転生先が悪役令嬢モノの王子様だった件。

釜借 イサキ

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第4章 辿り着いた王子様

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 時は少しだけ遡る。
 乗っていた馬車は、案の定襲撃を受ける。見たことのない紋様に、思わず笑いが溢れる。
『フィデリオ邸に向かってほしい。最大限、襲撃に備えろ。』
メモの切れ端に書かれた言葉。何の脈絡もない、荒唐無稽な与田話。けれどなぜか、彼の話が嘘であるとは思えなかった。その為、侍者、付き人それぞれ一人ずつを、騎士団の中でも取り分け腕の立つ者にしておいた。よかったと、改めて思う。
「貴様ら、引く気は?」
一応聞いてやる。捕縛で終わるか、屍が残るか。それだけの違いだ。聞いても無駄なことは分かっていた。答えの代わりに、彼らは剣を向けてくる。
「いいだろう。相手してやる。」
そうして、応戦した結果、
「……あれ……?」
そこには何も、屍さえも残らなかった。
『変なことが起こっても気にするな。』
最後の文字を思い出す。
「本当に襲撃、受けましたね……」
「……あいつら、何処に?」
真っ当な疑問を呟く部下に、エドガーは答えを与えられない。残っていない屍とは裏腹に、その身体は返り血に塗れてしまっている。
「……流石にこれで登城はまずいな。一旦、屋敷に帰ろう。」
「御意。」
そして、馬車はエドガーを屋敷に運ぶ。
「タロウさん、宜しく頼みます。」
相変わらず素性の知れない親友の顔を思い浮かべながら、伝書鳩に伝令を括り付けた。
 同時刻、クロードは三つの公爵邸に向かう馬車の手配をした後、王城に逆戻りする。そして、まずは、気付かれぬよう、セイラの寝所に忍び込む。どんな奴であろうと、女性は女性だ。部屋に無断で忍び込むことに抵抗を感じつつ、メモの内容を反芻する。
『恐らく、セイラはエカチェリーナのことを死んだと思い込む。そこで言っていることを、一言一句逃さずにメモしてくれ。』
心の中で詫びを入れながら、懐から紙とペンを取り出し、ペンの音を最小限に抑えながら、彼女の発言をメモしていく。すると、出るわ出るわ……罵詈雑言の数々。
「うわあ……」
思わずあげそうになる声を抑え込み、何とかメモを取り上げる。ようやくその独り言が落ち着いた頃、
「王子がお呼びです。」
ようやく、女は出て行った。
 取り敢えず、お役目を果たしたクロードは、ふと考える。
「エカチェリーナ嬢が帰らないと、流石に公爵が心配するか……」
そして、クロードは馬車に乗る。説明のため、フィデリオ邸へ、急いだ。
 それぞれが、それぞれの役割を果たす。このおかしな事件を終結させる為に。そして、夜は更けていく。
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