転生先が悪役令嬢モノの王子様だった件。

釜借 イサキ

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間章2 王子が平民を溺愛していますが、理解できません。

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 フィリップの姿をした彼は、静かに眠っている。彼はサトウタロウと名乗った。荒唐無稽な話だとも思ったが、それが嘘とも思えなかった。それに、
「フィリップは、こういう冗談、嫌いだよなあ……」
ベッドに眠ってだらしない寝顔を晒す、主の顔を見る。公爵邸で倒れてから、かれこれ2時間は眠ったままだ。
「……待たせたな。また倒れたのか?」
心配そうにやってきたクロードは、珍しく息を切らしている。大方、会議後急いでやってきたのだろう。答えに代えて、エドガーは情けない主の顔に目をやる。
 サトウタロウは、フィリップとは似ても似つかない。仕事はそこそこできるらしいが、大局を見通す程の力はない。もちろん、威厳などは、フィリップの足元にも及ばない。何故か、表情もコロコロ変わる。ポーカーフェイスのフィリップとは大違いだ。それでも、
「なんかさ、タロウさんって……」
クロードの方に視線をやると、物珍しそうに、フィリップともタロウともとれない寝顔を見つめていた。
「フィリップを元に戻してくれるような気がするんだよな。」
エドガーはそう言うと、窓の外に目をやる。
『政略結婚かもしれないが、私は彼女を幸せにしたいんだ。』
クロードは静かに頷く。昔聞いた、あの言葉に嘘はないと、まだ、信じていたいと思う。
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