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大学生、変な奴に憑かれてしまう。
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ゆっくりと起き上がる秀人を、ただただ赤面しながら見ているしかない琉依。掛ける言葉が、中々見つからない。それに、
ーーあの笑顔は流石に反則じゃない……?
先程見た笑顔が、頭から離れない。赤面しつつ、手で顔を抑え、秀人から目を逸らす。そんな折、
「横溝さん、大丈夫ですか?」
周に呼ばれた医師と看護師がやってきた。
「横溝さん、なにか違和感や、おかしなところはあったりしますか?」
医師は極めて優しい声で、ゆっくりと秀人に問う。病院に運び込まれた事情が事情なので、一時は接し方にかなりの注意が必要だと聞いた。その事実が、周の胸に翳を落とすが、
「いいえ……」
秀人は伏し目がちに言うが、周は微かな違和感を感じる。と、次の瞬間、
「とても清々しい気分です。」
丁度斜め45度に顔を傾けながら言う。医師の動きが少しとまった。
「……え……ああ……」
ーー明らかにおかしいだろ……
言いたいが、言えない周の胸の内。
「じゃあ、脈取りますね」
平静を装う看護師が、秀人の細い腕に血圧計を巻こうとすると、
「お姉さん、ありがとう……」
目を潤ませながら、やはり斜め45度を崩さず、その手を握る。それと同時に、看護師の顔に朱が差した。
医師と看護師がこの上ないほど首を捻りながら出て行った後の病室に、三人は取り残される。
「あ、あの……秀人くん……だよね?」
困惑を隠しきれない様子で訊く琉依に、
「……そんなに悲しい顔をしないでくれ……美しいお嬢さん……」
憂いを帯びた瞳で返す秀人。異様な光景だが、琉依の顔に再び朱が差したとき、
「おい、お前変だぞ!」
たまらず、周が指摘する。秀人は一瞬悲しげな表情でこちらを見たかと思えば、
「……いやあ、困るなあ……僕の美しさに嫉妬されては……」
何かを憂うように、天を仰ぐ。
ーーやべえ奴だ……
周の直感がそう告げる。それと同時に、秀人の皮を被った何かは、鏡に向かって歩いていた。
「……」
辿り着いた鏡の前で、自分の顔をまじまじと見つめる秀人。その一挙一投足、どれをとっても本人のものと一致しない。
「……誰だ……これ……?」
困惑したように、秀人(?)はぽつりと呟いた。
それとほぼ同時に、
「ひゃひゃっ……ひいいもうやめて……あひゃひゃひゃひゃ!」
「いや……ダメッすよ……わらっちゃ……あははははははは」
怪異と通信するための携帯電話から、メリーさんとよっしんの、泣いているのか笑っているのか分からない爆笑が聞こえた。
ーーあの笑顔は流石に反則じゃない……?
先程見た笑顔が、頭から離れない。赤面しつつ、手で顔を抑え、秀人から目を逸らす。そんな折、
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医師は極めて優しい声で、ゆっくりと秀人に問う。病院に運び込まれた事情が事情なので、一時は接し方にかなりの注意が必要だと聞いた。その事実が、周の胸に翳を落とすが、
「いいえ……」
秀人は伏し目がちに言うが、周は微かな違和感を感じる。と、次の瞬間、
「とても清々しい気分です。」
丁度斜め45度に顔を傾けながら言う。医師の動きが少しとまった。
「……え……ああ……」
ーー明らかにおかしいだろ……
言いたいが、言えない周の胸の内。
「じゃあ、脈取りますね」
平静を装う看護師が、秀人の細い腕に血圧計を巻こうとすると、
「お姉さん、ありがとう……」
目を潤ませながら、やはり斜め45度を崩さず、その手を握る。それと同時に、看護師の顔に朱が差した。
医師と看護師がこの上ないほど首を捻りながら出て行った後の病室に、三人は取り残される。
「あ、あの……秀人くん……だよね?」
困惑を隠しきれない様子で訊く琉依に、
「……そんなに悲しい顔をしないでくれ……美しいお嬢さん……」
憂いを帯びた瞳で返す秀人。異様な光景だが、琉依の顔に再び朱が差したとき、
「おい、お前変だぞ!」
たまらず、周が指摘する。秀人は一瞬悲しげな表情でこちらを見たかと思えば、
「……いやあ、困るなあ……僕の美しさに嫉妬されては……」
何かを憂うように、天を仰ぐ。
ーーやべえ奴だ……
周の直感がそう告げる。それと同時に、秀人の皮を被った何かは、鏡に向かって歩いていた。
「……」
辿り着いた鏡の前で、自分の顔をまじまじと見つめる秀人。その一挙一投足、どれをとっても本人のものと一致しない。
「……誰だ……これ……?」
困惑したように、秀人(?)はぽつりと呟いた。
それとほぼ同時に、
「ひゃひゃっ……ひいいもうやめて……あひゃひゃひゃひゃ!」
「いや……ダメッすよ……わらっちゃ……あははははははは」
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