイラとの間に割って入る。
「……また来るわね、フィリップ。」
一瞬クロードを睥睨してから、直ぐにセイラは笑顔を作る。この女、やはり侮れない。
「ありがとう、クロード。」
フィリップの身体は、まだ震えていた。
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